《異世界で鬼になったので”魅了”での子を墮とし、國を滅ぼします ~洗脳と吸に変えられていく乙たち~》38 あなたみたいにうまくはできない

「あれ、ちーちゃんこんな所で何してるの?」

を潤そうと食堂にやってきた都は、そこで席に座って1人考え込む千草を見つけた。

は騎士団長であるリリィ擔當のはずだが、進捗はどうなっているのだろう。

最近はアーシェラに付きっきりであまり話せていなかったし――と都は隣の席に座って、肩を寄せた。

「みゃー姉?」

「アンニュイな顔してたけどどうしたの、リリィさんのことで何かあった?」

「……まあ、そんな所です。私を今のに変えたのは、カミラという吸鬼だと言う話はしましたよね」

「うん、聞いたけど」

千草は神妙な顔をしながら言う。

「そのカミラが、リリィの友人だったそうなんです」

聞かされた都は、首をかしげた。

「へ? でも、カミラってサーラって言うお姫様に手を出そうとして、騎士団長に斬られたって話じゃなかったっけ」

「それは事実みたいなんですが、まだ裏がありそうと言いますか……リリィは何度話しても、そのあたりをぼかすばかりではっきりしないのです」

そして今日も、リリィが來ることを期待して食堂で待っていたというわけだ。

しかし実際にやってきたのは、予想外にも都だった。

「そういえばさ、最初にちーちゃんの死が捨てられたのってゴミ捨て場だったよね」

「ええ、そこでカミラと出會いましたから」

「前から思ってたんだけどね、それって、いくら異世界から來た人間だとしても雑すぎない? カミラにしたってそうだよ、結果的にうかつにそんな場所に廃棄したから、今のちーちゃんが生まれたわけなんだし」

