《冒険者は最強職ですよ?》もう負けない 3
「お前を殺せるぐらいに長したんだよ」
ジンは、ムルドに強烈な殺気を向ける。その瞬間、ムルドの背筋は凍り付く用な覚に陥る。
「こ、殺すだって? あの時何も出來なかったお前は、今回も同じくただやられるだけなんだよ!」
「それはやってみないと分からないだろ?」
「戯けが……やれるものならやって……!?」
ムルドがそう言った瞬間、ジンは、その場の誰にも視認不可能なスピードで、ムルドの目の前へ行く。
「これでどうだ?」
ジンは、軽く鼻で笑い、ムルドの腹にアッパーを決め込む。ムルドは、その強烈さに、を地面にぶちまける。
「ブハッ……! クソッ! こんなのはマグレだぁ!」
ムルドは、完全に頭にきて、最初から全部を出し切るくらいの勢いで、襲い掛かってくる。
「シネシネシネ死ねぇ!!」
ムルドの攻撃は、確かに前回の闘いよりも、何倍も早くなっている。だが、ジンはそれを軽々と避けていく。
「ジンに……ジンに何が起きてるの……?」
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『我には分かる……多分ホワイトもだ……』
『えぇ、わかるわ……あれは……』
『そう。あれは間違いなく我と同じ力だ。つまり今、ジンが纏っているオーラは龍のもの。もっと言えば我と同じと言っても過言ではない』
『えぇ。それに、多分レッドに引けを取らないくらいに強い。私なら多分負けちゃうわ』
「そ、そこまで……」
レベッカ、マーシュ、エレンはそれを聞き、もしかしたら魔王も……と思うが、それもすぐに覆される。
『だが魔王には屆かない……況してやジンには神の力がない。あればもしかしたら話は変わってるがな……』
へレーナもその意見が正しいと、首を立てに降っている。
『まぁ今はそんな事は考えなくていい。目の前の敵に集中を……』
「いえ、レッドさん……それが……」
へレーナが、レッドの言葉を遮り、魔王軍の方を指を指す。そこでは、ムルドに攻撃を続けるジンに、周りの魔王幹部達が、何人もの束になってジンに攻撃を仕掛けていた。
『流石にジンでもあの人數の相手は……!』
そう言った瞬間、ジンに五人ほどの魔王幹部が飛びかかる。それも、かなりの強さを持った者達だ。レッドは、不安に思い、冷や汗を垂らす。が、そんな心配は無用だ。
飛びかかって數秒後、そのもの達が、を吹き出しながら宙へ飛んでいく姿を、レッド達は確認する。
『まさか……!』
レッドは興する。目の前の狀況に、不安が一気に消え去る。
「何人で掛かってこようと同じだぁぁ!」
耳を塞ぎたくなる様な、ジンのび聲が聞こえてくる。
次は十人で飛びかかる。その人數は、流石のジンも対処しきれず、取り押さえられ、ムルドの怒りの鉄拳を食らう。
ジンは、毆られた勢いで、レッド達の元へ飛んでいく。
上手くレッドがけ止め、そこで一旦激しい攻防がストップする。
「クソ……魔王幹部があっさりとやられただと……私もいよいよ出し惜しみはダメな様ですね……」
「出し惜しみ? 今のが本気だろ?」
「魔王様の力を使えばお前など……」
そう言うと、ムルドが何かをブツブツと喋り出す。他の魔王幹部達も、ムルドへ向けて手をかざし出す。
數秒後、その魔王幹部達から、黒い靄のようなものが現れ、ムルドに吸い込まれていく。
「な、なんだこの膨れ上がっていく力は!?」
「だから言っただろぉ!? 魔王様の力を使えばお前らなどどうってことないと!」
『ジン、まずいぞ……あれは我でも太刀打ちできん!』
「まさか……」
だが、この時、ジンにはまだ自信があった。それは、もう一つの新ユニークスキル"龍人化"だ。
だが、これは最後の手段としてとっておこうと決めていた。そのため、まだ使う時ではないと判斷した。
「フハハハハハハ! このパワー! 何でも出來そうだ!」
力を失った周りの魔王幹部は、力なく倒れていき、塵となって消えていく。
『魔王の力に周りの魔王幹部の力……かなりの力があるぞ!』
「貴様たちに今の私を止める事は不可能だ!!」
『ジン、一緒にやるぞ!』
「…………」
『おいジン! 聞いておるのか!?』
「……レッドさん、僕一人にやらせてください」
『何を言って……』
「僕は仇を取りたい。ネイン、ダイコさんの分の。だから僕にやらせてください」
『ジン、お主まだ……』
「大丈夫です。僕は冷靜です。それに、まだ僕には『策』があります」
『策……だと?』
「はい。だから見ててください。長した、僕の姿を」
そう言い、ジンは、不敵に高らかな笑い聲をあげている、ムルドに、殺気を向ける。
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