《異世界で鬼になったので”魅了”での子を墮とし、國を滅ぼします ~洗脳と吸に変えられていく乙たち~》28 エンゲージ

「おかえりなさい、レイア」

私が教會に戻ってくると、チグサは待っていたかのように禮拝堂で私を出迎えた。

おかえりなさいだなんて、久しく言われた覚えがない。

けれど”ただいま”と言うのには抵抗があったから、私は黙って彼の橫を通り過ぎた。

機嫌を損ねやしないかと張してしまうあたり、私は小だと思う。

「まだ答えは出ませんか?」

背中越しの問いかけに、私は一旦間を置いてから答えた。

「……出た、と思う」

「けれどまだ割り切れないんですね」

「そう簡単に、人間を辭めるって言われて……はいそうですか、って納得は出來ない、から。チグサは、どうだった?」

「私の場合は選択を渋っている余裕などありませんでした、知っての通り吸鬼に命を與えられてようやく意識を取り戻したんですから。それに――」

「それに?」

「私は他の誰よりも人間の汚さを知り、人間に失していましたから。もし五満足の狀態だったとしても、レイアのような葛藤は無かったと思います」

召喚される前の世界で何かあったのだろうと、そう簡単に予想出來た。

級友があの有様なのだから、碌でもない學校だったのだろう。

そして異世界に來ても人は変わらない。

腐敗し、平気で人を蹴落とし、己のを満たすためだけに生きていく。

そして利害と利害がぶつかりあった時、人は平気で同族を殺すし、仲間も陥れる。

鬼がそうならないのは、おそらく――利害がぶつかることが無いからだ。

みな同じ方向を向いている。

それをと呼ぶべきかはわからないが、なくともチグサたちはそう呼んでいるらしい。

「ですがこうして戻ってきたと言うことは、なくともリーナに関しての選択は終わらせたわけですよね」

「うん……」

つまりそれは、自的に私の選択も済んでいる、と言うことになる。

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リーナにだけ人間を辭めさせておいて、自分はやりません、なんて無責任なことをするつもりはない。

