《冒険者は最強職ですよ?》決戦の始まり 2

「お前一人だけで勝てるとでも? この人數を相手に?」

『いえ、私は"一人"とは言ってませんよ? 迎え撃つ準備くらいしてきますよ。お一人ずつ用意しているので、沢山遊んであげてください? あ、それと、そこの君』

「ぼ、僕?」

ジンを指差し、ニヤリと笑みを浮かべると、軽い口調でこう告げる。

『君には二対一でやってもらう。ムルドがやられたそうだからね? 相棒は彼ですから、の方に手は出せないでしょ?』

「まじか……」

これはチャンスだ。まずは神様を集中的に狙う。隙あらばキスだ! ん? 隙あらばキスってなんだ?

『そう落ち込まないでください。ではでは、我々魔王軍鋭部隊の場〜』

その掛け聲と共に、奧の部屋から次々と姿を現す魔王軍。巨がいればかなり小さめの者もいる。エルフがいれば人間がいる。そのどの者も黒いオーラを纏い、目で威圧し、笑っている。

橫に並んで腕を組み、準備を始め出す。ジンが真ん中となり、左右に広がる形で、敵前方へと、レッド達は並んでいく。

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戦ってみないとわからない。だが、一つわかることがある。

「僕達は、負ける気がしない」

ジの突然の呟きに、無言で頷くレッド達。今まで、幾度となく経験してきた敗北の味や恐怖。それを知っているから戦える。それを乗り越えたからここにいる。もう、ビビるだけの彼らではない。

『言うのはタダです。その口も、數分したら開かなくなりますから、今のうちに言とか殘しておくといいですよ?』

「それ、そっくりそのままお返しするよ。お前、し気に食わねぇ」

『それはわたくしも同じです。貴方は何故か見ているとイライラする。魔王様の元へは行かせませんよ?』

両陣営睨み合い、武を裝備し、時を待つ。

目の前に、助けなければいけない存在がいる。まだ先に、助けなければならない存在がいる。まだこの世界に、守らなければならない人類がある。それをに、ジンは大きく息を吸いこむ。そして、雄びとともに、闘いが始まる。

「イクゾォォォォ!」

全員が勢いよく飛び出し、武や拳が差する。激しい地響きが起こる。だが、そんなことは気になど微塵もならない。

目の前の相手は不敵に笑い、勝ちを確信してるかのような態度を取りながら闘う。だから、ジンも、同じ事をした。

剣と剣がじり、睨み合うなか、ジンはこう告げる。

「お前ら、その笑いがいつまで続くかな?」

『なに?』

その一瞬の言葉をわした直後、その言葉を、ハルッドは理解する。

魔王軍鋭部隊が、全員、顔をぶん毆られてぶっ飛んでいく姿を橫目に確認した。そして、それはハルッドも同じようになる。

ジンは、橫を気にした一瞬の隙を逃さず、蹴りを腹部へお見舞する。橫から飛び込んでくる、神と思しきにも、蹴りをれて、ハルッドと同じ方向へ蹴り飛ばす。

「おい、橫なんて気にしてられねぇぞ?」

『……やられました。それに、わかりました。その言葉の意味。それなら、我々も正さねばなりませんね』

続々と立ち上がる魔王軍鋭部隊。その顔からは、もう、笑顔など無く、あるのは、ただ殺意に満ちた目でこちらを睨む、魔王軍鋭部隊だ。

『おい、お前ら。言った通り、部屋で一対一で闘え。魔王様のためにも、奴らを皆殺しにしろ』

そうハルッドが言うと、魔王軍鋭部隊は、四方へ散らばり、それぞれの部屋へとっていく。

「皆さん、わかってますね?」

『ああ。わかっておる。我は負けん。お主も負けるな』

「そうだよ、ジン。私は魔法があるし? 強いし? 負けないけどね?」

「それ、死亡フラグですよへレーナさん?」

「私も鍛えてきたし、ジンのためにも頑張るわ!」

「僕だけでなく、みんなのために頑張ってください、レベッカさん!」

「私も長が二センチびたから頑張るぞぉ!」

「あ、あれ? マーシュさんどこに……あ、あぁ、目の前にいました。小さくて気づきませんでした」

「ひどい!」

「わ、私も頑張ります!」

「エレンさんなら大丈夫ですね!」

『私も張り切ってぶっ殺しちゃうわ〜!』

「ホワイトさんは安定ですねぇ……」

『我も、久々に大暴れしたい気分だ。ジン、死ぬなよ?』

「ブラックさんもね!」

それぞれ、顔を見合わせ、ニッコリと笑い、それぞれの行くべき方向へと向きを変える。そして、勢い良く飛び出して行く。

『隨分と仲良しですね? そんなに仲良しですと、別れが悲しくなりますよ?』

「お前も、魔王様と離れ離れになるかもな?」

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