《ガチャって召喚士!~神引きからはじめる異世界ハーレム紀行~》第四十六話 騎馬戦

俺が自分のチームの元に戻ると同時に、ローザのアナウンスが始まった。

「さあいよいよ最終予選の始まりよ! 最終予選の種目は――」

ここで楽隊によるドラムロールが鳴り響く。楽隊まで用意してたのか……、ローザは変にこだわるところあるよな。

「――種目は『騎馬戦』よ!」

會の定番種目を持ってきたな。でもこの世界でもルールは同じなのだろうか?

「ルールを説明するわね。まずは騎馬の組み方の見本を見せるわよ、こっちを注目してね!」

司會のローザの橫に教會の係員が五人集まってきて、騎馬を組んだ。騎馬役の土臺が前に一人、後ろに二人、騎手役として上に一人のオーソドックスな形だ。余った一人はその橫に立っている。

「こんな形で四人一組で騎馬を組んでもらいます。余った一人は周りを確認して騎馬に報を伝えるための諜報役よ。ただし、諜報役は敵の騎馬への攻撃は止ね」

一人は騎馬に組み込まれないのか。普通に考えると諜報役は戦闘に向いてない人を選ぶべきな気はするがどうだろう。

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「上に乗る騎手の人にはハチマキを著けてもらいます。このハチマキを奪われるか、騎手が地面に落ちたらそのチームは失格よ。それで最後まで殘ったチームを勝ちとするわ。……だけどこれだけだと逃げ回ったチームが有利になっちゃうわよね。なのでこの勝負には十分の時間制限を設けます。この時間がくるまでに決著がついてなかったら強制終了で、それまでに一番多くのチームを倒したチームの勝ちとするわ」

なるほどね、攻めないことによるリスクもあるわけか。

「ルールはわかったわね? それでは今から五分間作戦會議の時間を與えるわ。チームで話し合ってどういう布陣にするか決めて頂戴。時間がきたら係の者が騎手と諜報役を確認しに行くわ。それでは作戦タイムスタート!」

それぞれのチームが作戦會議を始めだした。

「えっと、アリサはまだ召喚使えるよな?」

「まだ使えるわよ」

「そうしたらアリサが騎手でも構わないか?」

チーム一同が頷いた。俺以外だとアリサが一番力があるし、直接戦いをする騎手には向いているだろう。

「よし、それじゃ騎手は決まり。ただそうすると問題は騎馬を誰にするかだけど……」

アリサ以外の子三人は力のある方ではないし、足も速くない。どうやって組んでも騎馬の機力は他のチームに対抗できそうにないから、ここは腹をくくろう。

「よし、それじゃあ後列の二人は長が同じくらいのシルヴィアとレイチェルに任せたいと思う。そして前列は――」

――――――――――――――――――――

「はい、そこまで! 作戦タイム終了よ! 今から係の者がそれぞれのチームに行くから、騎手と諜報役を伝えてね。それからそのまま係の導に従って各チームのスタート位置に移してもらいます」

俺たちのチームのところに來た係員に機種と諜報役を伝え、開始位置まで歩いていく。

「ちゃんとできるか不安ですわ」

「大丈夫、エリーならできるって。ただ怪我だけはしないように気をつけてな」

エリーは不安そうだ。今回の戦いでは彼がキーパーソンになるからなんとか頑張ってほしい。

「もう始まるから騎馬を組んで待機してください」

係の人に騎馬を組むように促されたので、アリサを上に乗せて騎馬を作る。前列にはエリー、後列にはシルヴィアとレイチェルを配置した形だ。

「全チーム準備はできたようね! それでは最終予選開始!」

ローザの開始の掛け聲がかかると、観客席からたくさんの聲援やヤジが飛んできた。

「頑張って~!」

「アデル君してるわ~」

「『ユートとその下僕たち』に全財産賭けたから頼んだぞ!! 絶対負けんなよ!」

各チームの応援だったり個人の応援だったり々な聲が聞こえてくる。最後に聞こえた野次からすると、この勝負で賭博が行われてるのか? 一部観客の目は走ってるし、多分そうなんだろうな……。負けた時が恐ろしいぜ。

勝負が始まってからしばらくは互いのチームを見合って牽制しあう狀態が続いた。それぞれのチームの間隔は距離にして二十メートルほどはあり、どこかのチームが仕掛けなければ試合はかない。だが俺たちのチームは機力に自信がないので、後ろに回り込まれないことだけを警戒して待機を決め込んでいる。できれば他のチームで爭ってもらって漁夫の利を得たいところだ。

「あ~、もうけないわね! それでも最終予選に來たチームなの! そっちがこないなら私たちから行くわよ!」

敵チームの一つが痺れを切らしてき始めた。あのチームは確か『天使たちのお茶會』だったっけ、チアガールのような服裝を著たの子四人組だ。彼たちはき始めてからすぐに召喚を呼び出した。

「せーのっ! ペガサス!」

先頭の騎馬のの子が掛け聲を上げると、その名の通りペガサスが現れて騎馬を組んだまま空に浮かび上がっていく。

「空を飛ぶとか、なんでもありなのね……」

アリサが驚きの表で呟いた。驚くのも無理はない、俺もこれは予想外だった。騎馬戦ってグラウンドの上でやるもんだろ普通。

「さーて、どのチームからやっつけちゃおうかな」

ペガサスを召喚したの子は楽しそうに舌なめずりをしている。その様子を地上に殘された他のチームはじっと見ている――ただ一チームを除いては。

アデルのチームは他のチームがペガサスに気を取られているうちに、その後ろに勢いよく回り込んでハチマキを奪い取った。早くも一チーム落である。

「いいぞ~! アデル~!」

観客から聲援が沸き起こる。そこで初めてアデルのチームがいていることに気付いた殘りのモブチームがアデルチームのほうを向くが――その瞬間を見逃さず『天使たちのお茶會』チームが降りてきて、鷲が獲を捕らえるときのようにさっとハチマキを奪い取ってしまった。

これで倒したチームの數はアデルのチームが1、『天使たちのお茶會』が1、そして俺たちのチームはゼロってわけか。なんとか挽回をしなければ……。

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