私は彼と添い遂げる。

例え、人でなしになったとしても。

「あの……こういうこと、出來るかどうかは、わからないんだけど。1つ、お願いしてみても、いい?」

「どうぞ」

「どうせを吸われるなら、人間を辭めたリーナに……してしい」

「自分の目の前でリーナがを奪われることを許容してくれるのなら、構いませんが」

その笑えないジョークを聞いて、自然と頬の筋がひくつく。

このタイミングで言う必要があることだろうか。

「そう怒らないでください、ふざけているわけではなく、力を譲渡するのに接が必要なんです」

「……である必要は?」

「他の粘が良ければそれでもいいですが」

変な想像をしてしまい、私の顔は一気に熱くなった。

いや、たぶん、間違いじゃない。

同士の接って、きっとそういう事・・・・・だ。

「なら、キスで……いい」

「安心してください、ちゃんとファーストキスはレイアに譲りますから」

「そういう話はしてない」

私の言葉にチグサはくすくすと笑いながら、禮拝堂の奧へと向かう。

存外に普通に會話が出來ていることに驚きながらも、私は彼のあとを追った。

◇◇◇

「ただいま、リーナ」

初めてその挨拶を口にしたのは、涎を垂らしながら首をゆらゆらとかす、ベッドの上の彼を見てからだった。

私の聲に反応してか、微かにきが変わり、口がぱくぱくと開閉する。

どうやらフェンブルグ伯爵の館に行っている間も、ずっとエリスが面倒を見ていてくれたらしい。

先日あんなことがあったばかりだから、禮を言うのは気が引けたけれど、ここで何も言わずに義を果たさない方がずっと嫌だ。

私は反発するい自分を噛み殺し、エリスに告げた。

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「ありがとう。面倒、見てくれてたんだ」

「へ? あ、ああ……うん、どういたしまして」

言われたエリスも戸っていたけれど、最後には人懐こい笑顔を見せてくれた。

それだけで”悪い人じゃないのかもしれない”と考えてしまう単純な自分が恨めしい。

いや、単純でいいのか。

今から私は、彼たちの仲間になろうって言うんだから。

「それでは始めましょうか、エリスはどうしますか?」

「あれ、もうやっちゃうんだ。じゃあ私は邪魔にならないように外に出てようかな、の再會だろうから」

そう言って彼は部屋から出ていった。

案外、空気が読める人らしい。

そして3人になるとチグサがき、ベッドの上で座るリーナのを背後から抱きしめる。

私はその様子を、張した面持ちで見つめていた。

「私もここまでボロボロになった人間を吸したことはありませんから、ショッキングな景になるかもしれませんが平気ですか?」

「そうなの……? だったら、元に戻るっていう保証も……」

「それは私自が経験してるので大丈夫だと思います」

「……そっか」

人間に失するほどだ、彼にも々あったんだろう。

あえて深くは聞かない、私はただ一言「なら構わない」とだけ返事をした。

それを聞いたチグサは小さく頷くと、リーナの首筋に口を近づけ――食んだ。

「ぁ……ぅぁ……」

牙が食い込むに、リーナが微かに聲をあげる。

だが反応は薄い。

痛かろうに、その痛みにすらすっかり慣れてしまっているのか。

その上、人を辭める苦痛まで味合わせなければならないと思うと――私はのうのうと王城で暮らしていた自分を呪いたくなる。

ずっと、リーナは辛い思いをしてたっていうのに。

「ぅ、あぁ……ぇ、いぁ……あぁっ……」

しかし、次第に聲のが変わりだす。

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苦しむというよりは、まるで喜んでいるかのような。

をよじらせ、口の端からは涎が垂れている。

チグサのいている所を見るに、とっくに吸は始まっているはず。

けれど、喜ぶリーナとは対象的に、チグサの表し苦しそうだ。

鬼は処を好むと聞いたことがある。

曰く、未通とそれ以外ではの味が違うのだとか。

対してリーナは、処どころか、これまで幾度となく男たちののはけ口されてきただ。

ひょっとすると――本當は吸いたくないぐらい、の味が濁っているのかもしれない。

それでもチグサは吸をやめなかった。

次第にリーナの淺黒かったが変わり、白くなっていく。

それは首筋を中心に広がっていき、中に殘っていた傷跡を癒やしていった。

さらには二の腕の肩に近い部分にに殘っていた、薬を投與したらしき注の跡も、最初から無かったかのように綺麗な狀態に戻っていく。

「ぁ……が……ごっ……」

変化が進むに応じて、リーナの反応にも更に変化があった。

聲が、かすれていないのだ。

潰された聲帯が治癒された証拠だろう。

いつの間にか、全て失われていたはずの歯も戻り、そして削られていた鼻も――側からいびつにが膨らんだかと思うと、急速に元の正しい形へと整えられていく。

耳も同様に、眼球も同様に、そのグロテスクな景を見て私はようやく知った。

なぜチグサが、あえて前もって私に聞いたのか、その理由を。

「っ……う……」

私は思わず口元を手で覆った。

腕、髪の、足、そして服で見えないが房やもまた、同じように再生しているのだろう。

