《ガチャって召喚士!~神引きからはじめる異世界ハーレム紀行~》第三十一話 ドタバタお嬢様

「…………」

張り詰めた空気の中、一瞬の沈黙が訪れる。

「……參りましたわ」

エリーは両手を上げて降伏の意を示した。それと同時に俺のがふっと軽くなり、手足の覚を取り戻した。

「……いやぁ、焦った焦った。――助かったぜアデル」

俺はアデルに手を上げて禮を言った。

「――ユート、油斷はだよ。まだ彼は奧の手を殘しているかもしれない」

アデルは槍をエリーに向けたまま俺に言った。

「……ご安心くださいませ。わたくしメドゥーサの他には何も持っていなくてよ。それに、メドゥーサは今の狀況では使っても無駄ですの。……ご存じないなら確認させてあげますわよ」

は再びメドゥーサを召喚した。――俺はさっきのように麻痺させられることを恐れて、とっさに目をそらす。

「……ルーペをお持ちではなくて? わたくしにはもうあなた方のきを止める気はなくってよ」

……本當に信じてもいいのだろうか? 俺はどうするべきかを考える。仮にもしまた俺が麻痺させられたとしても、ルーペによりメドゥーサの能力を正確に把握できるのは大きなメリットだ。それにアデルの刃が元にかかっている以上、下手に行を起こすとは思えない。ここはエリーの言葉を信じよう。

――俺はエリーに向き直り、ルーペでメドゥーサを覗き込んだ。

『SSランク召喚獣 メドゥーサ』 ●〇〇〇〇

妖怪ゴルゴン三姉妹の三

寶石のように輝く目を持ち、見たものを石に変える能力を持つ。

メドゥーサの加護をけたものは、

目が合った人間を一人だけけなくさせることができる。

【召喚持続時間:二十分】

「……きを止められるのは一人か」

一人にしか効かないのであれば、確かにこの狀況はエリーにとって絶的だな。たとえ俺かアデルの片方のきを止めたとしても、殘った一人をまともに相手するのは厳しいだろう。

「――アデル、もういいだろう! モガディシュとエリーを連れて外へ出よう」

「ああ、わかった」

アデルは構えを解くと、エリーを監視しながら外へと連れだした。俺は倒れているモガディシュを抱えてその後を追った。

――――――――――――――――――――

外に出ると、みんなはり口のところで待っていて俺たちを出迎えてくれた。

「その様子だとばっちりだったみたいね! さっすがユート君!」

ローザは嬉しそうに言うと、腰に下げている袋をごそごそといじりだして何かを取り出した。

「――じゃーんっ! これなーんだ?」

ローザが取り出したものは、銀に輝く拘束――手錠だった。

「……手錠か? 準備がいいな」

「でしょでしょー! しかもこれはただの手錠じゃないのよ。――なんと教會印の特別製なの! なんでも魔が練りこまれているとかで、力任せじゃ絶対に壊せないんだって」

「……絶対って本當かよ? ――まあいいや、とりあえずモガディシュが目を覚まさないうちにつけちゃおうぜ」

俺はローザから手錠をけ取ると、モガディシュの両手にセットして鍵を閉めた。

「……よし、これで安心だな!」

俺は満足げに手で額の汗をぬぐった。

「いや、そっちの子にもつけなきゃだめでしょ」

ローザは袋からもう一つ手錠を取り出し、エリーのほうを指さした。

「……わたくしにもその騒なものをつけるきですの? わたくしはすでに降伏していましてよ」

うーん、まあエリーにはつけなくても大丈夫な気もするけど、せっかく手錠があるんだしつけといたほうが安心だよな。

俺はローザから手錠をけ取ると、エリーの手を摑んだ。

「――キーっ!! お止めなさい! わたくし、降伏するとは言いましたがそのような辱めをけるなんて聞いてないですの!」

エリーは半狂になって手をぶんぶんと振り回して暴れ出した。

「――うぉっ! 危ない! ……ローザ! エリーを抑えるのを手伝ってくれ!」

ローザは「まかせなさい!」と返事をするとエリーの後ろに回り込み、抱き著くようにして抑え込んだ。

「――――――!!」

エリーは聲にならないびをあげている。俺はエリーの両手を摑むと、手錠をさっとかけて鍵を閉めた。

「……許しません! 許しませんわ! わたくしにこのような事をしてただですむはずがありませんわ!」

……エリーがこんなに取りすとは意外だな。もっとこう、お嬢様然としている印象を持ってたのだけど。

「――おいおい、落ち著けって! 別にとって食ったりはしないから」

俺はエリーをなだめるために必死になって言う。

「――なんですの? 汚らわしい目でこっちを見ないでくださいまし!! ――はっ!! もしかしてわたくし、このまま殿方のみ者にされてしまうんですの!?」

いや、そんなこと全然これっぽっちも言っていないのだけれど……。こりゃあ相當テンパってるな。

「暴れても無駄だから、ほらっ! 行くぞ!」

埒が明かないので俺はエリーの手を引っ張って、引きずるようにして歩き出した。

「――嫌ですわ!! お家に帰りたいですの~~~~!!!」

エリーのびがこだまする中、俺たちは教會へと向かった。

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