《ドラゴンテイマーにジョブチェンジしたら転生してた件》更なる仲間

リュークが妹を呼びに行っている間、僕達は今後の打ち合わせをしていた。

「ついリュークを仲間に引きれちゃったけど、これからどうしようか? まだ夕飯の準備までには時間があるし、僕とリューク達の裝備を整えたいと思うんだけど……」

そう、今日の探索のリミットは、バロンが夕飯の準備をする時刻まで……

それまではあと2時間ほど時間がある。

できれば、その間に裝備を整えておきたい。

そうしたら、明日の晝に冒険者の初心者講習をけた後、パーティでダンジョンを様子見に行ける。

「ふむ。問題ないですよ。……ただ、食材の補充をしておきたいので、買いの時間も考慮しておいてもらえると助かります」

「そうね。私もお菓子を買いに行けるのなら問題ないわよ」

「わかった! ……って、あれ? お菓子を買いに行くのは、また今度って話じゃなかったっけ?」

また今度お菓子を食べに行こうって話してたような……

「……ところで、アステルはよく寢るわね」

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リーチェは、自の腕に抱かれて眠っているアステルを見ながらそう言った。

話を逸らしたどころか、僕の問いを聞かなかったことにしたぞ……

まあいいか。

リーチェにはすごく助けられてるしね。

長させるためによく眠るんだと思うよ。人間の赤ちゃんは、1日の6、7割ほど寢るみたいだし……まあ、アステルも同じなのかはわからないけど」

「ふーん。じゃあ、しっかり寢られるように見てあげないとね」

リーチェは優しい表でアステルを見つめる。

それは、母親が自の子供を慈しんでいるような景。

僕はその景にし見惚れていたのだった。

「どうかした?」

見過ぎていたのか、僕の視線が気になったリーチェはそう言った。

「い、いや、なんでもないよ! いやー、リューク達はまだかなー?」

それに対して、僕はそう誤魔化すぐらいしかできなかった。

見惚れていたなんて、恥ずかしくて言えないよ……

そんな僕とリーチェのやり取りをバロンは優しい眼差しで見守っていたのであった。

▽▽▽

僕達が話をしながらしばらく待っていると、冒険者ギルドのほうからリュークが走ってくるのが見えた。

リュークの後ろには1人のの子がついてきていた。

「すみません! 遅くなりました!」

僕達の前まできたリュークはそう言って頭を下げる。

後ろのの子も一緒に頭を下げた。

リュークはそうでもないけど、後ろのの子は息を切らしている。

「いやいや、気にしなくても大丈夫だよ。走ってこなくてもよかったのに……しんどかったでしょ?」

僕は苦笑いする。

「い、いえ……だ、大丈夫……です……」

の子はそう言うが、明らかに疲れている。

まあ、全フル裝備で全力疾走したらこうなるのも仕方ない気がする。

僕はベルトから水筒の魔道を取り外し、の子へと差し出す。

「とりあえず、水を飲んで落ち著こうか……」

「あ、ありがとう……ございます……」

の子は水筒の水を飲んで、落ち著いてきたようだった。

そして、急にはっとした表になって、慌てて水筒を返してくる。

「あ、ありがとうございました! あと、ごめんなさい!」

「あ、うん。気にしなくてもいいよ。リュークも飲む?」

水筒を返してもらった僕は、リュークにも尋ねる。

「い、いえ。自分は大丈夫です。お気遣いありがとうございます」

「わかった。じゃあ、自己紹介をしようか。僕はルシエル・クリステーレ」

「私はリーチェよ」

「私は執事のバロンと申します」

「自分はリューク・サウスレクスです」

の子は、自分の兄がサウスレクスと名乗ったことで目を見開いた。

リュークは、固まっているの子に名乗るよう促す。

「リュ、リューネ……サウスレクス……です」

リューネは、不安げな表でそう言った。

「リューネちゃんって言うんだね。……リューク、リューネ、これからよろしくね」

僕は2人に微笑み、両手を2人に向かって差し出した。

「よろしくお願いします!」

「よ、よろしくお願いします……」

リュークはがっしりと僕の右手を握り返し、リューネは恐る恐る僕の左手を握り返してきた。

リュークの手もリューネの手も、どちらもらかくて子供の手というじがする。

今まで武なんて扱ったことがないような……

そんな、ぷにぷにとした手だった。

ここで改めて2人を見てみる。

どちらも、僕と同じぐらいの長で、年もそう離れていないだろう。

リュークとリューネは2人とも黒髪だ。

リュークは、その黒髪をし長めのストレートにしていて、リューネはふんわりとしたショートカットにしている。

瞳のし違うみたいで、リュークはやや緑っぽい青、リューネはやや青っぽい緑だ。

やっぱり兄妹だからなのか、2人ともし似てる気がする。

特徴があるとすれば、リュークはややキリっとしたじ、リューネがややふわっとしたじかな?

