《ドラゴンテイマーにジョブチェンジしたら転生してた件》騎士と竜人と

槍と盾を手にした俺は、魔導船の甲板後方部へと走っていた。

ルシエル達は船で待機、バロンは奇襲のために甲板のに潛む。

バロンの察知眼によると、魔導船の側面からよじ登ってくる敵は4人らしい。

バロンの初撃で、2対3としたいところだな……

俺が甲板後方部に到著すると、そいつらは甲板に足をつけていた。

敵の數は4人、バロンの報通りだ。

4人とも仮面を著けていて、顔を隠している。

頭の側面に生えている角や素から見える鱗を見る限り、全員竜人のようだ。

俺は敵の得を頭にれる。

長と同じほどの大きな大剣を背負っている筋質の竜人。

サーベルと短剣を腰にぶら下げた軽そうな竜人。

槍を手にした素早い印象の小さい竜人。

右手に短剣、左手に弓を持ち辺りを警戒している細の竜人。

大剣持ち竜人は単純に強そうで、弓を持って警戒している竜人は厄介そうだな……

竜人は、強靭ない鱗を持っている強敵だ。

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生半可な攻撃では、たいしたダメージを與えることはできない。

また、高位の竜人となると、竜人の種族専用のスキルを持っていることも考えられる。

可能であれば、使用される前に仕留めたいところだ……

チャンスがあるとすれば、1対4という人數差で相手が油斷しているこのタイミングぐらいだろう。

俺は、バロンの奇襲に合わせて全力の一撃を叩きこむつもりでいた。

そのためにも、奴らの目を俺に引き付けておく必要がある。

「お前ら! 無斷で人様の飛空艇に乗り込んで何のつもりだッ?!」

俺は目立つように大きな聲でんだ。

俺の存在に気付いた奴らは、こちらに向かって歩いてくる。

その足取りと態度は、明らかに油斷しているようにじられた。

「ハッハッハッ! おい! ショボい貴族の護衛騎士がなんか吠えてるぜ!」

槍を持った竜人が、こちらを指さして笑っている。

「きたねぇ聲でうるせぇよ……その口を閉じろカス」

大剣持ち竜人が、槍を持った竜人に大剣を突きつける。

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「はいはい。仲間割れしている時ではありませんよ?」

サーベルを持った竜人が、場をとりなす。

その竜人は、そのまま俺の方を向く。

「さて、人間の騎士さん。あなたも雇われているだけでしょうし、大人しくしていてくれませんか? そうするなら、あなただけは見逃してあげますよ?」

投降しろと言ってくるが、そんなのに従う理由がない。

だが、報を得るためにもあえて乗ってやる。

経験上、今みたいに仲裁を擔當する奴は、大抵がおしゃべりな奴だからな。

「……いいだろう。俺もここの貴族に雇われているだけだからな。……ここを狙うということは、あの卵がしいのか?」

こいつらが攻める理由があるとすれば、ルシエルが持つあの卵だろう。

もしくは、珍しいアイテムを持つルシエル自か、伝説のフェアリープリンセスであるリーチェだ……

「そうですね。我々の狙っているのはあの卵です」

やはりか……

でも、外では隠していたはずだ。

どこでれた?

「それと、容姿に優れたあの達を生け捕りにすることですね」

「ッ?! ……どういうことだ?」

俺が聞き返すと、槍持ち竜人が前に出て笑い聲をあげる。

「そんなのヤルからに決まってんだろ? それで飽きたら奴隷として売るんだよ! 人間のくせして、あの達は質がよさそうだったからな! 高値で売れるだろうぜ! ハッハッハッ!」

「ゲスが……」

こいつらは許すわけにはいかない。

ここで確実に仕留める。

俺はもう二度と家族を失うわけにはいかないッ!

俺が槍を握りしめていると、大剣持ち竜人は、再び槍を持ち竜人へと大剣を突きつける。

「うるせぇんだよ……その頭を消し飛ばすぞ?」

大剣持ち竜人が鋭い殺気を放つ。

奴らの視線が大剣持ち竜人に集まった瞬間、白銀の線が走った。

「あ……が……」

サーベル持ち竜人の首が落ちる。

竜人の首を切り落としたバロンは、そのまま弓持ち竜人へと向かっていく。

今だッ!

俺は手に持った槍で、最速の突きを放つ!

狙いは、この狀況についてこれていない槍持ち竜人だ!

