《最強になって異世界を楽しむ!》夜想曲3
毆ったノクターンの腕は骨が飛び出し、が潰れていた。
「魔族と人間の差は埋まらないっすよ」
その腕はダメージなどなかったかのように傷が再生すると、立ち上がったワタルへ拳を放つ。
當然盾で直撃は防ぐも、そんなもの関係ないと言わんばかりに衝撃で飛ばされ、建の壁に叩きつけられる。
「まだまだ……やれますよ」
「ふぅん、無駄な足掻きっすね」
ワタルが立ち上がったところへ、3度目の拳が放たれる。
今度は正面からけず、盾を斜めに構えてけ流すようにして防ぐ。
衝撃は強いが、吹き飛ばされるほどではなくノクターンの攻撃をけ流すことに功し、反撃のためにグラムを頭部を狙って突く。
ノクターンはその突きをグラムの刀を摑んで止めると、ワタルの腹へ膝蹴りを叩き込む。
「っ!?」
悶絶する暇もなく、ノクターンの拳や蹴りが何度も繰り出されワタルを襲う。
なんとか盾で直撃を防ぐが、しづつ盾にヒビがり、10発目の攻撃をけたところで盾が砕され破片が飛び散る。
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制を崩され無防備になったワタルの腹に、ノクターンの蹴りが直撃しワタルは何度も地面を跳ねて転がっていく。
「しでも勝てると思ったなら哀れっすね。すぐに殺してあげるっすよ」
ノクターンは油斷など一切見せることなく、ワタルとの距離を詰めようと地面を蹴り拳を振り上げる。
「召喚【デスペリアスライム】」
突っ込んできたノクターンとワタルの間に、召喚魔法によってデスペリアスライムを召喚する。
その大きさは人1人なら軽々と飲み込むほど大きく、ノクターンはスライムの壁へ両腕を突っ込みきを封じられる。
「デスペリアスライムなんて、珍しいもの持ってるっすね。でも」
ノクターンは自由な両足でデスペリアスライムを蹴り、吹き飛ばしていく。
スライムの破片が辺りに飛び散り、あと數秒もあれば出されるだろう。
だが、ワタルには制を整え反撃の準備をする十分な時間だった。
「魔法は想像力、ですよね」
リナの言葉を思い出しながら、空いた左手に水の鎖を作り出しノクターンの足に投擲する。
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鎖はノクターンの足に巻き付くが、同時にデスペリアスライムから出したノクターンはそれに気付く。
「遅いです。電撃よ、走れ!」
ノクターンの行よりも一歩早く、ワタルが左手に電撃を起こす。
電撃は水の鎖を通り、ノクターンへと伝わる。
「ぐっ、こんなのっ!」
ダメージは與えるが、ノクターンによって鎖は凍らされワタルは鎖を手放す。
すぐに次の手に移りグラムの先端に水球を作り出すと、それをノクターンへ撃ち出す。
「水よ、弾けろ」
水球はノクターンの懐で弾け、水の弾丸を四方八方に飛び散らせる。
ワタルはそれを回避するが、至近距離でけたノクターンにはショットガンのような効果を発揮し、をだらけにする。
「そんなもので止められるとでも思ってるっすか」
顔は両腕でしっかりと守っていたようで、すぐにが塞がり始めワタルの方へと走り出す。
「再生はしても、力は戻りませんよね」
傷は治せても戦闘で消費した力までは元に戻せないのか、ノクターンのきは先程よりも鈍って見えた。
ワタルは痛みを堪え接近したノクターンの拳とグラムで打ち合う。
「それが事実でも、私の優勢は揺るがないっすよ!」
「それはどうですかね。水よ、刃となり敵を切り裂け!」
ノクターンの蹴りがグラムを弾きワタルは隙を見せるが、詠唱は無視出來ない。
ノクターンはワタルの両手やグラムの先端を見るが、魔法らしきものは見つけられない。
「ハッタリなんて通用しないっすよ」
「ハッタリじゃないですよ。後ろですから」
トドメを刺そうと振るったノクターンの拳は、背後から飛んできた水の刃によって肘から先を斬り落とされ、ワタルに屆くことはなかった。
「魔法を維持して戦うって難しいですね」
