《冒険者は最強職ですよ?》どこまでも強く、いつまでも強く 5

「あ……僕、死んだのか。二回目かー……でも、何かいつもと違う気が……」

カルにやられ、意識を失い、とある場所へ來たジンは、辺りを見回す。以前來た時は、真っ暗な場所だったが、今回は違う。何か、自分がよく知っている所だとじた。

「この懐かしいというか、暖かなじ……なんなんだ?」

『ここは、お前の中だよ。ジン』

「誰だ!」

後から聲が聞こえ、その方向へ振り向くと、目の前には自分が立っていた。

『俺はお前だ。よくある話だろ? 死ぬ一歩手前で、自分と語り合うなんて話は』

「死ぬ一歩手前……? ってことは、僕はまだ死んでないってことか?」

『あぁ。攻撃をける直前、お前は本能的に魔法障壁を作りカルの攻撃を防いだ。ただ、相手も魔王の次に強いだけはあったのか、衝撃で頭を打って今は気絶してるだけだ』

「それにカルは気づいてないのか?」

『気づいてない。だから、ここからはお前の問題だ』

「僕の、問題……」

『お前、もう勝てないと思ってるだろ? それどころか、もう疲れた、やりたくないとか思ってるよな?』

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「…………」

それは、攻撃をされる前のこと。死ぬと思った瞬間、ジンは自分の中で、完全に諦めてしまった。ここまで頑張ったから良いじゃないかと。後は、なんとかなるだろうと。

『それは違うよなぁ? お前はランを助けただけで満足か? まだ魔界にいるだろ? レッドやレベッカ達はどうなる? 自分だけ終わるのを待って、負けてしまえば仕方がないと言うのか? その程度の覚悟だったのか?』

「それは……」

『何も言えないのか? 俺は自分に見損なった。その程度の覚悟なら、最初死んだ時、素直にそのまま生き返らず、永遠に眠ってれば良かったんだよ』

「…………」

『何だ、下を向いて? 悔しがってるつもりか? 心の中では、何か言い訳を付けては仕方がないとばかり思ってるんだろ?』

「……まれ」

『そんな気持ちで、一緒に闘ってきた仲間を見捨てるなんて、人として失格だよなぁ? 人間以下……いや、魔族以下だよ!』

「……まれ……俺は……」

『そのまま、意識を失ったまま、お前はここで永遠に寢ていろ! それで、助けた仲間も、助けたい仲間も、人間界の皆も、みーんなおさらばだ!』

その言葉が火種となり、ジンの心に炎が燈る。それは今までのジンの中で燃えていたよりも熱く、大きい。

「だまれぇぇぇえ!! 仲間を見捨てる? 好きな人を見捨てる? そんな事、絶対にしねぇぇぇぇえ!!」

『ふっ……やればできるじゃないか。それでこそ俺でありお前だ。自分と話した事でよく分かっただろ? まだやらなければならない事はある。立ち上がれ。そしてし遂げろ! ……できるよな?』

「あぁ。僕ならできる。絶対に。もう諦めない。もう死なない。もう見捨てない。もう、負けない」

『良し、行ってこい!!』

「わかった!」

『お前なら……やり遂げられる……』

ジンの中に、もう諦めるなんて考えは無い。心の中の自分と話した事。それは、ジンの進化へと、繋がる。

ユニークスキル"世界の変革者"

スキル容"相手が強ければ強いほど力は増す。それは、世界を変えられるほどに"

ジンの意識は回復し、まだ朦朧としている中、フラフラと立ち上がり、即座に"龍神化"を発させる。

『魔王様に報告を……!?』

カルは、ジンが立ち上がったことに気づき、すぐ様振り返って戦闘態勢を取る。

『ほう? 今のを食らって立ち上がるか。力馬鹿なだけか?』

「うるせぇ……俺はなぁ……もう決めたんだよ。負けねぇって、諦めねぇって」

『まだそんな冗談を言うのか。めんどくさい奴だ』

「ここじゃ死ねねぇんだよ……待ってる人がいる、待ってくれてる人がいる。なら、俺から待ち人の所へ行くのが當たり前だろ?」

『何を言うかと思えば……待ち人なら、地獄で待ってるだろうよ』

「はっ……地獄なんかに俺の知り合いはいねぇーよばーか」

自分に、自作回復魔法を掛け、魔力は完全に底を盡きる。だが、力は全開し、傷は癒えた。なら、やることは唯一つ。

「ここが限界じゃねぇ。限界ってのは、超えるためにあるんだ!」

に力を込めるジン。その力は、発的に高まり、その力の高まりように、カルは危険を察知する。

『な、なんだこの力は!? たかが數秒で何があったと言うんだ!?』

「はは、今ならなんでもできそうだぁ……」

ジンは不敵に笑い、カルを睨みつける。

「ここからは、俺の時間だ。異論反論反撃攻撃は一切認めねぇ!」

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