見た目まで人間を辭めるわけじゃない、だから平気だ――それが甘い考えだったと思い知らされる。

これは、人なんかじゃない。

だ、紛れもなく。

私は自分の選択で、リーナを化に変えてしまったんだ。

けど……そうするしかなかった、彼を救うためには。

その選択に、後悔がないと言うのなら。

私は目を背けたくなるようなこの景を、むしろ自らの意志で記憶に刻み込まなければならない。

そしてを張ろう、親友を終わらない悪夢から救い出せたことを。

「が……う、ぁ……れ、いあ……」

最後に、リーナは開いた目で私の姿を見ると、嬉しそうに微笑み――そのままぐったりとかなくなった。

「……吸しても魅了しても、考えるのはレイアのことばかり」

チグサはふてくされたように言い捨てます。

その後、私の方を見て苦笑いを浮かべました。

「想い合っているんですね、心の底から。きっと、奴隷になってからもずっとレイアの無事ばかりを祈っていたんじゃないでしょうか」

だから、私の姿を見てリーナは笑った。

”生きていてくれた”と、自分の狀況なんて鑑みずに、ただただ私のことだけを考えて。

「んー……」

「どうしたの?」

し、試してみようと思いまして」

おもむろにチグサは吸が終わったはずのリーナの首に口をつけると、再び噛みついた。

それから10秒ほどじっとしていたかと思うと、口を離す。

「何を、したの?」

「魔力の譲渡です。さっきはキスしないと駄目って言いましたけど、傷口からでも行けるんじゃないかと思いまして」

「結果は?」

「行けました、なのでを奪うのは後日にします。あとは2人で再會を楽しんでください」

チグサはそう言うとベッドから降り、部屋の出口へと向かう。

ついさっきまで敵対していたはずの私に、この扱い。

いくら彼たちの目的が仲間を増やすことだったとしても、私は妙な引っ掛かりをじていた。

何か裏があるのではないか、と。

「ねえ……チグサ、なんで私とリーナのために、ここまで……してくれるの?」

いや、その言い方も変か。

”ここまで”と行っても、結局リーナは半吸鬼デミヴァンプになってしまったのだから。

「レイアの扱いが丁寧なのは、一応こちらの事も関連してまして」

「事って?」

「単純に、城を落とせば國を掌握するのも楽になる。そのためには城に住まう誰かを仲間に引き込むのが一番早い、そういう事です」

確かに、城を守っている私が半吸鬼デミヴァンプになれば、あそこを落とすのは容易い。

「それに、あの城には、私の大事なクラスメイトたちも居ますから」

「ああ……あいつらが」

「ええ、あいつらが・・・・・。彼らを丁重にもてなすには、ある程度の準備も必要だと思いまして」

チグサは「ふふふ」と妖しく笑い、そして今度こそ部屋から出ていった。

そっか、それで……リーナを使ってまで私を。

いや、違うか。

リーナを見つけたのはたぶん偶然だ、だからこういう手段を取った。

仮に彼が見つかっていなかったとすれば――その時はその時で、もっと強引な手段で私を落とすつもりだったんだろう。

「どうなってたんだろう……私は」

恐ろしいと同時に、期待する自分が居た。

あの影を、與えれた快楽を、やはり私は忘れられない。

けど今は――ベッドに橫たわるリーナに近づき、そのを起こし、抱きかかえる。

整った顔は、最後に見たときより長しているけど、変わらず綺麗だ。

私の暗い心を照らすような赤い髪も、長くなったけど変わらない。

が目を覚ますまで、私はそのまま、きっと一生見てたって飽きないだろうって斷言出來る彼の顔を、じっと観察していた。

◇◇◇

それからしばし見つめていると、リーナの瞼がいた。

このままずっと目を覚まさないかもしれない、そんな不安が私の頭の中を駆け巡っていたけれど、とんだ杞憂だった。

ようやく……ようやく私の悪夢が終わる。

ここが終著點だ。

きっともう、私は――悪い夢なんて、見なくていい。

「レイ……ア?」

私を見つめる瞳は、吸鬼特有のルビーだったけど、その聲は紛れもなくリーナで。

聞いただけで、自分の名前を呼ばれただけで、私は馬鹿みたいに涙を流していた。

「うん、私だよ」

「あはは……可らしい顔も、紫水晶のように鮮やかで艶やかな長い髪も、他も全部――何もかもがレイアだ。もしかして、本當に、夢じゃ無いのかい?」

「そうだよね……そう、なるよね。でも、夢じゃないよ。私は、ここに、いるよ」

震える聲で話しかけ、リーナの手を握って私の頬に當てる。

ほんのり冷たいが、確かに私の大好きなリーナがそこに居るんだって、じさせてくれる。

そして同じく彼も私の溫をじていて、それが夢なんかじゃないんだって、確信したはず。

「あ……あぁ、レイアだ。本當に、レイアがここにいる、ボクの手が屆く場所に。ふ、ふふ……ははは、はははは……レイア……レイアぁ……っ!」

「リーナ……ずっと、會いたかったよぉ……」

「ボクも、レイアのことだけを考えてた。またこうして會って、お話して、れ合うことだけをっ……」

ああ、なんだ。

そっか、そりゃそうだよね、會っちゃったらそうなるよ。

思ってた以上にさ、吸鬼とか、人間じゃないとか、どうでもよかったんだ。

私は……一時でも、救う方法があるのにリーナを殺そうとか考えてた自分を、ぶん毆ってやりたい。

だって、リーナだよ? リーナなんだよ?

