《最強になって異世界を楽しむ!》協會
「まずはエレナを協會に連れて行って、そのあとギルド、エリヤさんの鍛冶屋という順番で行くね」
「私はあとでも大丈夫だが……」
「ダメじゃ。わしのは応急処置なんじゃから、ちゃんと見てもらうべきじゃ」
「それに、俺たちも傷を負ってるわけだしね」
「そうだな、わかった」
無事に王都に著いたワタルたち4人は、治療を最優先にして、協會へと向かうことを決める。
「ワタルくん、私はどうしたらいいの?」
「レクシアはギルドでリナさんに相談するから、しばらくは魔剣の狀態になってて」
「はーいっと」
レクシアは素直にワタルの言葉を聞きれ、人間の姿から魔剣の姿へと変わり、ワタルがそれを腰に差す。
鞘がないのは問題だったので、途中で魔の皮を使い、かなり質素で簡単なものになってしまったが、鞘を作ってそこに収めている。
抜きの剣など持っていたら、下手をすればテロリスト扱いをけかねない。
レクシアをどうするかは、リナとヨナスに相談して決めることにしていた。
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あの2人なら他言することはないだろうし、他の人に事前に説明をしてくれるだろう。
歩くこと10分、4人の目の前には巨大な協會が視界を覆い盡くしていた。
「いつ見ても大きいね」
「王都の重要な場所じゃからな。當然じゃろう」
王都には王族の住む城の他に、いくつかの主要な建がある。
そのうちの1つが、この巨大な協會だ。
王都には王族の下、3つの大きな戦力が存在している。
1つ目はワタルたちの所屬しているギルドで、主に王都付近の魔の討伐や、必要であれば魔族との大規模戦闘に參加することになる。
2つ目は王族直屬の兵士たちで、王都の治安維持や東西南北にある門の管理をしている。
そして、3つ目が協會の魔導師たちだ。
協會の魔導師たちは回復魔法の使い手ばかりで、特にそのトップは人間において、右に出るものはいないほどの回復魔法の使い手だという。
聖屬魔法の使い手も何人か居て、武力も高く戦場にもよく駆り出されれている。
「すみません、傷の治療をお願いしたいんですけど」
「はい、こちらへどうぞ」
前回來た時は部屋の番號を言われただけだったが、今回は何故か付のお姉さんに、案されついて行く。
協會といっても、部は病院のようになっており、付と通路にたくさんの個室が並んでおり、そこで治療をけるようになっている。
祈りを捧げる場所は別にあるようで、この場所は治療専用に作られた場所なのだろう。
「ここです」
付のお姉さんに案された部屋は、通路の奧にあった。
その扉を開けると、そこは普通の部屋よりも圧倒的に広く、多くの資料──醫療関係のものだろう──に囲まれていた。
その部屋の真ん中に、機と椅子があり、そこに1人のが座っていた。
「治療を希してたわね。そこに座って」
茶髪の髪を長くばし、黒の瞳で3人に聲をかけたは、いかにも大人のというじで、ワタルは思わず生唾を飲み込む。
3人は言われる通りに椅子へと座ると、が口を開いた。
「初めまして。私はカレン。この協會のトップで、今日はあなた達3人の治療をするわ」
カレンはニッコリと微笑み、3人へ名を名乗る。
治療をしてくれるのが協會のトップなど予想もしていなかったワタルは、驚きながらも名を名乗ろうとしたが、カレンがそれを止める。
「3人の名前は知ってる。ヨナスから期待の新人がったって聞いてたけど、それがあなた達なんでしょうね。ワタル、エレナ、マリーだったかしら?」
「ヨナスさんが、ですか?」
「そうよ。治療もヨナスから頼まれたの。ひどい怪我をしてくる可能が高いから、お前が治療してやってくれってね」
「そうでしたか」
「まあ、そんな話は置いといて、ちょっとるわよ」
カレンは自分が治療することになった理由を話すと、立ち上がり3人のにれていく。
