《ガチャって召喚士!~神引きからはじめる異世界ハーレム紀行~》第七十三話 フェニックス
スレイプニルを走らせてフェニックスの影を踏める位置までたどり著いた。
フェニックスは空は我のものだといわんばかりに大きな翼を羽ばたかせて飛んでいる。
「そういえばあれも召喚なんだよな……確認してみるか」
俺はルーペを覗き込んでフェニックスのほうを見た。
『SSランク召喚獣 フェニックス』 ●〇〇〇〇
長い壽命と炎を纏ったしい姿を持つ幻鳥で、
五百年に一度の壽命を迎えると自ら火中にって焼かれ、
その灰の中から鳥の姿となって再生するといわれる。
加護を得たものはフェニックスを自在にることが出來るようになる。
【召喚持続時間:六時間】
フェニックスと言えば誰もが知っている不死鳥だ。
そんな不死鳥をることが出來るなんて、やっぱりこの世界のガチャって凄いよな。
俺はフェニックスみたいな幻獣が將來手にる可能を考え、しワクワクしてきた。
ガチャがある限り誰にだって手にれることが出來るってのは素晴らしい。
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「……と、そんなことよりまずはこの現場を片付けないとな。」
俺は空中にいるフェニックスを目掛けてギリギリと弓を引き絞り、そして弾いた。
気持ちの良い風切り音を放ちながら矢は飛んでいくが、フェニックスには屆かずに地面に落ちてしまう。
重力というものは思いのほか強いらしい。孫氏の兵法でも高い所にいる敵を攻めてはいけないとか読んだことがあるしな。
――でも俺にはオーディンがある。
重力なんかに負けないほどのパワーを引き出すことが出來るはずだ。
「オーディン!!」
俺はオーディンを召喚して、先程より更に強く弓を引いた。弓はミシミシと強い音を立てる。
これ以上引いたら壊れてしまうというギリギリまで引っ張ってから手を離した。
――ドシュッ!!
すさまじい勢いでフェニックスのところまで矢が飛んで行ったが、フェニックスに近づいた瞬間に炎に包まれて矢は塵となって地面に落ちてしまった。
どうやらフェニックスの全から火が溢れ出しているようで、その熱は高溫のようだ。
これでは簡単に矢でることはできそうにない。
弓矢に頼るよりも、フェニックスに直接飛び乗って攻撃するほうがまだ現実的な気がしてきた。
しかし飛び乗る方法であっても炎に焼かれてしまう恐れがあるのは変わらないし、そもそもジャンプするだけでフェニックスの居る上空まで飛べるとは思えない。
俺があーだこーだと考えていると、後ろから聲が聞こえてきた。
「お~い! そこにいるのはユートであるな~?」
この迫した場面に妙に間の抜けた聲である。
後ろを振り返ると、レイチェルとシルヴィアが揃ってこちらに向かって駆けてきているのが見えた。
「お前たち、こんなところにきたら危ないだろうが!」
「危ないのはユートのほうであるぞ! フェニックスに焼かれたら死んでしまうのであるぞ!」
「それはお前たちだって一緒だろ!」
「そんなことはないのである」
レイチェルは隣にいるシルヴィアの帽子を上からポンっと叩いて見せた。
「あ、そうか。テテュスなら炎も防げるのか」
「……うん……わたしのテテュスで……みんなを避難させる」
「わたしは逃げようと言ったのであるが、シルヴィアがどうしても助けると言ってきかぬからついてきたのである」
やっぱりシルヴィアは優しい子だ。
自分の危険よりもみんなを助けることを選べる強さも持っている。
「なぁ、シルヴィア。テテュスを俺に預けてくれないか?」
「……あず……ける?」
「俺がフェニックスにどうにか近づいてナイフで攻撃すれば倒すことが出來ると思うんだ。でもそれには炎を防ぐすべが必要……それがテテュスだ」
シルヴィアはキョトンとしている。
テテュスは俺の召喚じゃなくてシルヴィアの召喚だからその反応も當然だろう。
「……ユートも……テテュス……持ってるの?」
「違う違う、シルヴィアにもついてきてもらうってことだよ」
そう言って俺はシルヴィアにガバっと抱きついて持ち上げた。俺がシルヴィアをだっこしている形だ。
「……ユート……はず……かし……」
シルヴィアは顔を赤くして照れている様子だ。
「し我慢しててくれな。それと、テテュスの発を頼めるか?」
「……ん……わかった」
シルヴィアごとフェニックスの元まで運べば俺がテテュスを使えなくても何も問題はない。
シルヴィアにも危険が伴うが、俺がついているからには絶対に守って見せる。
「これで炎は大丈夫っと。……後の問題はフェニックスにどうやって飛び乗るかだがそれについても考えた。こっちはレイチェルの協力が必要だ」
俺はシルヴィアをだっこしたままレイチェルのほうを見て言った。
「レイチェル、そこにある弓で矢をフェニックスに向けて飛ばしてもらえるか?」
「うむ、これでわたしがフェニックスを打ち落とせばいいのであるな。大役任されたのである!」
