《冒険者は最強職ですよ?》魔界に乗り込みます! 12

ジン達は、魔界の門の前で、一度深呼吸をする。そして、覚悟を決め、一歩足を前に出す。ジンが先頭となり、その次にレッド、ブラックと順にって行く。そして、ジンは、その魔界の景に、絶句する。

「これは……ここが魔界だって? まるで……」

『なんだ、見た事あるのか? ここは絶対に外からは見れないが……』

「あ、いえ……そのですね、なんと言うか……」

『なんだ、勿ぶらず言わんか。焦れったいのぉ』

「はい……ここ、僕がいた世界にそっくりなんです……」

『……なんだと? そんな事があるか。ここは魔界だぞ?』

「…………」

どうして……いや、似てるだけか? それにしても似すぎてる……訳が分からない……

ジンが目にしていた景は、辺り一帯が燃え盛り、溶巖が流れ、空は暗く、邪悪な魔力が広がっている。そして、何よりも、目の前に見えるのは……

「富士山だ……」

『フジサン? なんだそれは、食いか?』

「目の前に見える山の事です。ですが、あたりは火の海。もしかしたら似てるだけかも……」

『…………まぁいい。あの山の頂點にあるのは間違いなく魔王の城だ。その下にあるのは……』

「あそこは多分、寶永火口です。まぁどうしてわかるのかと言われると、説明がめんどくさいので、先に進みましょう」

『そうだな。レッド、ホワイト。やはり二手に別れるより、一緒になって行した方がいいと判斷する。どうだ?』

『我は構わん』

『私もよぉ〜』

何故そこに富士山があるのかはわからない。ものすごく似ているだけで、全然違うのかもしれない。だが、ジンはその山に見覚えがある。理解ができない。

ダメだ……全く理解できない。魔界が日本だと? だがこんなに火の海が広がっているのは可笑しい。モンスターの気もビンビンじる……まぁ進んで行けば理解できるか……

それから、ジン達は、歩みを進めた。魔界の門から出たところは、草原とは言えない姿の場所だった。モンスターがあちこちにいたが、一々相手にしていたらキリがないので、無視して進んで行った。

進む際、何者からも襲われなかった。何かしらの襲撃があってもおかしくないと、ジンは考えたが、何も無かった。

おかしすぎる。どうして攻めてこない? 僕達の存在は絶対に知しているはずだ。それに、あれだけの兵を送っといて、守りはこんなに薄いのか? それとも、あの城が……

その後も、何からも攻められはしなかった。時々、誰かに見られているじはしたが、その相手の姿を視認することが出來なかった。さらに、その事に気づいていたのはジンのみだった。

「ブラックさん、それに皆さんも、先程から誰かに見られているようなじがしませんか? 時々に、針を刺されたような痛みがするのですが……」

『いや、何もじないが?』

『我もだ。多分、ここの空気が合わないのだろう。気をつけろよ、ジン。我の立派な旦那になるんだ。こんなところでくたばるなよ?』

「そうですか……おかしいな……気のせいか?」

その後も、何度か見られるようなじがしたが、山を目前にして、そのじは消える。何だったのだろう?

『いよいよ、ここからが本番だ。気を引き締めろ。一瞬でも気を抜いたら死ぬと思え?』

目の前は森だ。樹海、と言った方が良いだろう。先は暗く、一メートル先も見えないほどの、黒い霧に包まれている。

嫌な風が吹き、風が病むとともに、森の中へる。

「レッドさん、ここ、不気味ですね……」

『そうだな……』

「ジン怖いよ〜!」

「わわわ! そんなにくっつかれると歩きにくいです! あ、すいません。誰かの何かをってしまいました」

「わ、私のですジンさん……」

「エレンさんか……すいません。それより、一度離れて……ってあれ? エレンさん? レッドさん? ブラックさん? どこに行ったんです?」

ジンが、くっついてきたレベッカ達を離れさせ、後ろを振り向く。が、そこには、誰もいなかった。先程までは、あんなに賑やかだったのに。

「レッドさ〜ん! マーシュさ〜ん! ……誰もいない……まさか!?」

『そのまさかだ。人間』

「だ、誰だ! 姿を現せ!!」

『今、貴様らはバラバラの場所にいる。誰も魔王様の元へは行かせない』

「なっ!? なんだと!? お前は何者だ!」

『私か? これから死ぬ者に名など名乗っても意味無いだろ? 貴様の仲間も死ぬのだ。安心して死ねい』

「ふざけるな! これは魔法か!?」

『教えるものか戯け。今の貴様に、その"霧"を抜け出せるかなぁ?』

「クッ……」

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