目の前には魔王城、周りには何も無い。遙か彼方が見えるだけ。魔王城の大きさは半端じゃない。こんな大きな建を走り回ると考えると、気が重くなる。

武裝を解除せず、進んで行くジン達は、り口であろう場所へ辿り著き、皆顔を合わせ、頷き、気持ちを決めていざ進する。

ずっしりとした重みのあるドアを開け、中へる。暗く、寒く、恐ろしい。外にも伝ってきていた邪悪な気が、魔王城の中へった途端にさらに強くなる。

前が見えないため、ドアを開けたままゆっくりと奧へと進んで行く。だが、全員が進し、ある程度進んだところでドアは突然閉まる。ドカン、と音を立てて。

皆は背中を寄せ合い、聲を掛けながら確認をしていると、部屋の奧が明るくなる。その燈りは次第に近づいてきて、ジン達のいる部屋全が明るくなる。すると、ジンの目の前に、フードを深くかぶった魔族らしき者が目の前に立っていた。

「お前は……誰だ？」

恐る恐る聲をかけ、それを聞いたほかの者は、皆、ジンの目線の先の人へと注がれる。

なんだろう、何か特別なじの気をしだけだけどじる……でも本當に極わずかだけど……。

そう思っていると、レッドが突然耳打ちをする。

『おいジン。あれはもしかすると……』

「もしかすると？」

『……神かもしれん』

「なっ！？」

ジンが驚くのと同時のタイミングで、フードをかぶった人は突然襲いかかってくる。それを見ていたレベッカ達は、咄嗟にジンの前にり、構えを取る。

フードをかぶった人が、先頭に立つへレーナに毆り掛かるが、へレーナは軽々と避け、腹に蹴りをお見舞する。続けて、宙に浮いたその人を、レベッカが踵落としをして地面に叩きつける。地面に這いつくばっている狀態の所を、エレンがさらに蹴りをいれる。

「ちょっ、まっ……！」

咄嗟に止めにり、飛んでいったフードをかぶった人に近づき、取り押さえてフードを、捲る。が、全く見たことの無い人だった。

「神様じゃない……か」

『いや、ジン。多分それは神で間違いない。其奴、多分抵抗されて神の力を使い切れてない。我にはわかる』

「本當にですか？」

『ああ。ブラックとホワイトはわからんと思うが、我にはわかる。古い仲だからな』

「……じゃあレッドさんを信じてみます。それに、実は僕も魔族が持つ特有の気とは、違った気をじていました」

『それをジンがじ取れていたなら話は早い。さっさと助けてやれ。其奴も早く解放されたがっているだろう』

「わ、わかりました……」

うわぁぁ〜！　いざ助ける方法を行うってなると恥ずかしい〜！　結婚を申し込まれてるのに、こんな見たことを無い人にキスをするところを見られたらと思うと……神代行エル様、他に手段は無いものか……。

『何をしている？　時間は無いのだぞ？』

レッドに急かされ、さらに恥ずかしくなる。ジンも分かってはいるが、中々実行できない。

いざこころを決め、キスをしようとした瞬間、ジンは、脇腹に激痛が走り、そう思った瞬間に壁に激突していた。

「……いて、は？」

『おいジン！　大丈夫か！？　何が起きた！？』

「いえ、僕にもわかりません！」

レベッカ達も何が起きたかわからず、それはブラック、ホワイト、レッドも同じだった。ただ、ジンがわけもわからずぶっ飛んでいったようにしか見えなかった。

一旦部屋の中央らへんに集まり、全方位を見れるように円になって部屋を見る。

すると、先程ジンと神と思しき人がいた方向から、足音と、し高い聲が聞こえてくる。

『ほう？　今の蹴りを食らって余裕な顔して立ち上がりますか……私もまだまだ甘いのですね……』

「誰だ！」

聲の方向は、ちょうどジンが見ている方向で、そのジンのび聲につられ、皆もその方を向く。

『どうも、わたくし、魔王様の元で魔王幹部をやらせてもらっています。ハルッド＝メデス、と言います。以後お見知りおきを』

「ハルッド……お前、そのフードを、被ったを助けたのか？　それとも、ただ僕を殺す気で蹴ったのか？」

『このですか？　ああ、この方は魔王様の言りと化した神ですよ。あっさりやられていたのはし驚きましたが……』

「よし、それがわかれば……」

『あ、それと、言っておきますけど、わたくし、かなり強いですよ？　自分で言うのもなんですが、魔王軍の中では三番目くらいには強いと思いますよ』

「前に戦ったやつより強いのか……」

『まぁ、ここで全員死ぬのですから、安心して死んでください』

「それはどうかな……？」