《ガチャって召喚士!~神引きからはじめる異世界ハーレム紀行~》第六十三話 プレゼント

「プレゼントはみんな用意してるわね?」

ローザが確認するとみんなは一斉にプレゼントを取り出した。

この瞬間、俺はちょっと張している。

果たしてみんなのプレゼントと比べても遜ないものを俺は選べたのだろうか……。

「ユート君はプレゼント換は初めてだったわよね? 換にはルールがあってね、まずみんなでを作ってオーブフェスタの歌を唄うの。そして唄っている間、プレゼントを右の人に渡して、代わりに左の人からけ取ってグルグルさせるのよ。歌が終わった時に持っているプレゼントが、その人の貰えるプレゼントになるわ」

振り手振りをえたローザの説明を聞いた俺は、ひとつ気になったことを尋ねてみる。

「最後に持ってるのが自分の用意したものだったらどうするんだ?」

「その時はもう一回だけ右の人に渡してプレゼントを回転させるのよ」

「なるほどね、了解」

「それじゃあ適當にになりましょう」

みんなで席を立ちあがり、ロビーのスペースに集まってを作った。

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俺の左隣にはシルヴィア、右隣にはさやかが立っている。

「それでは始めましょう!」

ローザは大きく息を吸ってからオーブフェスタの歌とやらを唄い始めた。

俺は曲については知らないので適當に調子を合わせる。

「オーブにめられし力を~♪」

みんなの歌聲が耳に心地よく響く。この世界にはカラオケなんてものはないから、みんなの歌聲を聞くのはこれが初めてだ。

といっても両隣の二人の聲は全く聞こえてこないのだが。

「さやか……歌わないのか?」

俺はプレゼントを回しながら、右にいるさやかに聲をかける。

「歌わないじゃなくて歌えないの。……あなたと同じよ」

「あ、さやかも知らないってことか」

てっきりさやかは去年のオーブフェスタに參加しているのかと思ったけど、そうでもないみたいだ。

「シルヴィア、聲が聞こえないぞ?」

今度は左を向いてシルヴィアに聲をかけてみた。

はもじもじとして恥ずかしがっている。

「……わたし……お歌……苦手」

みんなの歌聲が響く中、かすかにシルヴィアの返事が聞こえた。

「そっか、それならしかたないな。でもシルヴィアの歌聲も聞いてみたかったな~」

「……ユート……聞きたい? ……なら……頑張って……みる」

俺の何気ない一言がシルヴィアに勇気を與えたようだ。

「――――――♪」

とても歌が苦手とは思えない綺麗な聲が部屋に響く。

活舌はお世辭にもいいとは言えないが……むしろ何と言っているのかわからないが、そのハミングのような歌聲は上質なオーケストラのヴァイオリンの音のように心に響くものだった。