一緒に居るだけで、故郷を出てから今までの時間を全部束ねても足りないぐらい幸せになれちゃうくせにさ。

聲を聞くだけで何年も頑張ってきた研究結果が全部吹き飛んじゃうぐらいリーナのことしか考えられなくなるくせにさ。

馬鹿だ、私は馬鹿だ、私は自分のことを何にもわかってなかった!

だって、だってこの気持ちは――

「レイア、ボクさ……ずっと言えなくて、後悔してたことがあるんだ。もう二度と言えないかと思ってたけど、今なら伝えていいよね?」

そう言われた瞬間、私は彼が何を言おうとしているのかすぐに察せてしまった。

なぜかと言えば、きっと私も同じだったからだ。

伝えたい事があった。

けれど、忘れようとしていた。

言い殘したことがあると考えると、後悔がさらに大きくなるから。

けれど今はもう、こうして再會できた以上は、言葉にしない理由なんて無い。

「リーナ、私も伝えたかったことがあるの」

「じゃあ、一緒に言おっか」

きっとリーナも私が何を言おうとしているのか理解していて、だから同時に言おうだなんてそんな提案ができたんだと思う。

とっくに気持ちが通じ合ってると思うと、言葉にする前から恥ずかしくて、顔が熱くて。

よく見てみると、リーナの白いもほんのり赤らんでいる。

つまり、私とおんなじってこと。

そう思うと、急に自分の中の気持ちが膨らんでいくのがわかった。

恥ずかしいけどさ――でも、こんなに大きな気持ちなら、恥心を乗り越えてちゃんと聲に出來るはず。

さあ言おう、彼の口が開いたら、同時に、一緒に、私たちはこんなに通じ合ってるんだって――世界に見せつけてやろう。

「ボクはレイアのことが、好きだ」

「私はリーナのことが、大好きだよ」

わかりきっていたことを確認して、こらえきれず笑いあって。

そして私たちは、初めてのキスをした。

――魔力の流れをじる。

リーナのから流れ込んでくる明らかに正常ではないこれの正は、きっと吸鬼の使う魅了というやつなんだろう。

おそらくはチグサが彼に渡した力の一部だ。

とはいえ、例え私が魅了されたとしても、とっくの昔にレイアの虜になっているのだから、意味なんてこれっぽっちもないわけだけど。

気にしない。

ううん、むしろリーナと同じ存在に近づいているんだって実できて、嬉しくなってくる。

「レイアは、いつからボクのことが好きだったの?」

「たぶん、すっごく昔から……ずっと、私にとって、リーナは自分を守ってくれる、騎士様だったの。そうなった時から、だから……」

「じゃあボクと一緒だ。でも、出來れば騎士様より王子様の方が良かったかな、ボクにとってレイアはお姫様だったから」

「っ……じゃ、じゃあ、王子様で……」

何がじゃあ、だ。

自分で言ってて恥ずかしいのに、でも自然と出てくるんだから雰囲気ってのは恐ろしい。

「でも、お姫様に噛み付く王子様ってのもちょっと変かもね」

「……そ、か。やっぱり、わかるんだ」

「自分の中に、自分の知らない知識が流れ込んでる。わかってるよ、それがボクを救うために必要なことだったんだろうし、こうしてリーナとまた會えた。その奇跡を手にするためだと思えば、なんてことはない」

