《悪魔の証明 R2》第150話 089 アカギ・エフ・セイレイ(1)
「え? どうして……と言われましても……」
僕は挙不審なじで、聲を失った。
自分にそれを証明する手段がないことに気がついた。
なぜなら自分が車両の外に出たのはたった二回だけで、それも限られた範囲にしか滯在していない。
したがって、外にテロリストがいないとは言い切れるはずもない。
いや、それより前に、自分の証言を裏付けるものは何も存在しない。
このような、ないもの盡くしの狀態で、どのようにそれを証明すれば良いというのだ。
嘲りを隠そうともしないエリシナの視線にいたたまれなくなり顔を橫に向けると、そこにはクロミサが立っていた。
いつもいつも急に現れるのはやめてくれ。
僕のそんな心のびを無視して、クロミサは口を開く。
「ねえ、噓ついちゃえばいいじゃん」
と、提案してきた。
噓?
噓……噓――そうだ、ブラフだ。
この窮地をひっくり返すにはこれしかない。
「僕は……僕は、実は寢ていなかった……」
ぼそりと呟いた。
「急に何を言っているの? 寢ていなかった? いいえ、あなたは寢ていたはずよ」
冗談を言われたと思ったのか、そうの述べてからエリシナが失笑をらす。
「いや、僕は寢ていなかった。一晩中、通路を監視していたけど、誰ひとり通らなかった。それこそ、ネズミ一匹通らなかった。いや、蟻一匹さえ通らなかった。これはつまり、侵者たるテロリストは存在しなかった証明になります」
「――いいえ。あなたは寢ていたわ。それも、ぐっすりと口を馬鹿みたいに開けてね」
「……違う。あなたはそうクレアスさんから聞いただけだ。僕は寢てなどいない。僕は寢たフリをしていただけだ。だから――僕はあなたが六號車にってきていないことを知っています。ええ、それも確実に、絶対にね。逆にお訊きしましょう。僕の寢顔を見ていないあなたに、僕が寢ていたことを証明できるのですか?」
「それは……」
今度はエリシナが口籠る。
狀況を鑑みて彼がずっと寢臺車にいたと推定したが、どうやらそれは正解だったようだ。
「そう、エリシナさん。あなたはその當時六號車にってきていない。したがって、僕が起きているかどうかなど知るはずもない」
僕は斷定した。
そして、ここがチャンスとばかりにたたみかける。
「テロリストがフリッツさんの部屋から出てきたというあなたとアルフレッドの証言は、すでに信頼に値しない。なぜなら、アルフレッドはすでにテロリストであると自ら告白しているからです。つまり、もしあなたが彼と同じようにテロリストだとしたら、侵者がいるという口裏合わせをすることが可能だったということになります」
臺詞を終えた後、大きくその場で息を吐いた。
「エリシナがテロリストだって? そんな馬鹿な……」
クレアスが聲をあげた。
だが、否定はしない。おそらくここまでの経緯から、彼もエリシナを疑い始めているのだろう。
「いいえ。私はテロリストではないし確かに侵者はいたわ」
エリシナはすらすらと僕のその推論を間違いであるとするような言葉を吐く。
この程度のブラフではまだまだ余裕があるようだな。
結局のところ、外にテロリストはいないことをある程度確定させなければ、クレアスも完全に自分の言うことを信じない。
彼の発言のをついて、何とかそれを導いてやる――そう、さらなる噓……ブラフを使って。
エリシナのを見つめながら、僕はそう心に誓った。
「これを言うかどうか迷ったのですが、こうなれば仕方ありません。実はスピキオさんが死ぬ直前、エリシナさんとアルフレッドの會話を僕は聞いていた。もちろんその際話された容も知っています」
またすらすらとブラフが口をつく。
自分には詐欺師の才能があるのではないかと訝るほど、自然に臺詞が頭に浮かんだ。
「何を言っているの? 何も話はしていないわ。一聲かけただけよ。ここにいたら危ないってね」
エリシナも噓を返してきた。
「あの場でアルフレッドと會ったとき、あなたはARKであることを自白し、アルフレッドに本當のルールを教えた」
先ほどクロミサから聞いた報をそのまま伝えた。
もちろん、本來であれば知る由もないことで、通常の人間にとってこの報はブラフに相當するものになることであろう。
「……そんなの知らないわ。自白などもしていない。そもそも本當のルールってなんなの?」
そう否定はしたが、しエリシナの仕草に揺が見えた。
チャンスだ。
この隙に追求してやる。
「エリシナさんがアルフレッドに言ったルールを教えてくれ、クロミサ」
そう呼びかけた。
クロミサへ目は向けなかったが、彼の名前を出す。
もう、なりふりなど構っていられないと判斷した。
「クロミサ? クロミサって誰だ?」
不思議そうに、クレアスが問いかけてくる。
「おまじないのようなものです」
適當にクレアスの質問に答えてから、さらに臺詞を続ける。
「それより、エリシナさん。僕は、あなたとアルフレッドがわした會話をきいていたことを、今から証明します。クロミサ、できるな」
と、言った。
「ええ、もちろん」
クロミサは僕にしか認識できない聲で、同意する。
そして、僕は、口を開き獨白を始めたクロミサの臺詞に合わせて聲を同調させた。
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