「瞳のし違うんだね。リュークは青でリューネは緑、どっちも綺麗だよ」

僕がそう言うと、リーチェも頷いた。

「そうね。き通った綺麗な瞳をしているわ」

「そ、そうですかね……? 自分ではよく意識したことはないです」

そう言いつつも、リュークとリューネは照れているようだった。

「あ、あの、リーチェさんの瞳も、寶石みたいですごく綺麗です……」

「そう。ありがとう、リューネ」

そう言って微笑むリーチェを見て、リューネは顔を赤くしてうつむいた。

そのやり取りを見て、僕はしだけ安心した。

このメンバーでなんとかやっていけそうな気がするな。

今日だけで仲間が2人増えたし、この調子で進めていきたい。

僕は高ぶる気持ちを抑えて、これからのことを考えるのであった。

▽▽▽

冒険者ギルドと同じくして、ダンジョン街の中央區に存在する大きな市場。

その市場へと、僕達は足を運んでいた。

僕、リューク、リューネは、冒険者のフル裝備だ。

傍からだと、リーチェお嬢様とその執事の護衛をしているようにも見えてしまう。

そのため、店を通る度にリーチェが聲をかけられてしまい、リーチェはしうんざりしていた。

「坊ちゃん、ここが冒険者用達の武屋のようです」

ドグロウ武店。

看板にはそう書かれていた。

中にると、壁には剣や盾、斧などが掛けられていて、棚には短剣やハンマーなどの小型の武が置かれていた。

槍や弓などはスペースを取らないようにまとめて立てかけられていた。

通路間の幅も広くて、そこそこ大きな店だ。

一度に數十人はれるだろう。

を見渡していると、奧から1人の男が出てきた。

立派な髭を蓄えていて、がっしりとした格を持つ、背の低い男……ドワーフだ。

「おう。客か?」

そのドワーフは、低くて落ち著いた聲でそう言った。

バロンがドワーフのもとに向かう。

「ええ。坊ちゃんが使う武を探しております。大変珍しい武なのですが……」

「なんの武を探しているんだ? 大抵の武はあるから期待には応えられると思うぞ」

ドワーフはを張ってそう答えた。

「鞭でございます」

バロンがそう言うと、ドワーフは困った表となる。

「鞭? 鞭か……すまん。調子のいいこと言ったが、この店に鞭はない。……実は、あまりにも売れなかったから、作るのをやめたんだ」

「そうですか……」

まじですか。

僕が持っている鞭は、カースウィップ・メドューサしかない。

この鞭は強力過ぎて訓練にならないから、ピンチの時以外は封印するつもりだ。

しばらくは、ロープと槍一本で戦うとするか……

「……じゃあ、リュークとリューネの裝備を整えるとしようか」

僕がそう言うと、2人とも驚いた表になる。

「すみません。僕達、お金ないです……」

「ごめんなさい……」

2人してそう謝ってくるが問題なしだ。

「大丈夫だよ。僕の貯金から出すからね」

「そんな! そこまでしてもらうわけには!」

リュークはそう言って斷る。

でも、僕からしたら、ちゃんとした裝備でダンジョン攻略に臨んでほしいんだよね……

リュークとリューネが持っている武は、ボロボロで錆びだらけのものだった。

明らかに品質が悪い。

「いいんだよ。僕達はパーティだし。ここで裝備を整えることで、今後のダンジョン攻略が楽になるはずだ。……もし、気になるなら、借金を返した後に余裕ができたら返してくれればいいよ」

僕がそう言うと、ドワーフのおじさんも會話に加わる。

「この坊ちゃんが正しい。ちゃんとした武を使っていないと、いざという時に痛い目をみるぞ。それがピンチの時ならなおさらだ。……いい武にしておけば、仲間を助けるのに間に合った。そう後悔することがないようにな」

僕とドワーフのおじさんにそう言われた2人は、し考えた後に神妙な顔になって頷く。

「わかりました。すみません……今はお言葉に甘えさせてください」

「あ、ありがとうございます!」

2人はそう言って頭を下げた。

「じゃあ、2人の裝備を見ようか! おじさん、2人に合いそうな裝備をお願いします。……あっ、できれば高いやつ以外でお願いします」

僕がそういうと、ドワーフのおじさんは吹き出して笑った。

「おい。今の流れは、金はいくらでも出すから、2人にいい裝備を頼むとかだろ! まったく、待ってろ。今から見繕ってやるから……それと、俺のことはドグロウでいいぞ」

ドグロウさんはそう言って、店の奧へと向かった。

その後、2人の裝備は無事整ったが、僕の予想以上に高かったため、僕のお財布の中はかなり寂しくなったのであった……

なお、リーチェのお菓子もしっかりと買わされたのだった。

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