レイチェルは嬉しそうに歯を大きく見せて笑うと、弓矢を拾ってキリキリと矢を引き始めた。
矢で撃ち落とそうにも炎で防がれるから無理なのだが、それを伝えるとがっかりされそうなのでここではあえてそのことは伝えない。
「そうだな、レイチェル。俺が合図をしたらフェニックスの頭を目掛けてってもらえるか? あ、そうそう、生半可な力だとフェニックスまで矢が屆かないから、予め俺が弓を引き絞っとくから。それを合図が出るまで抑えておいてくれれば良い。頼めるか?」
「わかったのである!」
俺は限界ぎりぎりまで引き絞った弓矢をレイチェルに渡す。レイチェルは全を使って矢が緩まないようになんとか抑えてくれた。
「うぬぬ……凄い力である。長くは持たぬぞ、早くしてしいのである」
「わるいなレイチェル、すぐ合図するからちょっと待っててくれ!」
その直後俺はフェニックスに向かってシルヴィアを抱えたまま走り、フェニックスの頭とレイチェルの丁度中間の位置までたどり著くと合図を出す。
「――レイチェル!! 今だっ!!」
「うむ、せいっ!」
レイチェルが矢を開放すると同時に、俺は地面を思い切り蹴飛ばして真上を目掛けてジャンプした。
「……ユート!?」
シルヴィアは驚いて目をぱっちりと開いて俺に聲をかけた。
「安心しろシルヴィア! レイチェルの放った矢でフェニックスの上に案してやるよ。名付けてアローカーペット作戦ってな」
「……カー……ペット……??」
レッドカーペットにかけた名前だけど、この世界の住人じゃ意味がわかるはずもないか。
ジャンプが頂點に達したと同時に、レイチェルの放った矢がこちらに向かって飛んできた。
俺はオーディンにより強化された視力によって、矢の線を正確に見極める。
このままいくと俺とシルヴィアの心臓に突き刺さるな。
レイチェルめ、なんてところにってくるんだよ。
――でもそれで良い、完璧な撃だぜ。
俺は上を逸らして矢じりを躱す。
そして矢の真ん中の棒の部分をぎゅっと手で握りしめ俺とシルヴィアは矢の流れに乗った。
それに気づいたフェニックスはこちらに向かって口から火炎放を放つ。
しかしそれも問題ない、テテュスが完璧に炎を弾いてくれた。
矢が無事フェニックスの頭までたどり著くと、俺はひょいっとフェニックスの頭上に飛び乗った。
「優先パスチケットの時間より早く乗れちゃったな俺達。ラッキー?」
俺が冗談を飛ばすとシルヴィアはにこっと笑う。
「……うん……お空……すごいね」
「ああ、凄い眺めだな」
フェニックスの上から見渡す景は言葉では言い表せないほどに綺麗な景だった。しかし今は景観に見とれている場合ではない。
――このじゃじゃ馬フェニックスを止めなくてはな!
「うおおおおおぉぉぉぉぉ!」
俺は腰に差していたナイフを手に取ると、フェニックスの首元目掛けて思い切り突き刺した。
「ギョエァァァァ!!」
フェニックスは気味の悪い聲を上げたかと思うと、にまとっていた炎が消えていく。
そしてそのまま地面に向かって垂直に落下し始めた。
あ、やばい、降りるときの事考えてなかった。
「……こわ……い」
シルヴィアが落下への恐怖で怯えている。
「怖い目に合わせてごめんなシルヴィア。でも安心してくれ、俺が必ず守るから」
俺はシルヴィアが上になるように抱え込んで下へと落ちていく。
これで落下した際にまず衝撃をけるのは俺になる。
それで俺が死ぬことになってもその時は仕方ない。
でも気球から落ちた時も平気だったし、なんとかなればいいなぁ。
俺の意識はそこで途切れてしまった。
人類最後の発明品は超知能AGIでした
「世界最初の超知能マシンが、人類最後の発明品になるだろう。ただしそのマシンは従順で、自らの制御方法を我々に教えてくれるものでなければならない」アーヴィング・J・グッド(1965年) 日本有數のとある大企業に、人工知能(AI)システムを開発する研究所があった。 ここの研究員たちには、ある重要な任務が課せられていた。 それは「人類を凌駕する汎用人工知能(AGI)を作る」こと。 進化したAIは人類にとって救世主となるのか、破壊神となるのか。 その答えは、まだ誰にもわからない。 ※本作品はアイザック・アシモフによる「ロボット工學ハンドブック」第56版『われはロボット(I, Robot )』內の、「人間への安全性、命令への服従、自己防衛」を目的とする3つの原則「ロボット工學三原則」を引用しています。 ※『暗殺一家のギフテッド』スピンオフ作品です。単體でも読めますが、ラストが物足りないと感じる方もいらっしゃるかもしれません。 本作品のあとの世界を描いたものが本編です。ローファンタジージャンルで、SFに加え、魔法世界が出てきます。 ※この作品は、ノベプラにもほとんど同じ內容で投稿しています。
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