《ガチャって召喚士!~神引きからはじめる異世界ハーレム紀行~》第三十八話 グランノーヴィル

「ふふっ。みんな燃えてきたって顔してるわね! それでこそ企畫した甲斐があるってものよ」

ローザはとても嬉しそうだ。実際に俺のやる気はかなり高まっているし、他のみんなも同様だろう。

「といってもまだ競技の詳細とか決まってないのよ。どれくらいのギルドがエントリーするか、まだちょっと予測がつかなくてね~。とりあえず宣伝用のチラシを用意しといたから、みんなに配るわね!」

ローザは一人一人にチラシを配り始めた。どれどれ、

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『ギルド謝祭!』

日頃のギルド活謝を込めて、スポーツ大會開催決定!

參加ギルド大募集中!

【開催日】

未定(近日中)

【競技容】

未定(ひとつのギルドにつき代表5名をだして行う形を予定)

【參加資格】

上級冒険者または練冒険者が3名以上所屬しているギルド

【応募方法】

各大陸の管轄の教會まで

【その他】

各大陸の予選を勝ち抜いたチームには何らかのオーブをプレゼント!

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さらに後日開催の本選で優勝したチームには虹のオーブを

プレゼント!! このチャンスを見逃すな!!

※予選勝ち抜きでもらえるオーブは種類を選べません

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チラシの隙間にはローザが書いたと思われる珍妙なキャラクターがたくさん描かれている。……いくつか確認したいことがあるな。ひとつずつ聞いていくか。

「予選と本選って二日間に分けて行われるのか?」

「そうよ。參加條件をかなり厳しくしているとはいえ、ギルドの數はとても多いからいっぺんに行うのは難しいの」

「ふーん。あと大陸ってのはなんだ? 全部でいくつあるの?」

「あれ、ユート君に世界地図見せたことなかったっけ? ……ちょっとこれ見てもらえる?」

ローザは持っている地図を広げて説明を始めた。

「わたしたちがいるのはこのグランノーヴィル大陸よ。グランノーヴィルは召喚の儀が初めて行われた場所で、教會発足の地でもあるの。そしてその上にある小っちゃいところがサルナーン大陸。工蕓品の作で有名ね。で、殘った最後の一つがセレナード大陸。ここは一番大きいだけあってギルドの活が活発なの、勿論ギルド數も一番多いわ」

へえ、勉強になるな。三つも大陸があるとは知らなかった。

「詳細は正式に決まった時にまた伝えるわね。とりあえず今はギルド謝祭があるってことを覚えておいて」

「ふむ。わかったのである。お知らせはこれでおしまいか?」

「ええ、お知らせはここまでよ。ちゃんと聞いてくれてありがとね! レイチェルちゃん」

ローザはニコニコしてレイチェルの頭をでた。

「む……。子ども扱いするでない。……シルヴィアよ、話が済んだようなのでクエストにいくのである」

レイチェルは顔を赤らめてローザから顔を逸らすと、シルヴィアの手を引いて家から出て行こうとする。

「あっ、レイチェル! ちょっと待って! クエストなら私も行くわ。……今日は休もうと思ってたけど、なんかそんな気分じゃなくなっちゃった」

アリサは髪を紐で縛りながら言った。アリサは勝負事には結構熱くなるタイプだから、謝祭の話を聞いて居ても立っても居られなくなったのだろう。

「それじゃあ三人とも気をつけて行って來いよ」

「……ゴミ掃除だし……平気……いって……きます」

「行ってくるのである!」

ちびっこ二人は聲をそろえて家を出て行った。アリサもそれを追いかけて玄関に進むと、こちらを振り返って、

「エリーさん……どんな事があったかは知らないけど、もう改心したってことでいいのよね?」

キッとエリーの目を見つめる。

「アリサさんでしたっけ? ……モガディシュの件は申し訳ありませんでしたわ。わたくし、心をれ替えて教會で働きなおすことにしましたの」

エリーは凜とした目でアリサを見つめ返しながら言った。

「――それならいいのよ。よろしくね! あとわたしのことはアリサでいいわ」

「わたくしのこともエリーと呼んでくださって構わないですの。こちらこそよろしくお願い致しますわ!」

アリサは笑顔で手を振って家を出て行った。……良かった。エリーも俺たちとうまくやっていけそうだな。

「さてさてユート君。実は異端審問機関の君にはもう一つ伝えておかなきゃいけないことがあるのです」

みんながいなくなったのを見計らってローザが話し始めた。

「ん? なんだ?」

「このギルド謝祭……表向きにはギルドのみんなに謝を込めてなんて言ってるけど、真の目的は別にあるの」

ローザは人差し指を上に突き立て、もったいぶって言う。……真の目的? なんだろう? 俺はローザの次の言葉を待った。

「真の目的……それは、ヘルヘイムの幹部連中のあぶりだしよ。今回のイベントでは普通じゃ手にらない虹のオーブという超破格の賞品をだしているし、更にはエリーも參加しているってなると奴らが放っておくわけないわ」

なるほどな。エリーはヘルヘイムの幹部兼シスターだから、やつらが取り返しに來ると踏んでるわけか。

「……エリー。さっきアリサに言ったこと、信じていいんだな?」

俺はエリーを真剣な表で見つめる。

「……もう、ダーリンまでそんなことを言いますの? わたくし、こう見えても噓はつきませんのよ?」

「いや、確認しただけだって。俺だってエリーのこと、信じたいと思ってるよ」

「わたしもエリーはもう裏切ったりしないと思うわよ。今ではわたしの可い可い妹分ですもの」

ローザは自慢気に言った。最近ローザはしょっちゅう教會に行ってるから、下手したら俺たちよりもエリーと一緒にいる時間のほうが長いだろう。そのうえでこう言ってるのだから、俺も信じないわけにはいかないな。

「あ、あとね、今日はエリーをここに泊めることにしたから! いいわよね?」

「了解。そしたらエリー、家の案をするから一緒に回ろう」

「ええ。エスコート頼んだわよ、ダーリン」

「……夜が楽しみね、ムフフ」

ローザは意味ありげに笑っている。……夜が楽しみ? 何か企んでるんじゃないだろうな? ローザの言ったことに若干の不安はあるけど、エリーともっと仲良くなれるチャンスではあるし、この機會を楽しむとしよう。

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