《ガチャって召喚士!~神引きからはじめる異世界ハーレム紀行~》第六十四話 決戦前夜

「さて、集まってもらったのは他でもない……ヘルヘイムのことだ」

夜の教會にミルドレッドの聲が響く。

異端審問機関の急招集がかかったので、教會にメンバー全員が集結しているのだ。

「ようやくやつらのアジトを摑めた! なので早速ヘルヘイム幹部の捕縛作戦を実行したいと思う」

ミルドレッドが勢いよく告げた。

殘すエリート召喚士が一人となった今、やつらの戦力は格段にダウンしている。そんな中アジトがわかったとなれば掃討作戦を行うのは當然の帰結だろう。

「で、アジトの場所ってどこなんだ?」

「セレナード大陸のロードアンという街にある」

俺が質問するとミルドレッドは簡潔に答えた。

「セレナード大陸ってことは大陸間を移する必要があるのか……」

「そうなるな。移には小型の気球を使うのでメンバーは選抜していこうと考えている」

「メンバーを絞らなくてもさ、気球を何個も使えばいいんじゃないか?」

俺の率直な質問にミルドレッドはやや困った顔をして答える。

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「教會ですぐに用意できる気球はそれ一個だけだ。明日になれば複數個準備することも可能だろうけど、それじゃ遅いんだ。ヘルヘイムは教會をかくするためにアジトをしょっちゅう変えていて、その頻度は日替わりとも言われているんだ。なので一刻も早く向かわなければならない」

「日替わり? まるで遊牧民族だな。エリーとさやかもそんな生活をしていたのか?」

元ヘルヘイム幹部らに質問すると、二人は顔を見合わせてアイコンタクトをわしてからさやかが答えた。

「……いや、そんなことはなかったわ。アジトにいる幹部はヘルヘイムのトップと風のエリート召喚士だけだったはずよ」

「そうなんだ。その二人を捕まえれば終わりなのか?」

「そう考えて問題ないはずよ。他には強い力を持ったものやカリスマのある人はいないからね」

コロボックル使いのエルハイムなんかも結構強かったけど、みんなを率いるようなタイプではなさそうだもんな。

「おい、そろそろ選抜メンバーの発表をしたいのだが……」

「あ、すみません」

俺が謝ると、ミルドレッドはコホンと咳ばらいをして発表の準備をする。

「選抜メンバーを順に呼ぶぞ……エリシア、ユート、アデル、エリー、それに私を加えた五人だ」

選ばれたメンバーは一斉にハイと返事をした。

それにしても隨分ないんだな、気球ってそんなに小さいのか。

「一応選抜理由を説明すると、エリシアはシルフによる気球の縦員として、ユート、アデル、エリーは戦闘要員として選んだ。よろしく頼むぞ!」

ミルドレッドは選んだ四名に向けて頷きながら言った。

ちなみにエリシアって人は俺がる前から異端審問機関にいる人だ。和な腰のおしとやかなである。

「よろしくね」

早速エリシアから挨拶された。

「こちらこそよろしくお願いします」

俺は一杯の笑顔を作り返事をする。

実はエリシアと話すのはこれが初めて……というかギルドメンバーとアデル以外の機関の人間でまともに話したことがあるのってミルドレッドくらいなんだよな。

「よし、時間もないから選抜メンバーはすぐに準備をしてしい。二、三日がかりの旅になるからセットするオーブも忘れずにな」

そうか、今は夜だけど敵のアジトにつくのは翌朝になってしまうもんな。オーブを持ち運ぶとなると結構面倒だな。

――――――――――――――――――――

その後一旦解散し、選抜メンバーはそれぞれオーブを準備して戻ってきた。

「ユート、お前は何の召喚をもってきたんだ? 他の面々はわかるのだけどお前だけは召喚の手持ちが多いからな」

「オーディン、イフリート、サルガタナス、ケリドウェンの四つです。この中から三つを選ぼうかと」

「……ケリドウェンか。それは使えるかもしれないな。モガディシュ討伐の時と違って今回は敵の通者はこちらにはいない。お前が門番にでも変化してその役をやってもらうことになるかもしれないから覚悟しておいてくれ」

げ、潛任務かよ。

俺は乗り気ではないが、渋々了解する。

オーディンは絶対として、イフリートかサルガタナスを削らなきゃならないな。

「時間は刻一刻を爭う、すぐに移するぞ」

見ただけでわかるオンボロの気球が教會の前に準備されていた。

一応整備はされているようだがこんなんで本當に飛べるのか不安になる。

五人全員が乗ったのを確認すると、ミルドレッドが気球に火をつけた。

気球はゆっくりと上昇していく。

夜ではあるが上から見る景は中々に良い眺めで、特にウィル・オ・ウィスプ通りなんかはまだ明かりが點いているのでとても綺麗に見えた。

「きれいですの」

「そうだな、この世界に來てから空に飛んだことってないもんな」

「ユートの居た世界では空を飛ぶのが普通でしたの?」

「うーん、普通かどうかはわからないけど飛行機っていう気球よりもっと良い能の乗りがあったんだよ」

「そうなんですの、一度乗ってみたいですわね」

俺とエリーで雑談していると、ミルドレッドが釘を差してきた。

「お前ら、遊びに來てるわけじゃないんだぞ。かなり危険な任務だから心してかかれよ」

「「はい!」」

俺とエリーは歓談を邪魔されたことにがっくりしつつもきっちりと返事をする。

「それでみんなに質問なんだが、一泊二日で終わらせるのと二泊三日で終わらせるのどっちがいい? 挙手してくれ」

ミルドレッドを除く四人が挙手した。

一泊二日希は俺とエリーとアデル、二泊三日希はエリシアだった。

旅行だったら長いほうがいいけど任務だもんな。

「わかったそれじゃあ一泊二日で行くぞ、エリシア頼む」

「うぅ……。わかりました。それではみなさん落ちないように捕まっていてください」

エリシアはし涙目を浮かべながらシルフの準備をする。

「みんなも知っての通りシルフの持続時間は六時間だ。中継をはさまずに行くとなるとそれはもう凄いスピードでいくことになる。ま、投票の結果だししかたないよな」

凄いスピード? なんか不安になってきたな。

「方角はあちらのほうですね、それではいきます~。――シルフ!」

凄まじい風が吹き出して気球は流される。

荒れ狂う波に揺られる船のように、俺達が乗っている気球は揺れている。

「うっぷ。これは……酔うぜ」

「安心しろ、すぐに慣れる」

ミルドレッドはいたって平靜だ。

橫を見るとエリーは気球の外に向かって吐き出している。

「大丈夫か!? エリー」

「大丈夫じゃないですわ……。後生だからこっちをみないでくださる?」

エリーはげっそりとして答えた。

俺も正直きついからあとで吐くとしよう。

「アデルは平気なのか?」

「僕は大丈夫だよ。乗りには慣れてるからね」

やっぱりこいつは完璧超人だな……。

こんなやつと並びたてられてスーパールーキーとされている俺の現狀って、相當凄いんじゃないかと今更ながら思う。

「あー、もうつらいですわ! 気球を止めてしいですの!」

エリーがやや狂気味にび始めた。

「あちゃー、エリーは乗り苦手だったか。現地に著いたら一旦休憩が必要だな」

ミルドレッドはやれやれと言った様子で頭をかいている。

「六時間はかからないから、もうしの辛抱だ」

俺はエリーの背中をさすって落ち著かせようとする。

「ダーリ……ユートが言うなら頑張りますの……」

その後も何度かエリーの吐しゃが空に舞ったが、無事目的地までたどり著くことが出來た。

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