突き出された槍は、風を切り、うねりを上げるように槍持ち竜人のへと向かう。

槍持ち竜人は、こちらに気付くが、このタイミングではもう遅い。

「チッ!」

この攻撃に大剣持ち竜人が反応していた。

大剣持ち竜人の立ち位置は、俺と槍持ち竜人の延長線上だ。

たとえ反応できたとしても、俺の攻撃を防ぐことはできないだろう。

これで2対2だ!

……だが、俺の予想は裏切られた。

確かに、槍持ち竜人のは貫かれた。

しかし、貫いたのは俺の槍ではない。

「ガハッ!」

槍持ち竜人は、腹部を大剣に貫かれていた。

大剣持ちは、そのまま大剣を頭上へと振り上げる。

それにより、槍持ち竜人は後方へと飛んでいく。

し間が空いて、槍持ち竜人の槍が甲板に突き刺さる。

「後ろでポーションでも使ってろカス。それにしても……ッ!」

大剣持ち竜人は、そのまま大剣を振り下ろす。

ガギィィィンッ!!

俺が突き出した槍と振り下ろされた大剣のぶつかり合う音が響く。

「クッ!」

俺の手に重い一撃が伝わってくる。

なんていう一撃だ……ッ!

こいつ……ただの竜人じゃない。

種族専用のスキル持ちか?!

「……味方を売るカスだと思えば、なかなかいい攻撃するじゃあねぇか! お前、俺達を嵌めたな?」

大剣持ち竜人は鼻で笑う。

俺はバックステップして距離を取った。

「俺の一撃をけ止める奴なんざそういねぇ! おもしれぇぞ! 楽しませてくれよ?!」

そう言って、大剣持ち竜人は俺に切りかかってくる。

俺は、それを盾でけ流して槍で反撃する。

いつもの俺の戦闘パターンだ。

この攻め方で、バロンが駆けつけるまで耐える。

俺は持久戦に持ち込むつもりだ。

……しかし、俺の槍はあっさりと大剣持ち竜人の左腕を貫いてしまった。

「なっ?!」

あまりにも不自然だ。

向こうから刺さりに行ったようにも見えた。

槍を引き抜こうとするが、槍は刺さったまま抜けない。

……しまった! これは罠だ!

「右半ががら空きだぞ?」

俺の右半は、槍と共に前に突き出たままだ。

奴はそのびきった右腕を大剣を振るう。

今からを引いても、盾を出しても間に合わないッ!

右腕を持っていかれるッ!

そんな中、俺の脳にあるやり取りが浮かんだ……

「俺がしごかれる必要はあったんだろうか……?」

「やったぞルシエル! レベル60になってパラディンになってる! 聖盾ってスキルも覚えているぞ!」

「ええっ?! 噓でしょ? 冗談だったのに……!」

俺は、無意識のうちにスキルを発した。

「聖盾ッ!」

その瞬間、盾から強烈なが放たれた。

「グッ……ガァッ!」

大剣持ち竜人は、不意の閃せんこうに目をくらませてひるんだが、大剣を振り切る。

この一瞬さえあればッ!

俺は槍を手放して、右半を引く。

ブォォォンッ!

ついさっきまで俺の腕にあったところへと、大剣の重い一撃が振るわれる。

魔導船へと強烈な一撃が叩き込まれた。

甲板の木が砕ける轟音とともに木片が宙に飛び散る。

大剣持ち竜人が、全力で大剣を振り切った後、わずかな隙ができた。

その隙は逃さないッ!

俺は、右半を引いた分、左半を前に出す。

左手に持つは、聖盾の効果を得た盾。

その盾を全力で突き出す。

「ガハッ!」

盾で毆打された大剣持ち竜人は、大剣を落として後方へとぶっ飛んでいく。

その軌道は魔導船の外。

手をばしても魔導船にはれられない距離だ。

これでこの竜人は、空へと放り出されるだろう。

……だが、またしても俺の期待は裏切られる。

奴は、左腕に刺さった俺の槍を引き抜き、魔導船の甲板の柵へと突き刺すことで、魔導船の外に放り出されることを防いだのだ。

「なんて奴だ! タフすぎるだろ……ッ!」

まだ戦闘は終わっていないってことか……

バロンの方を見ると、バロンは殘りの2人の竜人と戦っていた。

……奴がバロンの方に向かわないようにしなければならない。

俺は、槍持ち竜人の槍を拾って、奴のもとへと駆ける。

あと、その途中で奴が落とした大剣は、ちゃんと魔導船の外へと放り投げておいた。

抜かりはない。

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