《ガチャって召喚士!~神引きからはじめる異世界ハーレム紀行~》第七十一話 流鏑馬

そんなこんなで朝食を終えるころにはサモンランドの開園時間が近づいていた。

り口の扉を開く係の人が來ると、待っている人たちの歓聲が上がった。

「俺達もそろそろ片付けて準備しないとな」

俺がそういって立ち上がるとエリーが不満そうに聲をかける。

「ちょっとユート! フェニックスにみんなで乗るのはいいとしても、ユートはそれまでの時間誰と一緒に回るかをまだ決めてないですのよね?」

「え、てっきりずっとみんなで回るものかと思ってたけど?」

みんな揃ってきたんだからせっかくなら全員で回りたい。

當然の結論だ。

「のんのんですの。結局昨日の夜の話し合いでも今の話し合いでも回るルートについては何一つ決まりませんでしたわ。ここは分かれて行するしかないですの。……わたくしは淑の嗜みとされる、スレイプニルに乗っての流鏑馬やぶさめをやりますわ」

流鏑馬やぶさめ!? 完全に日本の文化じゃないか。この世界、西洋風であってそうでないところも多いのは謎だよな。

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「えっと流鏑馬やぶさめってのは乗馬しながら弓で的をることであってるか?」

「そうですの。異世界人のユートにしては良く知っていますわね」

「いや、異世界人は関係ないさ。さやかも知ってるだろ?」

俺はさやかに目配せするとさやかは頷いた。

「そうね、わたしも勿論知ってるわ。この世界のルーツ、もしかしたらわたしたちの元いた世界と近いものがあるのかもしれないわね。……考えてみれば召喚獣だって」

さやかがそこまで言いかけるとレイチェルが喚き散らかすようにんできた。

「ユートよ! 流鏑馬やぶさめなどという脳筋バカのやることに付き合う必要はないのである! わたしとシルヴィアと一緒にリヴァイアサンによる川下りに行こうではないか!」

「だ・れ・が……脳筋バカですの~!!」

エリーが見たこともないような顔をして怒っている。

まあエリーは脳筋というにはちょっとおかしい気もするな……バカなとこはあるけど。

「わたしはユートが行かないほうに行くわよ。また変な噂されたらたまらないものね」

とアリサは澄ました顔で言う。

この迫した狀況だとアリサと一緒に行くのが斷然いいんですけどその道は絶たれてしまうのか。

……こうなったら。

「なあ、ローザ。俺と一緒に回ろうぜ! 初期からの仲だろ」

ローザの肩を揺らしてやけくそにお願いする。

「とはいってもここでユート君を獨り占めにしたら後が怖いわよ……。また今度ね」

ローザに振られてしまった……。格なる上は!

「よし、それならスレイプニルもリヴァイアサンも両方行くぞ! それで文句ないだろ!」

「文句ありありなのである。一どうやって二つのアトラクションに並ぶのであるか」

「それはだな。例えばレイチェルとシルヴィアの後ろに見知らぬおっさんが並んでるとするだろ。」

「ふむふむ」

「流鏑馬やぶさめから戻ってきた俺がそのおっさんにケリドウェンで変して、本のおっさんにはボコられて眠ってもらう。完璧な計畫だ」

「――卻下」

なんだかんだでここまで話を聞いていたアリサが冷たく重い聲で言う。

「うむ、わたしもそれでは困るのである。実際に一緒に乗るのが中ユートだとしてもおっさんになってしまうのは嫌なのである」

レイチェルは青ざめた顔をして震えている。

おっさんにトラウマでもあるのかこのは。

「じゃ、イケメンのおっさんを選ぶようにするよ」

「馬鹿言ってないでまずは流鏑馬やぶさめをやってきなさい」

アリサが勝手に俺のスケジュールを立てている。

なんで流鏑馬やぶさめ?

「リヴァイアサンはフェニックスに次ぐ人気を誇るアトラクションなのよ。だから流鏑馬やぶさめを先にやればまだリヴァイアサンに並んでいるレイチェル達に合流できるはよ。割り込みになっちゃうけどボコるとかいってるよりはましでしょ?」

「ボコるのは割り込みの手段なんだが……でも流鏑馬やぶさめを先にするのは確かによさそうだな。おーい、エリーいくぞー!」

「全く決めると行が早いんだから……」

アリサが呆れたようにため息をつき俺たちについてくる。

「あれ? 俺とは逆の方に行くって言ってなかったか?」

「弓の練習がしたかっただけよ、あんたと一緒に行したいわけじゃないから変な期待しないで」

「へいへい」

俺とエリーとアリサの三人でスレイプニルの流鏑馬やぶさめ験アトラクションに向かった。

――――――――――――――――――――

「それにしてもサモンランドって遊園地ってじはしないな」

機械仕掛けの乗りが置いてあるわけではないので、遊園地というよりは牧場とか庭園とかそういった趣がある。

「わたしたちにとってはこれが遊園地なのよ、そこは文化の違いなんじゃない」

「もっともだ、アリサよくわかってるじゃないか」

「褒めても何も出ないわよ」

アリサはまた適當に褒めやがってという顔をして頭を掻いている。或いは本當に照れているのかもしれない。

この些細な違いを読み取れるほどの能力はまだ自分にはないようだ。アリサマイスターへの道は遠い。

「ところでエリーは淑の嗜みとかで流鏑馬やぶさめができるんだろうけどアリサはどうなんだ」

「ふっ、わたしにできないと思って?」

妙に自信満々にアリサは俺に向けて笑みを浮かべた。

不気味だ、小さいころに経験でもあったのだろうか。

「ねえ、エリー、ユート。せっかくだし的に當てた回數が一番多い人が一番ない人を今日奴隷にできるっていう罰ゲームをしてみたらどうかしら?」

アリサがこんなにあくどいゲームを思いつくのは珍しいな。

「その勝負乗った!」

「わたくしに勝とうなんて百年はやいですの」

プライド奴隷生活をかけた戦いが今ここに始まろうとしていた。

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