《ドラゴンテイマーにジョブチェンジしたら転生してた件》打ち明けた
まず、打ち明ける前に聞いておくことがある。
「話す前にコボルト達はこのままで大丈夫なのかな?」
話の途中でコボルト達が起きたらまずいからね。
「すれ違ったコボルトは皆気絶させている。ここを出るときの一掃しよう」
アレスおじさんがそう言うと、リーチェが補足するように口を開く。
「おじさまが気絶させていなかったコボルト達は私が眠らせておいたわ。念のため、気絶したコボルト達も深く眠らせているから、數時間は話し込んでも問題ないはずよ」
リーチェさん頼りになり過ぎる……
「だったら大丈夫そうだね。し長くなるけど話していきます。まず、この娘はリーチェ。僕の大切な仲間です」
紹介されたリーチェは、僕の橫に並ぶ。
「私はフェアリープリンセスのリーチェ。以後お見知り置きを」
リーチェは、両手でドレスの裾をつまみ、軽くスカートを持ち上げて禮をする。
なんというか優雅な禮だな。
ちょっと貓かぶってるじがする。
「フェ、フェアリープリンセスだと……?!」
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「まさか実在するとは……」
リーチェがフェアリープリンセスだと教えられた2人は驚く。
その反応は疑っているように見えたのか、リーチェの顔は面白くなさそうだ。
「すまない。疑っている訳ではないんだ……フェアリープリンセスは古いお伽話で出てくる伝説上の生きとされているんだ」
「いえ、気にしてませんわ」
伝説上の生きか。
僕からしたら、コボルトですら伝説上の生きだったんだけどなぁ……
「……ちなみになんてお伽話なの?」
しだけ気になる。
リーチェと一緒に見るのも面白いかもしれない。
「何だっけな……」
「勇者と妖姫の霊樹……だったかと思います。大まかな容は、妖姫に一目惚れした勇者が、妖王に婚約を認めてもらうために霊樹の種を探しに行くというものですね。その結果……いえ、どうなったかは緒にしておきましょう」
「えぇ……凄く気になるんだけど。バロンは気を引くのが上手いなぁ……」
勇者と妖姫の霊樹か。
覚えておこう。
「ねえリーチェ。機會があれば一緒に読まない?」
「その語は遠慮するわ。話が線したから戻しましょう?」
あれ? なんかちょっと機嫌が悪い気がする……
早く話を戻せってことかな。
「わかったよ。リーチェごめんね?」
「べっ、別に謝ることなんてないわよ! 一緒に読みたいけど、その語は個人的に嫌なだけ。怒ってないから気にしないで?」
「はははっ! 2人は仲がいいな! おじさん達が蚊帳の外でちょっと妬けるぞ」
アレスおじさんが笑いながらそう言うと、リーチェの顔が赤くなる。
多分、僕の顔も赤くなっていると思う……
「ところで2人どうやって知り合ったんだ? ルシエルと一緒に暮らしてたけど、全然気付かなかったぞ」
「それは……僕がこの世界に生まれる前のことが関係しているんだ……」
僕は、転生したことについてを打ち明けた。
前世では社會人として働いて、時間ができたらずっとゲームをして遊んでいたこと。
そのゲームの世界で、僕はテイマーとしてリーチェを始めとした數々のモンスターを育てていたこと。
そして、ある日ゲームで遊んでいたら、この世界にルシエルとして転生していたこと。
祝福の儀で神様と話して、前世の記憶とテイマーの頃の力を得たこと。
これらのことを覚えている限り、2人へと説明していった。
アレスおじさんとバロンは、何も言わずにずっと聞いてくれた。
「大雑把に説明するとこんなじなんだけどどうかな……?」
僕は2人の様子を伺う。
「この世界にも人は死んだら生まれ変わると言われているからは、転生についてはなんとなくわかるんだが、ゲームの世界というのはよくわからないな……バロンはどうだ?」
「何となくは……例えば、もう1人の私を生み出して、冒険者をやらせるというようなものでしょうか? 今の執事の私と、その冒険者の私を自由に代できるというような……かなり高度な魔法ですね」
「なるほどな……錬金で人のを作って、闇魔法で魂を憑依させるみたいなものか……なんとなくわかった」
いや、それっぽいけど違う。
でも、変に間違いを正してこんがらがるよりはいいのかな……?
