《ドラゴンテイマーにジョブチェンジしたら転生してた件》ダンジョン街の北區

今のパーティでゴブリン達にリベンジを果たすまでは、奴隷のことを一旦置いておく。

……と言っていたにもかかわらず、僕とアレスおじさんは北區をぶらついていた。

アレスおじさんに北區をぶらついて帰ろうとわれて、そのついでに奴隷商館の下見をすることになったのだ。

「おっ、ここも変わってないなぁ……」

僕の隣でアレスおじさんがそうつぶやいている。

北區についてからアレスおじさんは、ずっと辺りをきょろきょろと見渡していた。

何か探してるのかな……?

「アレスおじさん、何か探してるの?」

僕がそう聞くと、アレスおじさんがビクっとする。

「いや、別に……? 奴隷商館に向かってるところだぞ?」

明らかにあやしい……

これ、絶対迷ってるよね?

「さ、こっちだ。……たぶん」

「今、ボソッとたぶんって言ったよね?」

アレスおじさんは僕から顔をそむける。

自信満々に案してくれるって言ってたのにな……

完全に忘れているみたいだ。

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「あっ、あの辺りにありそうじゃない?」

僕が指差したところは、賑やかなで華やかな裝飾の店が並んでいた。

奴隷商館というぐらいだから、こんなじできらびやかなじだろう。

貴族用達のお店ってじがするし……

「あ、あそこはだな……」

僕の指差した方向を見たアレスおじさんは、し気まずそうな顔になる。

何か言おうとして口を開くが、何も言わずに閉じる。

ん? どうしたんだろう……?

そこで、後ろから知らない聲が聞こえてきた。

「あそこは大人の男がお花を買うところですよ」

聲のした方向を振り向くと、1人の壯年の男が立っていた。

「道に迷っているようでしたので、聲をかけさせて頂きました。どこかお探しでしょうか?」

アレスおじさんは満面の笑みで頷く。

「ええ。お恥ずかしながら、道に迷ってしまいまして……奴隷商館を探しているのです」

「奴隷商館ならこの道を真っすぐ行ったところにありますよ」

目の前の男が指し示す方向は、僕達の進んでいた方向だった。

「ありがとうございます。助かりました」

「いえいえ、では私はこれで……」

アレスおじさんはお禮を言った後、得意げな顔になって僕を見る。

「な? やっぱり俺が言ってた方向で間違ってなかっただろう?」

僕は苦笑しながら頷く。

「そ、そうだね」

道に迷ってたって言っちゃってたけどね。

それにしても、大人の男が花を買う場所……つまり花街か。

今後お世話になることがあるかもしれないし、北區には花街があるってことを覚えておこう。

僕達はそのまま真っすぐ歩いていくと、ふとアレスおじさんが立ち止まる。

「著いたぞ! ここが奴隷商館だ。いやー、全然変わってないな!」

僕達は奴隷商館を見上げた。

窓の數からすると、3階建ての大きな建だ。

アレスおじさんは、奴隷商館の扉を開いて中にる。

僕もその後に続いて、奴隷商館へと足を踏みれた。

▽▽▽

奴隷商館にってすぐのところには付があった。

付には1人のが立っていて、こちらに向かって微笑む。

「いらっしゃいませ。今回はどのようなご用件でしょうか?」

「ええ。近いうちに奴隷を購しようと思っていまして、今回はその相談に來ました。こちらは紹介狀になります」

アレスおじさんは、エウロスさんからけ取った紹介狀を差し出した。

付のは、紹介狀の裏に書かれた紹介人の名前を見て驚愕した。

「しょ、々お待ちください。ただいま、擔當のものを呼んで參ります!」

慌てた付のは、付の奧の部屋へと引っ込んだ。

「なんか、すごくビックリしてたね……」

「まあ、四竜公の名前を使えばこうなるさ」

しばらく待つと、付の奧からふくよかな男が出てきた。

「お時間を取らせてしまい申し訳ない。自分が案しますのでどうぞこちらへ」

ふくよかな男の後ろについて行くと、豪華な裝飾が施された個室へと案された。

この個室にいるのは、僕とアレスおじさんと案のふくよかな男の3人だけだ。

僕達はソファへと腰を下ろして対面する。

「改めまして、今回はよくぞいらっしゃいました。自分はこの奴隷商館の副會長を務めているレイドスと申します」

ふ、副會長……

そんな偉い人が対応するとは、四竜公のビックネーム恐るべし……

「これはご丁寧にどうも。私はアレス、こちらはルシエルです」

「ルシエルです。よろしくお願いします。今回は近いうちに奴隷を買おうと思いまして、訪問させて頂きました」

挨拶と共に今回の訪問理由についてを言っておく。

「ふむ。どのような奴隷をお求めですかな?」

奴隷の希としては、あらかじめ考えておいた。

まず、犯罪奴隷でないこと。

次に、僕のパーティの年齢と近しいこと。

最後に、ダンジョンで戦うことを許容していること。

僕はそのことをレイドスさんに伝えた。

「うーむ。その條件では厳しいですな。子供の奴隷は最近買われていなくなりましたし、殘りは犯罪奴隷しかおりませんぬ。……奴隷商ギルドからの奴隷を待つしかない狀態ですな」

奴隷商ギルド……?

