《冒険者は最強職ですよ?》魔界に乗り込みます! 8

「さっきは散々だったなぁ……何でみんなああやって僕に、無闇矢鱈に抱きついてくるんだ……?」

『ははは、ジンは大変だなぁ。あんなに言い寄られてはな。しかも全員と來た。そりゃ嘸かし辛かろう』

って基本あれなんですかね? 僕経験が無いので分からないんですよね……元居た世界でも、なんかベタベタされてたんですよねぇ」

『まさかとは思うが、お主それ、悪質な嫌がらせか何かだと思ってるのか?』

「え、違うんですか?」

『あほだ……』

ジンは、今はブラックと二人きりで、陣から逃げていた。今は、うまく隠れている。使われていない客室で凌ぎきっている。決戦前になんて呑気な……

「まぁいいですよ。僕にはとお付き合いなんて縁が全くない。この先一生ですけど……あれ、でも待て? 僕、レッドさんのプロポーズをけちゃったようなけてないような……」

問いかけるような眼差しでブラックを見るジン。ブラックはゆっくり目線を外し、こう答える。

『…………結婚おめでとう』

「やっぱりかぁぁあ!!」

『バカ聲が大きい!』

ジンは咄嗟に口を抑える。隠れてるのがバレたら何をされるか分からない。

「…………ぷはぁ、でもまぁ、レッドさんが僕に気があるなら、それに応えなくてはなりません。正直、僕本當に結婚してもいいと思ってます。まぁ種族は違いますが」

『ほう? その心は?』

「なんだろう、レッドさんって、凄く優しいし人思いじゃないですか。それに……可いし……まぁそこはいいんですけど、やっぱり人の事を思いやれる人って素敵だと思うんです。僕はそうは出來ませんが……」

『そう自分を卑下するな。お前は充分優しい、それに気も使える。我なんかよりよっぽど人思いだろ? いいか、ジン。お主は自分の気持ちに素直になった方が良い。そう抑止しなくてもいいだろ。素直な奴は嫌いじゃないからな、我は』

「ブラックさん……」

『まぁこんな狀況で話すようなでもないがな。一度、自分の気持ちと話し合ってみろ。本當は、どこかで何かしらみんなの事を思っているはずだ。…………なんでこんな話になってるんだ?』

「我に返らないでくださいよ! 自分も考えちゃったじゃないですか! ……でも、一度自分を見つめ直すのはいいかもしれません。今度、そうしてみます」

『おう、……っと、近づいてきたな』

「ええ。三人居ます。この気は……エレンさん、マーシュさん、ホワイトさんですかね? 僕達は気を消してるからバレませんが」

『ああその通りだ。多分ここはバレる、どうするか?』

「天井にしがみつきましょう。流石にそこにいるとは思わないでしょう。それに、ここ、あまり使われてない部屋っぽいですし」

『そうだな。ちと壁にを開けてしまうが問題ないだろう』

そう言い、二人はジャンプし、天井ギリギリの壁にしだけを開け、そこに指を突っ込んでしがみつく。幸い、部屋が大きくてよかった。

二人は息を殺し、完全に壁になりきった気持ちになる。でないとバレるからだ。

三人がゾロゾロと室し、ベットの下やクローゼットの中を念りに、眼になって探している。

「居ないわね……見つけたら絶対遊んでもらうから」

『私も〜、ジンちゃんと遊びたいわ〜! 一度やり合ってみたいし?』

「あ、そのやり合い、私も參加します! というか、陣で挑みましょう。ジンをギッタギタのメッタメタにしてやりますよ!」

『決まりね。エレンちゃん、前よりも隨分と強気になったわね?』

「はい! じゃないとジンさんに見てもらえませんから!」

そんなことを言い殘し、部屋を出ていった。ジンは會話を聞いており、し顔が赤くなる。

僕に見てもらいたい、かぁ……まぁ、見てないわけないじゃないですか。エレンさんが頑張ってるのを、僕は知ってますよ?

三人が行ったことを確認すると、ブラックとジンは、音を立てずに著地して、その場で溜息を吐く。

『なんとか撒いたな……でも、肝心のレッドがまだいるからな……』

「ええ。レッドさん、レベッカさん、へレーナさんという何とも、頭の中闘いだらけの軍団がいますからねぇ……」

『お前それ、聞かれてたら何されるかわからねぇぞ?』

「聞かれなければすべて良しです。これ名言!」

『はぁ……まぁ良い。場所を変えよう、外に出るのがいいかもな』

「了解です!」

そうして二人は、外へ逃げ、を潛めるのであった。このかくれんぼは、夜通し続き、結局、陣は、ジン達を見つけられなかった……

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