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それは以前から千草も疑問に思っていたことだ。

所詮この世界の人間にとって、自分らは余所者、命にも大した価値はない――そう考えれば不自然なことではないが。

だが、カミラの方は違う。

高い自己再生能力を持つ吸鬼な上に、リリィの友人なのだから。

「考えられる可能は、誰かが指示した、とかでしょうか」

「そんなことが出來る人なんて居るのかな、でもその可能が高そうだよね」

「んー……」

考えても答えは出てこない。

あの時點で、城には兵に指示出來る人間が何人も居た。

ほとんどまともに生きている人間が居なくなった今と違い、絞り込めないのだ。

やはり、リリィから聞き出すしかないようだ。

だがしかし、千草の記憶には妙なつっかかりがある。

カミラの形跡が何もかも消えたわけじゃない。

その時・・・の記憶は――確かに千草の脳のどこかに、殘っているはずだった。

◇◇◇

千草との會話を終え、を潤した都は食堂から出た。

そこからしばらく歩いて訓練所へ向かっていると――

「ミヤコっ!」

その途中で、自分を呼ぶアーシェラの聲が聞こえてくる。

は都に近づくなり、背後からそのを強く抱きしめた。

「ミヤコ、なんで部屋に居ないんだ? あたいとの約束忘れたんじゃないかって不安になっただろ!」

どうやら、昨日の別れ際に”朝一番で訓練所で會いましょう”と言ってしまったのがまずかったらしい。

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「ごめんごめん、ちょっと飲みを取りに行ってたの」

「ミヤコの言った通り、部屋に泊まればよかった」

「それはアーシェラが拒んだんでしょ、まだ早いって」

「そりゃそうだけど……」

アーシェラは口を尖らせながら、額を都の肩にこすりつけた。

そんな、普段の彼とは驚くほどギャップのある仕草に、都は微笑みながら頭をぽんぽんとでる。

人は甘えられる相手を見つけた時に、初めて本をさらけ出す。

魅了とはつまり、その人の心を完全に解放することなのだと、都は考えていた。

同様に、吸とは人の魂を人という檻から解き放つものなのだ、とも。

昨晩わかったことだが、アーシェラはい頃に両親を失っている。

孤獨になった彼は、1人で生きていくために力をに著けた。

そして力は彼に報いたのだ。

人格は積み重ねた経験によって形されていくもの、戦いに寄る見返りだけで生きてきた彼は、それだけをし、そればかりをむ戦闘狂になっていった。

だが――アーシェラの記憶の奧底には、まだ両親に可がられた頃の記憶が殘っている。

誰かにされなかった分、それを埋めるように力に縋ってきただけにすぎない。

だから、心をさらけ出して、そこに付け込まれると・・・・・・・、虛勢は容易く瓦解してしまう。

「じゃあ予定通り、まずは戦闘訓練からだな」

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しかしを知らない彼は、し合う方法をそれ以外に知らない。

アーシェラにとって、お互いの力をぶつけ合うことは、これ以上無い好意の表明なのである。

「んで、それが終わったら……ミヤコは、あたいのを好きにしていいぞ」

あまりにらしいギヴアンドテイクの提案に、都は無にアーシェラを抱きしめたくなった。

しかし、戦闘訓練も終わらないうちに盛ってしまうと彼の機嫌を損ないかねない。

「うん、じゃあ今日は昨日よりうんとひどくしてあげる」

だから、都は言葉だけで我慢しておいた。

もっとも、それでもアーシェラが顔を真っ赤にして俯く程度には効果はあったようだが。

◇◇◇

「ねえダヴィッド、あれどう思う?」

仲睦まじく腕を絡めながら、訓練所へと消えていく都とアーシェラを遠くから眺め、ナルキールが言った。

彼の隣には巨のダヴィッドが立っているものだから、余計にナルキールの細さが際立っていた。

「……うまそうだな」

「ワタシが求めてた想と違うんだけど」

「なんだ、アーシェラのことを聞いていたのか。なら率直に言うが、”がっかりした”が俺の想だな。あいつは俺と同類で、自らの強さにしか興味が無いと思っていたんだが」

それがまさか、に溺れるとは。

しかも相手は同である、ダヴィッドの失も仕方のないことだった。

「がっかりとまでは行かないにしても、確かに意外よねぇ。ところで、あんたがさっき”うまそう”って言ってたの、もしかして一緒に歩いてたのこと?」

「當然だ。何でもアーシェラと真正面からやりあってるそうじゃないか、それだけの強者をにしない手があるか?」

「あんたいつもそればっかね」

「食は人間の三大求の1つだ、何か問題でもあるか?」

「普通ならないけどぉ、あんたの場合はその食が異常なわけじゃない」

「ナルキール、お前も”自分磨き”が好きだろう? 俺のもその一環だ、お前がのために食事に気を使ったり、綺麗なを見かけたら犯してるように」

ダヴィッドは腹をりながら言う。

「――俺は強くなるために、強い人間のを求めてんだよ」

そして脳で都のの弾力と芳醇なの香りが混じった味を想像し――溢れそうになる唾を拭った。

ダヴィッドのそれを見たナルキールは、何も知らない都に向かって「ご愁傷様」と呟くのだった。

◇◇◇

戦闘を終えて、都は一足先に訓練所を後にした。

アーシェラには武の手れがあるとかで、先にシャワールームに行っていてしいと言われたのだ。

本當は道中も々と気分を盛り上げるための手段を考えていたのだが、しぶしぶ1人で向かうことにする。

訓練所から出て、廊下を歩き、人気のない薄暗い場所を通っている時に――ふと都は、自分の頭上に不穏な気配をじた。

「グラアァァァァッ!」

獣じみた咆哮と共に、天井に張り付いたダヴィッドが降下してくる。

――うわ、気持ち悪っ!

と聲に出すより前に、反的に都のいていた。

倒れ込むように前方に飛び込みながら回避。

著地したダヴィッドはすぐさま追撃しようと腕をばしてくるが、都はそれを足で弾いた。

その蹴りが想定外の威力だったのか、彼は痺れる自分の腕を見ながら楽しそうに笑う。

「その細いのどっから力が出てきてんだ? おもしれえな、お前」

「何のつもり?」

「食うつもりだよ。軍に所屬してるなら知ってんだろ? 俺のことぐらい」

さすがに都も、騎士全員分の癖までは把握していない。

だがダヴィッドが自分に向けるが、でないことだけははっきりとわかった。

これは別の類のおぞましさだ。

例えるなら、捕食者が対象を見定めるような――

「やっぱそうだ、間違いないよ。お前のは絶対にうまい。これを食わずにでるなんて勿無いだろアーシェラよお!」

ダヴィッドは再び都に摑みかかってくる。

捕まれば、そのまま生きたまま食いちぎられてしまうのだろう。

しかし都は、特別恐怖するということは無かった。

確かに、鳥が立つほど気持ち悪い相手ではあったが、おそらくこいつは都の的な強さしか見ていない。

だから素手でも勝てると踏んで、捕食対象に選んだ。

しかしそううまく行くだろうか。

ここは人気のない場所で、しかも――薄暗い・・・というのに。

都が手をばすと、それに同調するように、上下左右、四方を囲む壁から黒い手がずるりと現れる。

まず左右の手はダヴィッドの両腕を拘束した。

「なにっ!?」

男は驚愕する。

それでもまだ振り払えると思っているのか、もがき始める。

そんなものは無駄だとあざ笑うように、下方からびた手が彼の足を摑んだ。

「なんだこれは……魔法か!? くそっ、この俺が振り払えないものなどっ……!」

千草が、”騎士は思っていたより強い”と言っていたが、あれはおそらく、相手が悪かっただけだ。

セインツは魔法の使い手、影との相は最悪。

それでも、千草がほぼ無傷で殺せてしまうほどの力の差があった。

ならばを扱うことの出來ない、ただの筋ダルマのようなダヴィッドが、都に勝てる道理は無い。

最後の一本、上からびる手が彼の頭を鷲摑みにした。

そしてそのまま――ぐるん、と360度回転させる。

ゴギィッ!