そんなのがあるのか。

「そうですか……新しい奴隷が來るのは、一どれくらいになりますかね?」

「半年はかかるでしょうな。他の大陸を順番に経由してくるので、遅くなってしまうのです」

大陸間で奴隷をシャッフルしてるのかな?

ということは、別大陸の人が奴隷として來るのかもしれない。

「は、半年もですか……」

僕がどうしようか考え込むと、レイドスさんは口を開く。

「ですが……どうしても急ぎでというのなら、2週間後のオークションに參加してみてはどうですかな? オークション用の奴隷は一般奴隷とは別口ですしな。……オークションには紹介狀と多額の資金が必要ですが」

オークションもあるのか。

ドラグヘイムっていろんなところがあるな……

「紹介狀はこちらで用意できますが、いかがなさいますかな? ……もちろん無償ですぞ。基本的には、お得様のみに用意するものですが、風竜公様の紹介で來られた方を手ぶらで返すわけにはいきませぬからな」

「ぜひともお願いします!」

それは非常にありがたい。

紹介狀はお言葉に甘えるとして、あとはオークションの資金か……

エウロスさんから貰った100萬ゴールドで足りるかな?

「……ちなみになんですが、オークションで奴隷を買うとしたら、毎回どれくらいまで上がりますか?」

僕がそう言うと、レイドスさんは思い出すかのようにし上を向く。

「そうですな……オークションでの奴隷の金額は、100萬ゴールドから500萬ゴールドほどですな。ただ、珍しい種族の場合はその限りではありませぬが……例えば、半年前のオークションでは、ヴァンパイアの青年が1200萬ゴールドで落札されていましたぞ」

「「1200萬ゴールド!?」」

僕とアレスおじさんは絶句する。

日本円にして、1億2000萬円!?

プロ野球選手の年俸レベルじゃないか……

とてもじゃないけど、そこまで高いのは難しい。

……でも、100萬ゴールドから500萬ゴールドなら狙えるかもしれない。

手持ちのアイテムをいくつか売って金策しようかな?

ここら辺はみんなと相談しよう。

驚愕している僕達を見て、レイドスさんは豪快に笑った。

「はっはっは! 自分も実際にオークションで見て驚愕しましたぞ! ……まあ、そのようなことはそう何度も起こらないとは思いますがな」

「そ、そうですか。……お金のほうは何とかします」

「おお、そうですか! では紹介狀を用意しますので、々お待ちを……」

レイドスさんはそう言って部屋から出ていった。

「おい、ルシエル。何とかするって言っても大丈夫なのか? 100萬ゴールドだけじゃあ心もとないぞ?」

アレスおじさんが心配した様子でそう言う。

「うん。僕の手持ちのアイテムを売れないか考えてるんだけど、帰ったら相談に乗ってもらってもいいかな?」

この際、インベントリの整理も兼ねて、いらないものは売ってもいいと思う。

使ってない裝備とかも結構ってるしね。

「……わかった。でも、前に貸してもらった盾あるだろ? もし、あれを売るなら俺に買い取らせてほしい。何年か払いで」

前に貸した盾?

ああ、聖騎士のカイトシールドか。

あの盾は売らないつもりだったけど、アレスおじさんがしいならあげてもいいかもしれない。

日頃お世話になってるし、いつも僕達のことを守ってくれてるしね。

「お金なんていらないよ。いつもお世話になってるし帰ったら渡すよ」

僕がそう言うと、アレスおじさんはポカンとした顔になった。

「ほ、本當か?! 前にも言ったかもしれないが、あの盾は國寶レベルの裝備だぞ? ……いいのか?」

「いいんだよ。あの盾でみんなを守ってあげてほしい。……もちろん僕も」

アレスおじさんは、満面の笑みとなって僕の頭をでまわした。

「おう、任せておけ! みんなは俺が守るから安心しておけ!」

その後、レイドスさんが戻ってくるまで、ご機嫌なアレスおじさんにでまわされる羽目になった。

心配そうな顔をしたレイドスさんから、オークションの紹介狀と今回のオークションの冊子をけ取った後、僕達はお禮を言って奴隷商館を後にする。

そして、外に出た頃には辺りは夕暮れ時……

僕達は慌てて魔導船へと帰ることになるのであった。

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