腕や足を軽くんだり、腹部を軽く押すなどだ。
「なるほどね。応急処置はされてるようだけど、ダメージが抜けきれてない。それに、筋繊維や神経にも傷ができてる。まずはエレナからね」
それだけで3人のの狀態を把握したのか、カレンはまずエレナを治療することにした。
「神よ、この者の傷を癒したまえ」
レクシアがエレナの腹部に手を當て、詠唱するとその手が淡くる。
數分間そのまま腹部に手を當て続けていたが、手のが弱くなっていき、完全に消えると手を離す。
「はい、治療終わり。次ね」
それで治療は終わったようで、同じようにしてマリーとワタルも治療していく。
2人はエレナよりも早く治療が終わり、カレンは疲れた様子を一切見せずに元の椅子へと座る。
「どう?」
「驚いたのう。が軽い。これほどの回復魔法は、魔の里でも見たことがない」
「それはどうも。マリーは魔なのね」
「あっ」
「大丈夫よ。他言はしないから。それにしても、何をしたらそんな傷を負うわけ?」
治療こそ簡単に見えたが、かなり傷は深かったようでカレンは3人にそう聞く。
どうするか、と3人が顔を見合わせていると、カレンが言葉を続ける。
「話してくれたら、ここに來た時の治療は毎回私がしてあげる。もちろん、他言はしないと約束するわ」
他言しないというのは、所詮は口約束だ。
だが、治療を毎回カレンにしてもらえるというのは、かなり魅力的な提案だ。
本來協會のトップの治療など、王族などにしかけられないだろうから。
「わかりました。でも、これから言うこと信じてくださいね」
「信じるわよ」
それからワタルは、今回の魔剣騒について話した。
レクシアのことも隠してもしょうがないため、人間の姿になってもらい、それも説明した。
「自我を持つ魔剣、ね。聞いたことないけど、目の前で見せられると疑う事は出來ないわね。その雷帝ってやつ、かなりの手練だったんでしょ? それに勝てる冒険者がいるなんて、よく今まで話題にならなかったわね」
「目立ったら行が制限されるので、ヨナスさんに頼んで隠してもらってるんです」
「へえ、ヨナスも私たちにぐらい言ってくれればいいのに。話してくれてありがとね。最後に冒険者カードを見せてもらってもいい?」
「構いませんよ」
ここまで話せばステータスを隠しても無駄なので、ワタルたち3人は冒険者カードをカレンに渡す。
ワタル Lv.297
ステータス
筋力:791
技量:632
敏捷:569
耐久:701
魔力:401
スキル
神の加護
召喚【デスペリアスライム】
召喚【アンデッド】
守護
エレナ Lv.31
ステータス
筋力:241
技量:272
敏捷:1683
耐久:242
魔力:26
スキル
人狼
加速
マリー Lv.19
ステータス
筋力:68
技量:136
敏捷:81
耐久:90
魔力:2168
スキル
収束
賢者
滅する者
聖屬魔法の強化、消費魔力の減
「このステータスであんな傷負うなんて、相手はとんでもない化けね」
カレンは3人のステータスを苦笑しながらもじっくりと見て、冒険者カードを返す。
「ありがとう。面白いものを見せてくれたお禮に、なにかあれば協力してあげるわ。私個人として、だけど」
冒険者は必要が無い限り、ステータスを他人に見せることはない。
それは自分の手のを明かすことで、好んでそんなことをする理由もないからだ。
「十分頼もしいですよ。治療ありがとうございました」
「そちらも困ったことがあれば、わしらに相談してくれ」
「ふふ、頼もしいわね」
そんなやり取りをして、最後にお禮を言ってからカレンと別れ協會を出る。
予期せずカレンと出會ったが、協力してもらえるようになったのは大きい。
ワタルはかに喜びながら、王都を歩いていた。
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