靜かな廊下に、鈍い音が反響した。

するとダヴィッドのからぐったりと力が抜け、ズボンの間のあたりが濡れ始める。

「うわ、汚なっ」

例え影でもれたくはない。

都が手を引くと、ダヴィッドの死はどさりと床に落ちた。

いきなりの襲撃には驚いたが、これで一安心。

……と思っていたのだが。

戦闘の一部始終には、目撃者が居た。

”やっぱりしでもミヤコと一緒に居たい”と思い、訓練所を飛び出してきたアーシェラだ。

は廊下の向こう側で、倒れるダヴィッドと都を互に見ながら、立ち盡くしていた。

「まずい、見られたかな……」

まだ彼には、自分が人外であることを伝えていない。

魅了が完全に終わっていないのだ、出來れば虜にしてしまうまでは正を明かしたくは無かったのだが。

アーシェラはゆっくりと都に近づいてくる。

気まずそうに視線を外すも、もちろん時も彼の足も止まってくれない。

「なあ、ミヤコ」

アーシェラは聲をかけると、しゃがみ込み、都の肩を摑んだ。

もうダメだ、こうなったら影でアーシェラを拘束して――と強手段に出ようとした都だったが、彼が告げた言葉は予想外のものだった。

「すげえ、すげえよ今の力っ! あのダヴィッドが簡単に死ぬなんて! 何だったんだ? 魔法か? それとももっと別の技でも使ったのか!?」

「……へ?」

「んだよ、そんな力があるならもっと早くに言ってくれよ! 要するに、あたいと戦ってる間は手加減してたってことだろ?」

はダヴィッドの死には一切興味を示さず、都の力にだけ食いついた。

元々ダヴィッド同様に、アーシェラも彼の強さにしか興味が無かったのだろう。

だから、もっと強い都が現れた時點でそちらに好奇心が移ってしまった。

「そのの細さでやけに力が強いとは思ってたが、ひょっとしてミヤコは人間じゃないのか?」

「まあ……半吸鬼デミヴァンプってことになってるけど」

「吸鬼か! なるほど、騎士団長サマが倒したとは聞いてたが、やっぱまだ生きてたわけだ。それが城に忍びこんでるってことは、仲間を増やそうとしてるんだろ?」

「うん、アーシェラのこともそうするつもりだった」

「なら話は早い! ミヤコと同じ力が手にるってんなら、早くあたいのを吸ってくれないか?」

それに、アーシェラは自分の背中に化の腕を移植するほど、強さを手にれるためなら手段を選ばない人間だった。

都の力を見せつけられ、かつ彼が人間を同じ種族に変えられる存在なのだと知れば、そうむのは當然である。

想像していた展開と違う流れになってしまったことに、都は困していたが――とにかく、アーシェラを仲間に引き込むことが出來れば、それで彼の役割は果たしたことになるのだ。

