《冒険者は最強職ですよ?》冒険者は最強職ですよ? 2

『それは、もう何百年も前の事だ。私は普通の家庭に生まれたんだ。平和で、かで、活気がある國で過ごしていた。その頃は、まだモンスターはいなかったのだ。龍以外はな』

「龍以外……レッドさんは知っているの?」

『いや、我が生まれた時は既に魔王はいた。それは父上のいた時代だ』

「そうなんですか……」

牢屋の中、レベッカは、本當に長い間魔王が生きていたと思った瞬間ぞっとした。

『皆、龍から町を守るためだけに鍛えた。だが、私の職業は冒険者だった。非力で、戦うことは許されず、ただ町のために働いた。そして、ある日の事だ。私は出會った』

「……それが妻か?」

『ああ。最初で最後のだった。名はデーレと言ってな。可かった、おしかった、嬉しかった』

魔王とは思えぬ発言に、皆はし気を緩める。ただ一人、ジンは一切気を抜いてはいない。

『私は嬉しかった。冒険者である事が。だって、冒険に出なくて良いのだから、一生過ごしていられる。一生そばにいられる。そう思っていた』

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先程まで、穏やかな顔で話していたエンドだったが、次の瞬間から、顔付きが激変する。

『だがある日、一匹の龍が襲ってきた。銀の龍だった』

『銀龍シルバーか……聞いたことはあるが、本當にいたんだな……』

『町は大損害でな。誰も為すもないままやられるのかと思った。だが、それを救ったのがデーレだったのだ』

「強かったのか?」

『ああ、何故なら、デーレは勇者のムスメだったからだ。デーレは城で暮らすのが嫌だから抜け出してきたんだ。だからその力を見た時、私は誇らしく思った。だが周りの奴らは違った』

「…………」

『お前が早く対処していれば。勇者の娘が何で冒険者と暮らしてるのだ。被害が出た後も、なぜニコニコして過ごしていられる。など、批判は止まなかった。そして、デーレはある日、病にかかった。聴いたことも無い病名で、治すことは不可能とまで言われた』

一度深呼吸し、魔王が昂ったを抑えている様子をジンはじた。

『そのまま弱っていき、息を引き取った。私は泣いた。だか周りの皆は違う。嘲笑い、勇者の娘のくせに弱いだのと罵り、最後には墓を荒らされもした。後で、それは病ではなく人間に掛けられた呪いだと知った。何故だ? 助けたのに何故蔑まなければなない? 何故素直に謝をできない? 力の無い私は自分を呪ったよ』

「力の無いのを呪う……か」

ジンはなからず、その気持ちはわかっているつもりだった。だが、ジンは最初の頃だけ力が無かった。後は神の力があったからここまでこれている。そのジンとは違い、最初から最後まで力の無いエンドの苦痛は、どれ程のかなど、ジンには計り知れなかった。

『そしてある日、私にとある聲が聞こえてきた』

「聲?」

『ああ、聲だ。邪神からのな』

それを聞いた時、神が『まさか……』た呟く。

容はごく簡単だ。人間が憎いか? なら、力を與えるから滅ぼせ。……私は即答で力を貰ったよ』

怒ったと思ったら、次は大聲で笑い出す。その緒不安定さに、ジン達は一歩下がってしまう。

『それからは、邪神の力で魔界を作り、魔を作り、人間達を殺した。何百年もな。だが絶滅などしない。喧しい人間どもだ。どうだ? この話を聞いてしは同の心でもできたかね?』

レッド、ブラック、ホワイト、レベッカ、ラン、へレーナ、マーシュ、エレンは下を俯く。だが、ジンは顔を上げ、こう言う。

「お前馬鹿なの? そんなの、お前の妻を殺した奴らと同じ事してんじゃん。なら、お前もただのゴミ野郎だろ?」

その言葉に、魔王はオーラを纏う。今のジンとは桁違いな程の魔力をじ取り、ジンは震いが止まらなくなる。

『私が人間と同じ? 私がゴミ? 貴様、良くもまぁそんな発言ができたものよなぁ?』

「確かに、殺されたのは酷い話だと思う。だけどなぁ、それでやり返して、妻が喜ぶと思うのか? 妻はそんなことんだのか?」

『あたりまえだろ? 今も私を見守ってくれている。だから、最後まで人間を殺し盡くす』

「……はぁ。やっぱお前馬鹿だよ。俺はお前を止める。同じ冒険者として、お前を殺す」

『面白い。やれるものならやってみろ人間』

「あぁ、やってやるよ。そして牢屋の皆を救って、皆で楽しく暮らすんだ」

エンドがジンに向かって歩いて行き、ジンはじっと待つ。見失わないように。

ジンを見守るレッド達。皆手を繋ぎ、心の中でひたすら祈る。ジンが勝つようにと。

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