「シルヴィア、とても上手いじゃないか!」

俺は思わずプレゼントを回す手を止めて褒めてしまった。

「……ユート……プレゼント止めちゃ……ダメ」

シルヴィアは、はにかんで頬を赤らめて言った。

――――――――――――――――――――

「はい、終わり! こっからは念願のプレゼント開封よ!」

ローザは言うや否や、自分の手元に渡ったプレゼントを開け始めた。

「……これは置時計かしら? 貓の絵がとっても可いわね」

ローザに渡ったプレゼントは置時計か、俺のプレゼントと値段的には大差なさそうで良かった。

プレゼント選びに失敗したわけじゃなくて一安心すると、今度は俺のプレゼントが誰に渡ったのかが気になり始めた。

みんなの手元のプレゼントをチラチラ確認すると、どうやら俺のプレゼントはアリサに渡ったらしい。アリサは手際よくプレゼントを開封し始めた。

「中にあるのはアロマオイルとハンドクリームね。ちょうど切れちゃうとこだったからありがたいわ」

どうやら満足してもらえたらしい。

さて、俺もそろそろ貰ったものを確認するか。

手元にはずっしりと重みのあるリボンのついた四角い箱がある。俺は巻いてあるリボンをほどき、箱を開けた。

「――こ、これは!!」

中にっていたのは黒のオーブだった。

「こんな高価なものがプレゼントだなんて! 誰だか知らないけどありがとう、してるぜ!」

俺はテンションが上がってオーブを両手で掲げて部屋を走り回った。

「まさかユート君に渡るとはね。召喚の儀への思いの強さが神様に通じたのかしら?」

ローザがフフッと笑いながら言った。

「その口ぶりからすると、これはローザのプレゼントなのか?」

「ええ、そうよ」

「こんな高価なもの本當にいいのか!?」

「大丈夫よ。それは教會に長年放置されていた持ち主不明のオーブで、つい先日保管期限が切れたばかりなので安く買えたのよ」

俺は激で震えてローザに抱き付いた。

「ありがとうローザ! 謝してもしきれない程嬉しいぜ!」

「もう、現金ねえ……。それで、どうする? もう召喚してみる?」

「いいのか? ここ教會じゃないけど」

確か決まりでは教會以外の場所で召喚ガチャを回すのは止だとか神父が言っていたような。

「いいのいいの、今日は教會も休みだし仕方なかったってことにしちゃえば」

ヘルヘイムが暗躍してるのって、このユルユルな教會の制が関係しているんじゃないかと一瞬思うも、ガチャの魅力には抗えないのでそのことは言わずにおいた。

「それじゃあお願いします!」

俺は黒のオーブをローザに渡した。

「ええ、任せなさい! 深淵に潛む異端者よ、魔界を牛耳る神々よ。……ユート君に力を貸してあげて!」

ピカァ! とオーブが発し、俺とオーブの間はの線で結ばれる。

その後姿を現したのは、とんがり帽子に魔法の杖、ヒラヒラの黒いマントを著けた魔だった。俺はルーペを覗き込む。

『Bランク召喚獣 ケリドウェン』 ●〇〇〇〇

ケルト神話における月と冥府の神。

それと同時に強大な力を持つ魔でもある。

ケリドウェンの持つ大釜で一年と一日の間材料を煮立てると、世界最高の「知恵」「霊」「學問」を得られる魔法の薬を作ることが出來る。

この薬を誤って使ってしまった小人が逃げ出した時、ケリドウェンは鳥に変してその小人を食べてしまったと言われている。

ケリドウェンの加護をけたものは、最後にれた人に変することができるようになる。

【召喚持続時間:三十分】

「――変能力!? これまた便利そうなものが手にったぜ」

「ケリドウェンかぁ。ダンジョンでは使いにくいけど面白い能力よね」

ケリドウェンの事も知っているのか。

ローザは本當にんな召喚の事を知ってるんだな。

「さて、それでは実験したいのだけど……」

俺がニヤニヤして言うとみんなはササっと一歩引いてしまう。

「わ、わたしは嫌よ!」

アリサがいの一番に拒否する。

「じゃあローザ頼む、らせてくれ」

「え、どうせわたしに変しておっぱい自分でみたいだけでしょ。ダメよ」

げ、やろうとしたことがバレてる。

ローザの言葉を聞いたみんなはますます俺から距離を取っていった……一人を除いて。

「コホン、それならわたくしで試してみると良いですの」

なんとエリーが立候補してくれた。

「……こうでもしてユートの好度を上げないと他の人にとられてしまいますの」

エリーが小さな聲でボソっと呟く。

「ありがとうエリー! 恩に著るぜ!」

俺はエリーの手にれると、ケリドウェンを召喚した。

すると俺は完全にエリーの姿に変した、服裝まで完全再現だ。

「すげぇ! これがかぁ。なんかの辺りが凄い違和あるな」

「わたくしの姿と聲でその喋り方をされると違和ありますわね……」

「え、じゃあこうか? ――エリーのおっぱいは重たいですの!」

平手でのビンタが俺の頬に直撃する。

はたから見たらエリーがエリーをビンタしているというとんでもない絵面だろう。

「――はっ!? つい反的に手が出てしまいましたの。……でもそんなことを言うあなたがわるいんですのよ?」

「す、すまん……ですの」

「……もうケリドウェンの能力は確認できましたわね? そしたら元に戻るんですの」

「はい」

もうしエリーので遊びたかったけれど、怒らせてしまっては仕方ない。俺は変を解除した。

「ありがとなエリー」

「禮には及ばないですの。プレゼント換も終わりましたし、お食事に戻りますわね」

「そうだな、まだ食事も殘ってるしこの後も楽しもうぜ!」

その後もパーティーは盛り上がり、とても楽しい夜を過ごすことができた。

朝にヘルヘイムの襲撃があった時は最悪の一日だと思ったけど、最後には召喚も手にったし最高の一日になった。終わり良ければすべて良しだな。

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