《悪魔の証明 R2》第149話 088 アカギ・エフ・セイレイ(2)
「サイレンサー38式はアルフレッドさんがエリシナさんから先程け取ったもの――フリッツさんの部屋にあったもの以外にもうひとつある。そのもうひとつは……アルフレッドさん。あなたがスピキオさんを殺する直前に手にれたものです」
再び口を開き、言う。
「殺……そんな、まさか。アルフレッドさんが……」
クレアスが聲を震わせる。
気になったので顔を確認してみると、クレアスは信じられないといったじで大きく目を見開いていた。
彼が驚くのも無理はないが、今は細かく説明している暇などない。
そう思いながら、視線を前へと戻す。
「クレアスさん。話し合いは一度アルフレッドさんのサイレンサー38式を渡してもらってからにしましょう。僕の説明が正しいかどうかは、それから判斷しても遅くはありません。それで問題なければ、アルフレッドさんにサイレンサー38式を返せばいい」
半ば祈るような気持ちで、クレアスに提案した。
彼がこれに乗ってくれるかどうかはわからない。だが、これが斷られたらすべてが終わってしまうことだけは間違いない。
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「あ、ああ。そうだな」
戸いを見せながらもクレアスは、僕の提案に賛同してくれた。
僕のからほっとした聲がれる。
「クレアスさん。ではお願いします」
と、聲をかけた。
僕の呼びかけに頷きながら、クレアスはゆっくりと足を前へ進める。
「アルフレッド……さん。これは念のためだ。アカギ君の説明が終わるまで、一旦俺が預かろう。それに、一般の人が拳銃を二丁持っていても正しく扱えるわけではない。サイレンサー38式がふたついるという理由があるのであれば、すぐに返す。だから、気を悪くしないでくれ」
そう説明しながら、手をアルフレッドの方へと差し出す。
さらにか、クレアスがもう一歩前へ足を踏み出そうとした矢先のことだった。
ククッと、急にアルフレッドが薄気味悪く笑い出した。
「もう、面倒だ。それもむかつくほどにな。それでいいよ、アカギ。俺はARKだ。おまえが推察した通りテロリストだよ」
と、告げる。
み、認めた――それも、あっさりと……
こうしてはいられない。
今しかないとばかりに僕は、
「クレアスさん。アルフレッドはすでに自白しました。早く取り押さえてください」
と、んだ。
だが、僕の臺詞が終わる前に、アルフレッドが腰から拳銃を引き抜いた。
「やはり、サイレンサー38式はふたつあったのか」
拳銃の正を見た僕は、再確認するかのように聲をらした。
これで、彼の手には計ふたつのサイレンサー38式。それは、僕の推測が完全に當たっていたということを示していた。
「おまえを殺して、俺は生き殘る。もう完全に當初の作戦は破綻してしまったが――まあどっちにしても口裏を合わせるんだから、一緒だな」
アルフレッドは軽口を叩くかのように言う。
視線を僕の方へと向ける。
もう一刻の猶予もないと判斷した僕は、
「クレアスさん」
と、再び呼びかけた。
今すぐ対処しないと、アルフレッドに殺されてしまう。
「クレアスさん?」
クレアスの反応がないので、疑念まじりにまた聲をかけた。
すぐにクレアスへと目を移す。
彼の応対は完全に遅れていた。
今、ようやく彼の背後にあるサイレンサー38式へと手が回ったところだ。
クレアス・スタンフィールド、なんて頼れない男だ。
そのようなことを僕が思う最中、
「一般人がサイレンサー38式を二丁使えない? まあ、そうかもな。だが、俺は一般の人間ではない。何せテロリストだからな」
アルフレッドは言う。
臺詞からはかなりの余裕をじさせた。それを鑑みると、彼にはそれ相応の戦闘経験があるのであろうことは容易に想像がついた。
まずい、このままでは間違いなく殺られる――
僕の心は瞬時に恐怖に支配された。
だが、次の瞬間、思いもよらぬ景が目の前で繰り広げられた。
エリシナが、拳銃をアルフレッドの後頭部に當てる。アルフレッドはそれに気がついていないのか、僕たちを挑発するかのような態度を未だ見せている。
そんな中、エリシナは有無を言わさず、引き金を引いた。
え、とアルフレッドは聲をあげたが、その後すぐに鳴り響いた銃聲によりそれはかき消された。
一瞬の間もなく、アルフレッドのは地面へと崩れ落ちる。
通路に這いつくばった後、アルフレッドはしを痙攣させたが、その震えは間もなく止まり、束の間の後ぴくりともかなくなった。
「さあ、クレアス。テロリストのひとりは死んだわ。早く次のテロリストを殺しに行きましょう」
死となったアルフレッドに見向きもせず、そう言ってエリシナはクレアスをう。
その後すぐに、
「あ、違う……悪いけれど、今回はひとりで行ってくれないかしら。私はアカギ君を守ってあげなければならないから」
と、付け加える。
「いや、しかし……」
クレアスが優不斷な聲をらす。
彼の聲には困のが滲んでいた。
「クレアスさん、信じちゃだめだ。外にテロリストなんかいない」
その迷いを斷ち切らせるかのように、僕は忠告した。
だが、ククッというエリシナの聲がすぐに聞こえてくる。
次の瞬間、
「あら? アカギ君。どうして外にテロリストはいないと言い切れるのかしら?」
頬に薄い笑みを浮かべながら、彼はそう確認してきた。
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