「でも……ごめんなさい」

「謝るのはむしろボクの方さ。ボクが今、レイアを見てどう思ってるかわかる?」

視線は私の首筋に注がれていた。

つまりは――

を、吸いたい?」

「半分正解。あと半分は……レイアを、ボクと同じ存在に変えてしまいたい」

それはきっと、本能だ。

人間とは違う、チグサに流し込まれ、変えられ、歪められた、私の知らないリーナの一部。

それでも――私はリーナのことが好きだから。

増えた分も、全部せる自はあった。

何より、最初からそうするつもりだったんだし――

「私も変わりたい。リーナに、変えてしい。そしたら……今度こそ、ずっと一緒にいられるよね」

「もちろん。人間の壽命よりもっともっと長い時間を2人で過ごすことが出來る」

ああ、なんて素敵な未來。

正しさも間違いも関係なしに、リーナと一緒に過ごせるんなら、私は迷いなくそれを選ぶだろう。

うん、関係ない。

例えそれがこの國を、ひょっとすると人間までも滅ぼしてしまうような選択だったとしても。

構うもんか。

し準備が必要だ、それまではこうして――」

リーナは私のを真正面から抱きしめると、ベッドに押し倒し、耳元に口を近づけて言った。

「離れ離れの時間を、埋め合わせないとね。きっとこれしきじゃあ足りないと思うけど、レイアが人間でいられるうちに、しでも」

の手は、私の元に當てられている。

かすかな膨らみの、そのらかさを手のひらで愉しみながら、リーナは私の服のボタンに手をかけた。

何をされるかなんてわかりきってた。

だから・・・、私はを任せた。

そうしてしいと思っていたから。

そうなりたいと、ずっとずっと、願っていたから。

がお姫様に憧れる時期があるように、私はずっとリーナに憧れてきた。

多くのの夢は敵わない、お姫様にはなれずに現実に還っていく。

けれど、私の夢は葉った。

王子様は私に微笑みかけて、繰り返す。

している」と。

私もに溢れる気持ちの100分の1でもいいから伝えたくて、負けじと繰り返す。

「私も好き、してる」と。

そして手をばして――私がそうなったのと同じように、リーナの服をがして、素を曬した。

重なる溫。

れ合う

走る甘い痺れに、極まってこぼれる涙。

れ合う全てがおしい。

時間の流れにすら謝する。

私が生まれてきたのはきっと、この瞬間のためだったんだ――と、きっと私だけじゃなく、お互いに思っていたに違いない。

◇◇◇

それから、どれほどの時間が経ったかはわからない。

私たちは汗だくで、汗以外にも塗れていて、布団の中で火照るを重ねながら、マーキングするようにをこすり合わせていた。

もちろん囁きも忘れない、口づけは言うまでもなく。

まったくこの教會は他人の持ちだっていうのに、部屋には吸った瞬間に達してしまうような薬じみた、濃な私たちの匂いが充満していた。

もちろん、至近距離で見つめ合う私たちは、それ以上に濃い匂いを嗅いでいるわけで。

常に頭とがふわふわしていて、夢だって言われたら、ああそうだろうなって納得しちゃうぐらい、私は文字通りの夢心地な気分だった。

リーナも同じだと嬉しい。

ううん、きっと同じだ。

今日だけで數え切れないぐらい繋がりあったから、よくわかる。

「ん、ぁ……リー、ナっ、そこぉ……ッ!」

ゆるりとしたれ合いを続けていた私に、突然電撃のような快が走った。

今のは――ちょっと橫腹をられただけのはずなのに。

「ふふふ、すごいでしょこれ。今のはね、レイアのが半吸鬼デミヴァンプになる準備が終わりました、っていう印」

「しる……し?」

「そう、魅了が終わって、完全に虜になりましたよって言ってるんだ」

「でも、リーナへの気持ちは、あんまり変わらないかも」

「そりゃそうだよ、最初から通じ合ってるからね」

知ってたことだけど、言葉にすると無に嬉しくなったので、私たちは軽くれ合わせた。

魅了という力は別に私にとってどうでもいい。

重要なのは、これが吸準備が終わったというサインであるということ。

つまり――ぬるま湯のような甘い時間は終わって、これからは砂糖で煮詰められるような爛れた甘い時間が始まる。

「もう始める? それとも、人間のままもう一回ぐらいする?」

「私は、早く……リーナと、同じになりたい」

「ボクもだよ。じゃあそうしよう、レイアをボクの手で変えてしまおう」

リーナはかし、私の上に馬乗りになった。

私が彼に手をばすと、彼も自然と私の方に手をばす。

手と手を合わせて、指を絡め合って、見つめ合い。

そして一旦を寄せてから、頬と、耳にキスして、リーナは私の首に顔を埋めた。

「はぁ、はぁ、はぁ」

リーナの荒い呼吸が聞こえる。

してるんだ。

