《ガチャって召喚士!~神引きからはじめる異世界ハーレム紀行~》第十八話 インビジブル

俺は小さな包みをもって一人で教會に向かう。

オーディンを本當の意味で活かすには、自能力を上げるに越したことはない。

それなら俺もトレーニングでもしてを鍛えるべきだろうか?

……答えは否だ。俺が努力をしたところで、何メートルも飛べるようなるようになるわけではないし、CIAの特殊部隊員顔負けのナイフ捌きがに著くわけでもない。

そんな努力をするくらいなら、稼ぐことのほうがずっと大事である。そしてまさに今俺は、稼いだことによる超絶パワーアップを実行に移そうとしている。

「神父様! いますか? いますよね? 早く出てきてください!」

俺が急かすように神父を呼びかけると、神父は渋々と姿を見せた。

「なんだ、騒がしい。……ユートか、今日は何用か?」

俺は祭壇の上に包みをおくと、含み笑いを浮かべて言う。

「ここまで來るのに苦労しましたよ。ギルド資金とは別に貯めておいたへそくりがようやく目標値に屆きましてね。でさ、早速手を出しちゃったんだよね」

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神父は俺の表が常軌を逸していることに気付くと、慌てて俺に問いただす。

「ユート!? まさか……マジックエリクサーに手を出したのではあるまいな?」

マジックエリクサーとは巷で流行っている、神狀態を異常なまでにハイってやつにしてしまう麻薬らしい。

俺の顔は神父からすればヤク中の人間と変わらないのだろうか。

「いやいや、そんなつまらないものじゃないですよ! もっとずっといいものですって」

そう言って俺はゆっくりと包みを取り外す。中からは黒りした、禍々しいオーラを放つオーブが姿を現した。

「これは!? ……黒のオーブか。なるほど、召喚の儀をしにきたわけだな」

神父はマジックエリクサーではなくて安心したのか、ほっと一息ついてから俺に言った。

「そういうことです。俺がマジックエリクサーなんかやるわけないっすよ! 俺の事を呼ぶなら、薬中毒者ではなくガチャ中毒者と呼んでくれ。略してガチャ中な」

「何を言っているかよくわからんな……。まあ良い、それではこのまま儀式を始めるぞ。準備はいいかね?」

「ええ、勿論。大當たりを引かせてくださいよ」

黒のオーブは、悪魔や死霊等の邪悪な屬を持つ召喚が出るらしい。正直俺は詳細についてはわからないが、サタンとかその辺の召喚が出れば強そうな気はしている。

「深淵に潛む異端者よ……。魔界を牛耳る神々よ。この者に力を貸してくれたまえ!」

神父が召喚の口上を唱えると、いつも通りのが俺とオーブの間を繋ぐ。俺は両手を組んで祈った。

――――頼む! 久しぶりのガチャなんだ、最高のものを頼むっ!

程なくして召喚獣が姿を現した。人型をしているが顔はマスクで覆い隠され、手には杖を持っている。

こいつはどんな召喚なんだ? 俺はルーペを構えて覗き込んだ。

『Sランク召喚獣 サルガタナス』 ●〇〇〇〇

地獄の支配者に仕える六柱の上級霊の一人。

人間のめた本心を暴き出し、記憶や姿を消し去ることができる。

サルガタナスの加護をけたものは、姿を消すことができるようになる。

【召喚持続時間:三十分】

……姿を消すことが出來るだって? 夢のような能力じゃないか! 俺は興してこぶしを突き上げた。

「いやー、やっぱりガチャって最高ですね! あ、あと神父様? これを引いたってことはローザや俺の仲間には緒でお願いしますね」

俺は神父に釘を差す。こんな面白そうな能力、ばれる前に々試してみたいもんな。

「……もしやお主、よからぬことに使うわけではあるまいな?」

「まさかー、そんなわけないじゃないですか! 俺はいたって健全な使い方しかしませんってば」

「うむ、それならよいのだが」

俺はを抑えられず顔がにやけてしまう。そう、俺はいたって健全な男子だからな……。

「それじゃあ神父様、ありがとうございましたー!」

俺は神父に挨拶をすると、早足で自宅に戻った。

――――――――――――――――――――

「やあやあ皆さん、お揃いですね」

帰るなり早速、俺はロビーにいるみんなに挨拶をする。

「あんた、やけに遅かったわね。ダンジョンから帰るなり用事があるって飛び出していったけど、何してきたのよ?」

アリサの言う通り、俺はダンジョンから帰ってすぐに商店街に行き黒のオーブを買い、その足で教會に向かっていたのである。

「いや、まあちょっと……。舊友に會ってきたのさ」

「舊友……? あんたこの世界に來てからたいして経ってないでしょ? 変な友達じゃないでしょうね」

うっ……言い訳としてこれはまずかったかな。

「あの、あれだ。最初町に著たときに助けてくれた人の酒場に行ってたんだよ! 人の縁って大事だからね! ははっ」

俺は想笑いをして誤魔化す。

「ところでさ、ギルド資金も結構溜まってきたと思うんだ。そろそろ贅沢をして、この家の改築なんかをしてもいいんじゃないかな?」

ギルド資金は千萬ソル程溜まっている。

「あら、ユート君にしては珍しい提案ね。十連召喚の儀は遠のいちゃうけどいいの?」

ローザがもっともな質問をする。確かにいつもの俺であれば、ガチャ代以外の大きな出費は渋っていたであろう。

「最近はオーブの盜難事故もあって、十連召喚のが高騰してて手にはいる目処もたたないだろ? そんな不確定のものを待つくらいなら、日頃頑張ってる俺たちへのご褒ってことでたまには贅沢するのもありだと思うんだ」

俺は頭をフル回転させて、もっともらしい理由を取り繕う。

「しかしのう、わたしはこの家に特に不満などないのであるぞ?」

「……わたしも……このお家満足」

ちびっ子二人組が口をはさんできた、しかし俺も負けてられない。

「たしかにそれなりに設備には気を使って家を建てたもんな。……でもよく考えれば不満點はあるだろ? ――それは風呂だ!!」

俺は人差し指をずしっと突き立て腕を前にばす。

「この家には五人も人がいるのに、今は一人しかれない小さな風呂があるだけだ。ダンジョンからの帰りとかはいつも順番待ちになって困ってるだろ?」

「へー、あんたそういうとこにはちゃんと気が回るのね。たしかにわたしもその點には同意だわ」

アリサが心したように言った。……俺は本當はそんなこと不満には思っていなかったけどな。

一人用の風呂だと、姿を消して覗きにったところでばれること間違いなしで困るのだ。

「アリサならわかってくれると思ってた! なので思い切って風呂を改築して浴場にしようと思う! 千萬ソルあれば多分足りるだろ?」

俺はこれしかないという合に聲を上げる。

「……お姉ちゃんと、久しぶりに一緒にお風呂……れるね」

シルヴィアがアリサのほうを見て笑う。うむうむ、しき姉妹かな。

「よし! みんな俺の案に賛してくれるか? 賛だったら手を上げてくれ」

その場にいる全員が手を挙げた。

「それじゃあ私が教會経由で一流の浴場設計技師にアポを取ってみるわ! 楽しみになってきたわね!」

うん、楽しみになってきた。俺は多分みんなが思ってる楽しみとはちょっと違うのだけれども、本當に完が待ち遠しい。

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