簡単に終えられるなら、それに越したことはない。

「えっと……実はね、まだアーシェラのは吸鬼になる準備が出來てないの」

「そうなのか、なら早く済ませてくれ。どうしたらいい?」

れ合わせると、私の魔力がアーシェラに注ぎ込まれて準備が進むんだけど……」

「じゃあ、こうか?」

アーシェラは都に抱きつく。

まあ、これもこれで悪くはないのだが。

千草のようにうまくは行かないものだな――と自嘲しつつ、都も彼の背中に腕を回した。

「んあぁっ!」

すると、都の指先がアーシェラの腰あたりにれた瞬間、彼ぎ聲をあげる。

魔力の流も止まっている気がした。

「ミヤコ、今、あたいになにかしたのか?」

「あはは、いや、たぶんだけど……ちょっと背中見せてもらってもいいかな」

「こうか?」

アーシェラが背中を見せながら服をめくりあげる。

すると、ちょうど部の上あたりに”印”が浮かび上がっていた。

どうやら、さっきのハグでちょうど魅了が完了したらしい。

一晩一緒に居たのに中々出てこないなとは思っていたが、ここまでギリギリだったとは。

しかし、何から何まで拍子抜けである。

「なあミヤコ、あたいの背中どうなってんだ?」

「ここにね、人間をやめる準備が出來ましたって印が浮かび上がってるの」

「ってことは……すぐにでも力が手にるわけだな!」

子供のようにはしゃいでいる、かなり嬉しそうだ。

いし、まあいっかと都は割り切って、アーシェラに向かって両手を広げた。

すると彼はその腕の中に収まり、再び抱きつく。

ちょうどアーシェラの首が都の目の前に來る形だ。

「早く早く」と急かすので、すぐさまその首に噛み付く。

「はあぁぁんっ!」

牙が食い込むと、走る稲妻のような痺れに、アーシェラはを仰け反らせた。

「あ、あぁ……これが、吸……すごっ……おぉっ」

最初は痛みも生じるはずなのだが、戦場で慣れている彼はいきなり恍惚とした表を浮かべる。

半開きになった口は、小刻みに「あっ、あぁっ」といだ。

普段はがさつな口調で喋っているのに、こういう時の聲はやっぱりらしい。

都はもっと激しくじてしくて、さらに牙を深く食い込ませた。

「ひあぁぁぁあっ! あ、あはっ、ん、お……ぁ、ミヤコが、ミヤコが、って……くるぅっ……!」

覚に慣れてきたのか、強張っていたから力が抜けた。

それでも吸の快楽が弱まったわけじゃない。

アーシェラは何かに耐えるように、震える手で強く都の服を摑んだ。

「あぁ……好きっ、ミヤコぉ、好きぃっ! あたいっ、ミヤコのものに……なるからぁ、もっと、もっとぉ、んああぁぁっ!」

私も好きだよ、しているよ、と頭の中で繰り返しつつ、さらにを吸い上げていく。

こんなに誰かのことをせるなんて、素敵。

人間じゃ無理だった。

ちーちゃん1人だって無理だったのに、ましてや他の人なんてせっこなかった。

なのに今は、人間をやめた今は、こんなに――エリスちゃんもナナリーさんもレイアもリーナも桜奈も冬花もせた。

そしてこうやって、出會って數日しか経ってないアーシェラとし合えている。

それは都にとって、もはや誇りと言ってしまってもよかった。

人ならざるもの――半吸鬼デミヴァンプであることの。

その誇りは”仲間を増やしたい”と言う本能と混ざり合って、強い衝となり、を通してアーシェラの人間を奪っていく。

「はっ……あぐ、うぅ……んひ、ひゃふ……きも、ち……いひ……ミヤ、コぉ……しあ、わ……せ……へ、ぇ……」

アーシェラの聲が途切れ、はぐったりと力を失う。

の変わった彼は、以前のように筋質でゴツゴツとはしていない。

的にらしい丸みを帯び、同の都から見てもどきりとしてしまうほど魅力的になっていた。

都は変容した彼を床に寢かせると、馬乗りになり、冷たい頬に手を當てる。

あとしすれば、生まれ変わったアーシェラが目を覚ますだろう。

だが都には我慢ができなかった。

こんなに味しそうなが目の前で、しそうに橫たわっているのに、何もしないなんて冗談じゃない。

「んっふ……はふ、ちゅ、ちゅっ、ちゅう……ぺちゃ、はむ……む、ちゅ……あーひぇらぁ……っ」

都はアーシェラのに繰り返し口づけをし、食み、舐め、唾で濡らしていった。

じきに舐めているだけでは我慢できなくなったのか、ぴたりとをくっつけると、口に舌をり込ませる。

人から半吸鬼デミヴァンプへの過渡期、つまりはほぼ死の狀態であるアーシェラの口の中は、冷たいがまだり気が殘っている。

そこを自分の唾でさらにぬめらせながら、かない舌を舐め、口をすぼめながら吸い上げる。

都が夢中でディープキスに沒頭していたところ、ぱちりとアーシェラの目が開いた。

瞳のは赤い、もう彼は人間ではない。

だがそんな彼でも、さすがに目を覚ましたらいきなりを奪われていた、と言う狀況には驚いたらしく――

「ふご、んぐっ!?」

と最初はしばらく戸い、唖然とし、されるがままだったが、都が我慢出來ずに貪っているのだと気づくと、目を細めて彼の背中に腕を回し、自らも舌を絡めた。

2人のそばには、もちろん死にたてほやほやのダヴィッドの死が転がっているのだが――口づけの快と互いに向けうに溺れ、もはや頭の片隅にもその存在は殘っていなかった。

廊下に、ぺちゃ、ぴちゃ、とり気のある音と、荒い呼吸、そしてぎ聲が響く。

それらは、偶然に通りかかった千草が注意するまで、止まることは無かった。

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