さっきまでもそうだったけど、今の呼吸は、もっと獣じみている。

私がそうさせている。

私のの巡りをじて、リーナは昂ぶっている。

そう思っただけで、私のも熱くなってしまう。

「はぁ……じゃあ、行くね」

「うん、來て。私を、リーナと同じ化に変えて」

”リーナのため”、その行為が致命的であるほど私はに酔い、沈んでいく。

そう、私はリーナのために人間を辭めるんだ。

この背徳の甘さたるや! 他に比類しうる行為は命を捧げることぐらい。

つまり、私は――自分のに、皮を裂いてを穿ちリーナの牙が埋沒していくというかけがえのない痛みに、この上ない悅楽をじていた。

契りだ。

エンゲージリングは無いけれど、似たようなもので。

私たちはでつながる。

永遠に切れない縁を結ぶ。

えっと、こういう時、何ていうんだっけ。

「ふつつか、もの、だけど……よろしく、ね」

確か、そういうの。

結婚と同じなら、きっと間違ってない。

「あはあぁっ!」

私がそんなことを言うと、リーナは更に深く牙を食い込ませた。

嬉しかったんだ。

ちょっと痛かったけど、その痛みがリーナのだと思うと気持ちいい。

「は……あぅ、んあ……あ、あ、あっ……」

最初は痛みもあったけど、次第にそれすらなくなって。

リーナに生命と人間を吸われていくという、このどうしようもなく退廃的な儀式は、やがて私に快楽を與えるだけのものになっていた。

気持ちいい。

えぐられた傷も、熱くて気持ちいい。

が吸い取られていく覚も、冷たくて気持ちいい。

何かを流し込まれる覚は、言うまでもなく気持ちいい。

何もかもが、れ合う全てが、繋がり合う一切合財が、私を気持ちよさで包み込んでくれる。

そしてやがて、まるでまどろみ、夢の中に沈んでいくように意識は消えていく。

ああ、そっか、私・はこれで死ぬんだ。

人間としてのレイア・ハーシグはここでおしまい。さよなら。バイバイ。

そして次にハローと言う時には、もう人間では無くなっている。

怖くはない。

これってきっと、幸せなことだ。

人間は腐敗している。

腐りきった私の一部は切り落として、そして大事なだけを殘して、新たな世界へと導かれていく。

なる、ならないの、選択の問題じゃない。

たぶんこれは、タイミングの問題だ。

私はほんのし――他の人達より先に――天國のような、幸せな世界に、召されるだけ。

◆◆◆

「ご主人さまっ」

「ご主人様」

私がレイアとリーナの居る部屋の前で聞き耳を立てていると、部屋から出てきたレリィとミリィがこちらに近づいてきました。

2人は上から軽くローブを羽織っている以外は何もにまとっておらず、際どい格好で、絡みつくように私に著してきます。

むせ返るようなの匂い――要するに、ついさっきまで、出てきた部屋で他の子たちと楽しんでいたのでしょう。

こんなものを嗅がされてしまっては、私もスイッチをれないわけにはいきません。

まずは腰をかがめてミリィとを重ねます。

當然のように舌を口にねじ込んできた彼は、私がそれを吸ってやると嬉しそうにぎ、腰を震わせました。

次に口にミリィの味を殘したまま、続けざまにレリィとキスをします。

妹と違って消極的――と言うよりは”されるのが好き”な彼は、口を開いて私の舌を迎えれました。

暴な方が好きということを知っている私は、かき混ぜるように強引に、大膽にレリィの口躙していきます。

そしてを離すと、彼はうっとりとしながら言います。

「ご主人様、今日はご機嫌ね」

「うんうん、キスのノリがいつもよりよかったよね」

そうだったでしょうか。

自分では差はわかりませんが、ですが確かに、非常に機嫌は良いのです。

やはり――と言うべきか、それとも”意外”と言うべきなのか、私にはわかりませんが。

とにかく、どうやら私は、レイアを墮とせたこと、ひいては城への侵攻の準備が整ったことを、心の底から喜んでいるようでした。

「城に、私にとって特別な・・・人たちが居るんです」

「その人たちも、仲間にするってこと?」

「そうですね、最終的にはそうするつもりですが――」

私は躍る気持ちを隠しきれずに、思わず満面の笑みを浮かべながら言ってしまいました。

「出來れば、盛大にショウでも開いてしまおうかと思っていまして」

まだ舞臺は決まっていませんが、私には影があって、仲間が居て、そしてみゃー姉とレイアというジョーカーも握っています。

できないことはありません。

なら、やりましょう。

私にたくさんの苦痛ものを與え、そしてたくさんの希ものを奪っていた彼らに相応しい、最高のショウを開くのです。

全ての力を使って。

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