《冒険者は最強職ですよ?》どこまでも強く、いつまでも強く 3

「この道、周りと比べてみると新しく見えねぇか?」

『確かに……多分、ランが初めての実験功者で、それだけのために作ったとか……?』

「そうかもしれねぇ……ランの気が今伝わってきた、ってことは、やはり阻害魔法か何かが掛けられてたって事か」

『うん、そうだと私も思う。ただ……』

「……ああ。ランの気だとは思うが、かなり弱ってる……」

『…………早く助けに行ってあげましょう!』

「わかってる」

ユニークスキルを使った狀態でのジンなら、今ランのいる位置までは、文字通り一瞬だ。だが、壁を壊したことを知っているはずなのに、何のきも無いのは、しだけ疑問をじた。

何故下っ端を、様子見に行かせないのか。本當に些細なことだが、ジンは気になって仕方なかった。

だが、考える暇など無く、ジンはランの元へ移する。

時間にして一秒もない中、ランがいる檻の前へとたどり著く。そして、到著した瞬間、目の前のランの姿に唖然とし、言葉を失う。

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「…………ジ……ン……?」

微笑むラン。その弱々しい笑顔を見て、ジンは激怒する。

今のランの様子は、見ていられないほどに酷く、弱々しい。爪は剝がされ、目は片方抉られ、耳も抉られている。は痩せ細り、髪は素を失ってしまっている。

「……大丈夫か?」

「……だい……じょ……ぶよ」

「待ってろ。今、完全に怪我を治してやる」

「強く……なった……のね」

その時は不思議な覚だった。怒りに満ち溢れているのに、頭は冷靜でいられた。魔法を作り出すなんて覚は皆無だったジンは、今ではなんでも出來るとじた。

「パーフェクトケア」

無意識に言葉がれた。掌から放たれたは、ランを大きく包み込み、ランの怪我を治していき、ものの數秒で、怪我などしていなかったかのような姿に戻る。

「……ありがとう、ジン。でも何だか、私、今は死にたいなぁって思ってる。何でだろうね?」

「もう、喋らなくていい。休んで」

「本當に嬉しい、ジンが助けに來たこと。だけど、それ以上に悔しい。苛立つ。こんな無力な私に」

「…………」

「だって、迷しか掛けてない。足でまといでしかない。それに、私は、も心も穢れた。今なんてほら、魔族みたいなになってる」

「確かに、前は魔族見たく、心を支配されてしまったのかもしれない。でもそれは過去だ。今はその力に自らで打ち勝ち、自分の意思で俺と話しているだろ?」

首を振り、ジンを見る。

「違うよ。ついさっきまではまだ魔族の心があった。でも、ジンの魔法のおかげで綺麗さっぱり消え去ったの。だから、私に戻れたの。全部、ジンのおかげ」

「違う、ランも頑張っ……!」

「やっぱり、ジンは優しいね。私、好きだった。違う、今も好き。大好き。でも、私は見た目も汚れて、中まで汚れた。だから、もう諦める」

ランの頬を流れる、一粒の涙は、床へ落ち、また一粒、また一粒と落ちていく。涙聲のまま、ランは喋り続ける。

「だってさ、こんな姿のまま、皆の前に出たくないよ……こんな私を見たら、必ず周りの人は魔族だのなんだのと言うでしょ? ……それに、こんな姿でジンの隣にいたら、ジンまで何かを言われてしまうかもしれない。だからもう、ジンとは一緒には……いられない」

涙を我慢しながら話し続けたランは、最後の一言で糸が切れ、聲を上げて泣き出す。

ジンはユニークスキルを解除し、目の前の檻を意図も簡単に破壊し、ランを強く抱きしめる。

「周りがなんと言おうと、ランがどう思おうと、俺はずっと隣にい続ける。周りの目が気になるなら、どこか人のいない所に家を建てよう。そこで、一生平和にのんびり過ごし続ける」

「仲間の人も、悪く言うかもしれない」

「それは絶対無い。僕が保証する。みんな。いい人なんだよ? し癖の強い人が多いけどね!」

「……でも」

「嫌。これは決定事項! 何を言おうと何を言われようと、僕はランと一緒にいる! だからほら、もう泣かないで?」

「……やっぱり、諦めない。私、ジンがいるなら生き続ける!」

「うん! それでこそ……!?」

不意に、ランはジンにキスをする。驚くジンは言葉も出ない。先程までの涙が噓かのように、とびっきりの笑顔をするラン。

「好き!」

「うん!」

『さぁ、ジン! お楽しみのところ悪いけど、敵さんの登場よ!』

「……殺す」

ジンの雰囲気は再び変わり、"龍神化"を発させ、敵を待つ。

ぞろぞろと集まり、囲まれ、その數はおよそ百。ランを背中で庇い、一瞬たりとも気を抜かず、き出すのをただ待ち続ける。

そんな中、一人の魔族がこう発言した。

「おぉ、クソエルフの奴隷じゃねぇか! 俺があとで食ってやるから覚悟して……」

先頭に立っていたそいつの顔は、木っ端微塵に破裂し、その場に倒れる。

「そんな事、俺が許すわけねぇだろ?」

ランと神は心から思った。かっこいいと。

「クソ、かかれぇ!!!」

その合図のコンマ一秒後、魔族の頭は、皆木っ端微塵に吹き飛ばされていた。ジンの攻撃によって。

「これは俺のだ。クソ魔族にやれるほど安かぁねぇんだよ」

ランは思った。好きだと。神は思った。私も言われたいと。

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