《ガチャって召喚士!~神引きからはじめる異世界ハーレム紀行~》第五十話 組織からの刺客

「なあローザ? 教會から煙が出ているように見えるんだが……」

「確かに、様子がおかしいわね」

プスプスと教會の天井から黒い煙が湧き上がっている。もしかしてこれって火事なんじゃ……?

俺は急いで教會の中を確認しようとすると、頭の中に直接聲が響いてきた。

『ローザ! ユート! 教會の中には敵がいる、ってきてはダメッ!!』

この聲はミルドレッドの聲だ。ローザは俺が扉を開けようとばした腕を抑える。

「――ミルドレッドの召喚『ミ=ゴ』によるテレパシーだわ! 彼はこの召喚で周囲の人にテレパシーで信ができるの。一旦隠れて指示を待ちましょう」

俺とローザは教會のり口から死角となる角っこにを屈めて潛んだ。

『いいか!? お前たちはここから逃げて、セレナード大陸の教會にこの事態を伝えてくれ。――ヘルヘイムのエリート召喚士はもう完していた・・・・・・・・と。……いいか、必ず逃げるんだ。さもないとみんな殺される。――ぐっ』

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ミルドレッドのうめき聲が最後に聞こえ、信はそこで途絶えてしまった。

「……エリート召喚士が完? エリート召喚士ってたしか、Sランク以上の召喚をMAXまで解放しているってことだよな?」

「そうよ……。それにしても助けを求めるんじゃなくて逃げろだなんて」

俺は無言で立ち上がると、教會のり口の扉に再び向かう。

「ちょっと、ユート君!? ミルドレッドの指示を聞いていなかったの? ここは逃げろって言われたでしょ!」

「……関係ない。このままここから逃げ去ったらみんなが危ない」

「あのねっ! ミルドレッドは異端審問機関でずっとリーダーをやってきたの。そのリーダーが逃げろって言うんだから戦っても勝ち目なんてないのよ! 今やるべきことは戦うことじゃない、逃げて報を伝えることよ!」

「普通ならそうなんだろうな。でも俺が機関にったのはつい最近、ミルドレッドは俺の本當の強さを知らないはずだ。――待ってろローザ、すぐに片づけてくるから」

俺はローザの制止を聞かずに扉を開いて中へとった。

――――――――――――――――――――

の焼ける匂いがした。ここは教會なのかと疑うほどに、いつもとは違う景だった。

――灼熱の業火、倒れる人、焼け落ちた長椅子。

地獄のようなこの場所の中心には、紫のを持つ魔神を従えた長の男が立ち盡くしていた。

「お、まだ教會の犬が殘っていやがったか」

その男は俺を見るなり、嬉しそうにくくっとを鳴らす。

「お前がこれをやったのか?」

「そうだが、何か問題でもあるか?」

「――大有りだっ!」

俺は速攻でイフリートを召喚し炎弾を男に放った。しかし、男に炎弾が到達する前に床から火柱が勢いよく噴き出して、俺の放った炎弾はかき消されてしまう。

「――弱い! 弱い! 教會の犬はどいつもこいつもしょぼっちい召喚しか使わねぇ! こんなんじゃ欠がでちまうぜ」

くそっ、なんだあの火柱は……? それに教會全が焼けるように熱い……。あいつの後ろにいる召喚の効果か? 俺はの奧まで焦げ付くような熱さを堪えながらルーペを覗き込んだ。

『SSランク召喚獣 ロキ』 ●●●●●

神と巨人族のを半分ずつ引く異の魔神。

元々はオーディンと義兄弟の契りを結び、

神の國アスガルドに住んでいたが、世界終末の日

――ラグナロクに巨人族を率いて神々に敵対した。

ロキの加護をけたものは自の周辺を灼熱の

フィールドに変換し、火柱を自在にれるようになる。

【召喚持続時間:一時間】

「最終開放されたSSランク召喚だって!? どうりで強力なわけだ……」

「今更わかったって遅いぜ? お前のイフリートなんて俺様から見ればカスみたいなもんなんだよ。逃げるなら今のうちだぜ? もっとも……逃がしはしないがな」

男はギラギラとした視線を俺に向けて指を鳴らしている。

「……ユート、何故ここにってきた。……逃げろと……いっただろ」

ヘルヘイムの男のすぐ近くに倒れていたミルドレッドが、息も絶え絶えな様子で俺に言った。

「安心しろ、リーダー。こいつより俺の方が――強い!」

「……馬鹿言ってないで……逃げ……がはっ!!」

ヘルヘイムの男がミルドレッドを無にも踏みつけた。

「死人は黙ってろ。今は俺と小僧の勝負中なんだ、邪魔すんじゃねえよ」

「おい、てめえ! その汚い足をミルドレッドからどけろ」

「はあ? 誰に命令してんだ、コラ」

男は殺気のこもった目で俺を睨みつける。そしてすぐさま魔力を放出し、俺の居る場所の床から火柱が湧き上がった。

「うわっ、危ねえ!」

俺は咄嗟に橫ステップして火柱を躱した。しかし躱した場所にもまた火の手が上がる、またしても俺は橫ステップで躱した。

「ちょこまかとこざかしい小僧だ。なら一気に焼き殺してやろうか?」

男はそう言うと、今度は俺の四方八方を取り囲むように火柱を打ち出した。

「――逃げるスペースがない!? こうなったら……」

俺は上を見上げた。上から火柱を飛び越えれば躱せそうだ。

オーディンを召喚して俺は飛び上がった。

「逃がさねえよ」

なんと、今度は床からではなく天井から床に向かって火柱が湧きでてきた。――このままいくと炎に頭から突っ込んでしまう。

「――おりゃあああぁぁ!」

俺はイフリートによる炎を天井目掛けて思い切り放った。

「……所詮ガキだったか。イフリートの炎がロキの炎に勝てないのはさっき見ていただろうが、ちっ」

男は興が覚めたようで、舌を鳴らしてがっかりする。

「イフリートがロキに勝てないか……それじゃあ何で俺は無事なんだろうな?」

俺は男のすぐ後ろから聲をかけ、すすまみれになった服をパタパタとはたいてみせた。

「――なに、いつの間に!? てめえ、俺の火柱を吹き飛ばしたっていうのか!?」

「最初にお前に放ったイフリートの炎弾はオーディンの力がってなかったんだよ。だからかき消されてしまった。でも今俺はオーディンを召喚している。……お前、オーディンの能力を知らないのか? 全ての能力を十倍だぜ?」

――それは・・・魔力も・・・例外ではない・・・・・

「さて、それではお仕置きタイムだ。教會のみんなを痛めつけてくれた分を返させてもらうぜ」

「――小僧っ!!」

――ゴギィィィィ!

男が俺の方を振り返るよりも早く、俺の渾の十倍右ストレートが奴の顔面を捉えた。

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