「そんなじかな? さすがバロンだね」
「いえいえ。坊ちゃんの説明のおかげです。ところで個人的には、神様と話したというのが気になります。どの神様と話したのですか?」
えーと、神様の名前は確か……
「転生の神リフィア様よ」
僕がよりも先にリーチェが答えた。
「早いよリーチェ。僕が言おうとしてたのに……」
これじゃ僕が忘れてたみたいじゃないか……
神様が聞いてたらどうするんだ。
「転生の神リフィア様ですか……有名な神様ですね。善人が死んだときにその魂を新たな生へと導いてくれると言われている神様です」
バロンは考え込むように下を向く。
「というか、冷靜に考えると神様と話すってすごいな。教會の聖でも、神託として一方的に聲を聞けるぐらいだぞ……」
「そうなんだ……それにしても2人とも信じてくれているの? 正直、話しても信じてもらえないかと思ってた」
僕がそう言うと、アレスおじさんが僕の頭に頭に手を置いて微笑む。
いつも通りの大きくてごつごつとした手の平だ。
その手が僕の頭を優しくなでる。
「正直よくわかってないところも多いけど、ルシエルがそんな申し訳なさそうで泣きそうな顔で話しているんだ。俺は信じるよ」
「坊ちゃん、私もですよ。坊ちゃんが噓をついたときはすぐ顔に出ますしね」
バロンはそう言ってクスクスと笑う。
「でも、僕の中には前世の記憶が混じってるんだよ? 意識だってルシエルのものじゃないかもしれない」
アレスおじさんが困ったような顔をする。
「うーん。そうは言われてもなぁ……俺から見たらルシエルは今までと変わっていないぞ?」
「えっ?」
本當に?
「ああ。いつも元気で泣いたり笑ったり怒ったり……お前がこんな小さなときからずっと変わっていない」
アレスおじさんは、親指と人差し指を1cmぐらい離してそう言った。
「いや、僕はそんなにちっちゃくないよ! ……でも、本當に変わってないの?」
「ああ。だからその前世の記憶も、ルシエルの一部として神様が與えてくれたんじゃないかな? ……俺ももしかしたら、前世は執事だったりしたかもしれないし」
アレスおじさんはおどけたようにそう言う。
「ふふ。アレス様が執事だとすると、私は庭師だったかもしれないですね。なぜか庭の手れが好きなので」
そう言うバロンにすぐさまアレスおじさんが突っ込みをれる。
「何言ってんだ。庭師のハロルドさんが、全部刈り盡くしてしまうバロンには絶対やらせんって言ってたぞ」
そう言えば、2年ほど前に中庭の木が全部切られいて、殺風景になっていたことがあったな……
あれバロンがやったのか……
お爺様が苦い顔をしてバロンと話していたのを思い出す。
もしかして、あれってバロンが説教されてたのかな……
「ははっ。あれバロンがやったのかぁ……いつも何でもこなしているバロンにもそんな失敗があるんだね」
真剣な話をしていたのについ思い出して笑ってしまう。
「にしておいてください坊ちゃん……」
「ルシエル。俺やバロンにだって前世があっただろう。もし俺の前世がただの村人だったとして、ルシエルは俺のことが嫌になるか?」
アレスおじさんはしゃがんで、僕に目線を合わせる。
「ううん。ならないよ」
僕はアレスおじさんと目を合わせる。
「俺達も同じだ。ルシエルの前世の記憶が、俺達と同じぐらいの年のおっさんでも別に嫌じゃない。俺だったら気にせずに、前世の記憶が殘っていてラッキーって思うぐらいな気がするぞ。……だからそう肩肘張るな」
「坊ちゃん、私もですよ。前世も今も含めて坊ちゃんなのだと思います。神様も大丈夫と言ってくださったのでしょう?」
「うん……2人ともありがとう……」
神様も大丈夫って言ってくれたけど、ルシエルの家族から言われると心の底からほっとできたような気がする。
安心して気が緩んだのか、気が付いたら僕は泣いていた。
「優しい家族を持ったわね……」
リーチェがこっそりと聲を出す。
「……うん!」
の奧に抱えていた想いを打ち明け、僕という存在がけれられたことで、僕は本當の意味でこの世界を自由に楽しんでいけるような気がした。
「……よし! 話もルシエルのもわかったことだしコボルトを討伐して出ようか!」
アレスおじさんが槍を片手に倒れているコボルト達に向かっていく。
それを見た僕は慌てて止める。
「あっ、待って! そのことなんだけど……」
ここから僕はみんなの説得を試みるのだった。
……コボルト達を僕の仲間とするために。
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