《冒険者は最強職ですよ?》どこまでも強く、いつまでも強く 6

『貴様……今すぐ殺す!』

そう言うカルであったが、なかなか一歩を踏み出そうとしない。

「來いよ?」

『貴様こそ、疲れてけ……』

「ほいっと〜」

音もなくカルの正面へ移し、本気で顔面パンチ。カルは音をも追い越さんばかりの速さで床と平行移する。城の壁はどんどん壊れていくが、減速はしない。

「てめぇが俺にした分、ここでお返ししてやるよ」

ジンはかなり距離飛んでいったカルに一瞬で追いつき、エルボーを腹にお見舞する。

『ぐはぁっ!』

「寢てんなよ?」

ジンは倒れたカルの頭を鷲摑みし、軽々と持ち上げる。

「カルを軽々と持ち上げてますよ〜? カルだけに……なんつって!」

さらにもう一発、拳に全力を込めた正拳突き。それは、強靭なまでに鍛え上げられたであろうカルの腹筋を貫通する。すると、カルは大量のを口から吹き出した。

『き、貴様……そんな力、先程までは……』

「うるせぇよ、お前に関係ない。俺が強くなっただけだ。ここでお前は死ぬんだよ外道」

『ま、魔王さ……』

その言葉を言わさず、ジンはカルの頭を握りつぶす。だらりと落ちるカルの死は、塵となって消え去る。その瞬間、ジンは力し、ユニークスキルを解いて、その場に倒れ込む。

『じ、ジン!』

「大丈夫ですよ……ちょっと疲れただけですから……にしても、強かった……もうクタクタです」

『そ、そうよね! ……って、あ、あれれ?』

「どうしたんです?」

『なんでかしら……私がいつもにつけていた、神の羽が何故か無くなっていてですね……?』

「そういう趣味なんですか?」

『違うわい! 呼んでも來ないんですよね〜……』

「へぇ〜、で、その神の羽がどうか……」

ジンがそう言葉にした時だった。突然ジンのに白い布の様なものが出現する。

「な、なんだこれ!?」

『あぁぁぁぁあ!!! 私の神の羽ぉぉぉお!!』

「な、なんだってぇぇぇえ!?」

その羽を纏った瞬間、ジンの疲れはドンドン癒えていき、魔力までもが回復していく。

『そ、それは本來人間界には絶対に現れない! なのに何でそこにあるの!? やめて! らないで! 匂いも嗅がないで! 汗臭い神って思われるぅ!』

「そ、そんな変な臭いしませんよ……むしろいい香りで……」

『そ、そう? ま、まぁジンが著てるならいいや! 後で私の手元に戻ってきた時は一週間洗わないわ!』

「おい、今最後に聞き捨てならない発言が聞こえたぞ?」

力や魔力、その他諸々が回復し終わると、羽は消えた。その數秒後、どうやら神の元へ戻ったらしい。

ジンがまだ寢転がっていると、何やら騒がしい集団が、ジンのいる部屋へ駆け寄ってくる。

「むっ!? この嫌な足音とやたらうるさい喚き聲は……」

の空いた壁の方を見ていると、彼らは姿を表した。何故か數人の魔族を縛り上げているが、そこはれないでおこう。

「な、何この!?」

「このの先には……」

そう言ったレベッカと目が合い、ジンは嫌な予知する。

「まずい、これは逃げないと窒息死するな」

「ジ〜〜〜〜〜〜ン!!!」

そのび聲とともに、殘りのほか約六名の陣が目を輝かせ、ジンに猛ダッシュで突っ込んで行く。

さらば、俺の休憩。さらば、靜かな時間……。

その後、ジンは気を失いそうになるまで、長い間キスをされ、倒れたとかなんとか……。

―それから暫くして。

「それで、これは何があったの?」

「それはカクカクシカジカでしてねぇ……」

『なんだ、それはどんな鹿だ? 食えるのか?』

「食えねぇよ!」

『なんだ、食えない鹿か……殘念だのぉ』

「レッドさんが壊れたか……それに、なんだかみんな顔付きが良くありません? 何かあったんですか?」

「それはよ。っていうか、ランはどうなったの!?」

「そ、そうよランは!」

「そんなに焦んないでください、マーシュさん、レベッカさん。外にいると思いますよ?」

「「外?」」

それを聞き、一目散に外へ駆け出した二人は、數分後、ランを引きずって戻ってくる。

「や、やだぁぁあ!!」

「何を嫌がってるの!? 皆に自己紹介しなきゃダメでしょ!?」

「じ、ジン助けて!!」

「ははは……頑張れ……」

「ほらほらラン、皆どんな子か気にしてたんだから!」

「ううぅ……」

それから、ランは皆に自己紹介をし、すぐに打ち解け、仲良くなった。その後、ここに収容されていた人たちを、一先ず人間界に返した。

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