《冒険者は最強職ですよ?》もう負けない 7

それからも、長い間苦しんでいたジンだったが、それは、とある変化と共に、終わりが訪れる。

「ぐ、ぐがぁぁぁあ!」

「そろそろそれも演技臭くなってきましたねぇ……貴方、私を馬鹿にしてます?」

ムルドがそう尋ねると同時に、ジンは突然立ち出した。それに警戒したムルドは、すぐさま戦闘態勢へと移す。

「痛てぇ……けど、もう、大丈夫だ。……こんなもの、ダイコさんやネインに比べれば!!!」

ジンはそうび、痛いのを我慢しながら、全に力を込め始める。

「うおぉぉぉおお!」

ジンのび聲と共に、ジンのはみるみるうちに、鱗の様なものが浮かび上がっていく。髪のは赤く染まり、郭にも赤い鱗が裝著される。目も、"龍"のような鋭いものとなる。

「これが……俺のフルパワーだぁあ!!」

「うっ……これは……まずいですねぇ……」

この時、ムルドは初めて、魔王以外で、自分よりも格上の存在を見つけた、と思った。

ジンのからは、依然として赤いオーラが放出されており、その姿になってからは、ますます迫力が増したものとなる。

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その姿とは、ほぼ全に龍のような鱗を纏い、一種の裝備のようにも見え、服が敗れそうな程に膨らんでいた。目力は、今まで誰からも浴びせられたことの無い、何者をも恐怖させるような目をしていた。

「それほどの力を殘していただと……私も舐められたものです……ここからは、もう言わず、ただ、あなたを殺す事だけに専念して戦います」

「そうか。それは良い。さっさと掛かってきたらどうだ?」

「チッ……ちょっと強くなったぐらいで……」

ムルドはぼそりと呟き、全に力を込め、ジンへ向かって地面を蹴る。

「そんなものでも、魔王様の力の前では……は?」

ムルドが、ジンの元へついた頃はもう、すでにそこにはジンは居なかった。

ムルド焦って周りを探すが、何処にもいない、何もじない。と思った矢先、背後から悍ましいほどに、殺気の籠った聲が聞こえる。

「おい、どこを見ている? ちょっと気配を消したくらいでそんなに焦るなよ?」

「後ろ……!!」

後ろを振り向こうとしたムルドは、飛び下がりながら後ろを向こうとする。だが、その行は悪手だった。

地面から足を離すのが悪かった。そこの一瞬を、ジンは見逃さず、近寄って蹴りをれる。

だが、その作は、ありえないほとに早く、ムルドには何をされたのか全くわからなかった。

「グハッ……今、何を……」

「ただ蹴っただけだ。これでも、魔王には屆かないと言えるか?」

ムルドは吹っ飛ばされ、その問に答えられず、地面へと転がり落ちていく。

ジンは、まだそのじに慣れておらず、まだし手加減や、制が難しい。

手を開閉したりして、その覚を覚えていく。

「これが"龍人化"か……すごい。でも力の消耗がかなり激しいな……もって後十分ってところか……」

それと、ジンにはもう一つの変化を実していた。

これを使ってる俺、あ、僕か。人格が変わるなぁ……なんと言うか、レッドさんに似たじの正確になると言うかなんと言うか……

まぁそこは大したことじゃないと思い、気にせずにムルドの方を見る。ムルドはフラフラと立ち上がる。全ボロボロだ。

「さっき、魔王様に屆くかどうかと訊いたなぁ……無理だ。斷言しよう。お前では勝てんよ」

「……そうか。わかった。俺には時間が無い。だから……」

そこまで言うと、ジンはほんのしだけ前屈みになり、軽く地面を蹴る。

ムルドは呼吸が荒く、またし視界がぼんやりとしていた。そのため、ジンがき出した事に気づかず、ぼーっと前を見ている狀態だった。

それが、この勝負の分かれ目だった。

ムルドは、まだ何もされない、もしくは反応して避けきれる、そう思い込んでいた。だがそれは全くの勘違い。そんなことは、絶対にありえなかった。

ジンはムルドの目の前まで、星のような速さで移し、ムルドの目の前で、腕を組んで気づくのに待っていた。

なんだ……この早さに付いてはこれないか……面白くない。時間もない、やるか……

ムルドに気づかせる間も與えず、數十発もの毆打を、文字通り一瞬で放つ。

ムルドが気づいた頃にはもう、仰向けになって倒れていた。痛みもじず、ただ、何が起きたのかすらもわからずに、仰向け空を見上げていた。

「何、が……ブハッ……!」

反吐をぶちまけ、ようやく自分が、倒れていることに気づき、怪我をしていることに気づく。いや、怪我のレベルを超えている。なぜなら、もう、ムルドにら首以外殘ってはいなかった……

「まだ喋れるか……ムルド、お前は強い。だが、今は俺の方が上回った。ただそれだけだ。いい闘い、だったな」

「いい闘い……フン、私が一方的に、やられただけだったがな……」

その呟きがムルドの最後。その場は、靜かな沈黙が、ただ一人立ち盡くす、ジンを襲うのであった。

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