「そういうことっすか」
水の刃は1つではなく、次々とノクターンの腕や足を斬り落としていく。
再生も追い付かず、ノクターンは地面へと倒れ弱點を守る腕もなくなっていた。
「終わりです」
絶好の機會をワタルが逃すわけもなく、頭部を両斷しようとグラムを橫薙ぎに振る。
「素直に賞賛するっすよ。あんたは強いっす」
そのノクターンの言葉は敗北を認めた者の言葉ではなく、その証拠にワタルの振るったグラムはノクターンの斬られた腕からびた氷の腕に止められていた。
「私と私の魔法は相がいいんすよ。恨むならそれを恨むことっすね」
両腕両足を氷によって作り出したノクターンの蹴りがワタルへと迫る。
咄嗟にグラムで防するも、グラムにも限界が來ていた。
氷の足は砕け散り氷の破片がキラキラと宙に舞い、それに混じって青の金屬の破片も宙を舞う。
グラムは蹴られた場所から折られ、使いにならなくなっていた。
「武もない、盾もない。これでもまだやるっすか?」
「……諦めは悪い方なんで」
立ち上がり手足を再生させていくノクターンを前に、ワタルの心は折れそうになる。
それでもワタルは自分を叱咤し、懸命に勝ちの目を探る。
「炎よ、焼き盡くせ!」
作り出した炎球をノクターンへと放つと、作り慣れた水球をし遅れて放ちノクターンの目の前で2つの球をぶつける。
ゴーレムの時のように炎は蒸発し、辺りは煙に包まれる。
「時間を稼いでなんになるんすかね」
ノクターンはその場からかない。
30秒後、ノクターンは再生を終え煙が晴れていく。
「逃げたわけじゃないんすね」
「當然です」
煙が晴れた場所にいたのは、両手に黒の剣、粛清剣を構えたワタルだった。
「お互い既に満創痍っすからね。これで終わらせるっすよ」
そう言って構えるノクターンへ、無言でワタルが距離を詰める。
右手の剣で首を狙い、左手の剣で足を狙って橫薙ぎに振る。
ノクターンは足を狙う剣を踏み臺に跳躍し、さらに首を狙った剣も踏み臺にしてさらに跳躍する。
「魔力は……まだ持つっすかね」
そこから氷の礫を無數に放ち、その後ワタルの頭部へとかかと落としを繰り出す。
ワタルは氷の礫を雙剣の手數を限界まで上げ全て斬り、両手の粛清剣を差させ地面に足をめり込ませながらかかと落としを防ぎきる。
ノクターンはは地面に著地すると、同時に地面に向かって蹴りを繰り出し、土をワタルに飛ばし視界を奪う。
「なっ!」
「殺し合いに卑怯なんてないっすよ」
突然のことに反応出來なかったワタルは視界を暗闇に覆われ、直後橫腹に激痛が走りが宙を飛ぶ。
視界が回復し蹴られたとわかった頃には、既にノクターンが目の前で足を振りかぶっていた。
防ぐのは間に合わないとじ、ワタルは粛清剣の刃をノクターンの足へと向ける。
ノクターンの蹴りは勢いよく繰り出されるが、ワタルに當たる前に粛清剣の刃に當たり脛の中ほどから斬られる。
それでバランスを崩したのか、ノクターンのが大きく右へと揺らぐ。
「水よ、包み込め!」
そこへありったけの魔力を注ぎ込み、巨大な水球を作り出してノクターンを中へと閉じ込める。
地に足が付かずきの取れないノクターンの手足を、水球の外から粛清剣で斬る。
斬られた場所は再生を始めるが、水球の部の水圧を高め再生したところかは潰していく。
氷で手足を作ろうにも、同じように水圧で々に砕かれ意味をなさない。
殘った首を斬り、ワタルはそれを水球の外へと蹴り出す。
「見事っす。魔王軍幹部ノクターンを討伐したこと、誇っていいっすよ」
「……どうもです」
短くそれだけ言うと、ワタルは今度こそノクターンの頭部へ粛清剣を振り、左右に両斷する。
それきりノクターンは喋らなくなり、もかなくなったのを確認して水球を解除する。
「……勝った、のかな」
戦闘を終え、の至る所を激痛に襲われながらワタルはその場に倒れ込んだ。
魔王軍幹部ノクターンは、ワタルにより討伐された。
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