《冒険者は最強職ですよ?》決戦の始まり 4

神を抜かれた魔族のは、不気味な立ち上がり方をすると、どこかへ去っていってしまう。一何だったんだ?

神がジンの元へ戻り、喜びあっている中、ハルッドのは完全に元通りとなり、首を鳴らしている。

『やられましたよ。ですが、ここからはそうはいきません。でしょう? ゼール殿?』

「ゼール……殿?」

『……ああ』

どこからとも無く聲が聞こえ、ジンは辺りを見回してみる。すると、先程、が逃げていった方向から、ハルッドと同じくらいの長で、短い髪型の銀髪、鋭い目付きをしながら、こちらへ歩いてくる。

『貴様か……ムルドを殺ったと言うのは。あまり強そうには見えんが?』

『見た目だけで判斷は悪い癖です。彼は、私を上下真っ二つにしましたから』

『お前をか? いくら死なないからって遊びすぎだ。神が奪われたのだろう?』

『取り返せばいいんですよ』

そう簡単に奪われる訳にはいかないんだよなぁ……。

『そうか。なら、さっさと奴をころして魔王様に首を屆けるぞ』

『は〜いよ』

ハルッドと、ゼールが、ジンの方を向き、黒いオーラを纏う。その瞬間、今までじたことの無い殺気を浴びせられ、ジンは一歩大きく下がってしまう。

『ほう? その判斷は正しい。中々やれると見た。楽しみだ』

「これはしまずいかも……」

汗が頬を伝い、顎から地面へと垂れ落ちる。どうするか悩んでいると、神が明るい聲で話しかけてくる。

『ジン、貴方何ビビってるの? 私が戻ったのよ? ユニークスキルは戻った。なら、使えばいいじゃない? それに、レッドの力も持ってるんだから、重ねて使えばいいじゃない』

「……今なんて?」

『だーかーらー、ジンの持つ、レッドから貰った力と、私の力を使えるユニークスキルを、使えばいいじゃないって言ったの!』

「……まじか」

『まじよ』

ジンは、今ユニークスキル"赤龍の力"を使っている。これに、神が戻った事により、再び使えるようになった、"神の加護"を使うという事だ。

ジンは早速取り掛かり、ユニークスキル"神の加護"を使う。すると、赤いオーラとは、別のの白いオーラがジンから発生し、二つのオーラが混ざり合う。すると、オーラはジンからは消え、何も纏っていない狀態となる。

それを見ていた、ハルッドとゼールは、し怒ったような口調で言ってくる。

『オーラを消した? 貴様、舐めてるのか? ホントに殺すぞ?』

『これは私も我慢りませんねぇ……』

こう言う二人だが、ジンは全く怯えない。何故なら、ジンはその変化にわかっていたからだ。

なんだろう、このじ……外側でオーラを纏ってるのではなく、側で纏っているような気がする……力が何倍にも跳ね上がった気もする……。

『それはそうよ。本來、二つの異なるオーラを纏える者なんてまずいない。いないって言うのは、できないのでは無くて、二つのオーラを出せるユニークスキルを持たないから。これは、その二つのオーラが合わさる事によって起こる現狀よ』

二つのオーラが合わさる事によって起こる現狀……なんか、今なら何でもできそうな気がする。いや、気がする、ではなく、絶対やれる。

『貴方は強くなった。それは、あなたの中にいる私が良く分かるわ……だから、自を持って戦いなさい、ジン!』

「わかりましたぁ!」

両手に持つ剣を握り直し、二人と対峙する。ハルッドとゼールは、大層お怒りのご様子だ。顔がイライラしている。

數秒睨み合い、それから闘いは始まる。

まず、ハルッドが高速で移し、杖を振るう。ジンはそれに反応し、左手に持つ剣でガードする。次に、ゼールがジンの死角から攻め込み、背中に裝備していた短剣で右脇腹を狙う。だが、ジンは、攻撃の気配を、瞬時にじ取り、右手に持つ剣でガードする。

遅い。まったくもって遅い。これがコイツらの本気? いや、それは無い。まだ余力は殘してるはず……なら、ここで一発ぶちかます!!

ジンは、二人の攻撃を弾き返し、が浮き上がったハルッドの腕を斬り飛ばし、よろめいたゼールので斬込む。それを、一瞬でやってのける。

ハルッドは、腕を抑えて跪くが、ゼールはすぐに反撃をしてくる。

短剣を捨て、何故か素手で摑みかかるように來たので、ジンは、チャンスだと思い、勢いよく剣を振るう。が、それは両手でけ止められる。

『かかったな?』

「なに?」

ゼールは、剣を離そうとはせず、また、引き抜くこともできない。すると、剣が段々と茶くなっていき、最後には塵となり、使いにならなくなる。

「な、なんだ!? 何が起きたんだ!?」

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