《やっと封印が解けた大魔神は、正を隠さずに凡人たちに力の差を見せつけます ~目覚めた世界はザコしかいない~》企み

「や、闇の剣聖……? なんか聞いたことあるな……」

ルーギウスが辿々しい口調でひとりごちる。

彼にはもう知の欠片も殘っていないようだ。汚らしく涎よだれを垂らし、目線も覚束ない。

「まあ、どうデもいいか。いまの俺は《通常》ノ魔王様にも匹敵する……どんな奴にも負けなィ」

考えることを放棄したようだ。

そのまま二本のナイフを逆手に持ち、戦闘の構えを取る。

「ふっ。魔王に匹敵か。笑わせる」

アリオスは苦笑いを浮かべた。

「――魔王ごときと同程度の力で、俺に勝てるつもりか?」

「な、なんだト……?」

「ひとつ教えてやろう。《闇の剣聖》はな、魔王よりもはるか上をいく存在なのだよ。……まあ、魔神ほどではないがな」

言ってから、アリオスは數歩だけ前に進み出た。

と同時に剣を振りかぶり、ルーギウスの心臓部分を呆気なく突き刺す。

「え……?」

ルーギウスがきょとんとした表で自部を見下ろす。剣との隙間から、どろどろとが流れ出てくる。

「己の幸運に謝するんだな。痛みすらじずに逝けるのだから」

「ば、ばかなッ……!」

あまりにも速く、あまりにも簡潔。

それがルーギウスの最期だった。

ルーギウスは白目を剝き、そのままかなくなった。

「ほほう。しばらく見ないに、ずいぶんと満なになったようだな……」

目が覚めたのは、そんな聲に呼ばれてだった。

――ここは、どこ……?

ぼやける視界で、コトネはなんとか周囲を見渡す。

眩しい。

さまざまな金屬類や寶石があちこちに散らばっており、すさまじいまでの輝きを放っている。壁面には蕓のよくわからない絵畫が何枚も掛けられていて、所有者の趣味の悪さがうかがえる。

――所有者?

そこまで考えて、コトネはかっと目を見開いた。

に鳥が立つのをじる。 

――たしか私は拐犯を捕まえるための《囮》を名乗り出て、それから……それから――

自分の直が正しければ、ここは……

「目を覚ましたかね。コトネくん」

もう生涯聞きたくないとすら思った、特有の濁聲だみごえ。

目線を向けると、近くの椅子に座っている魔王ワイズが、頬杖をついて嫌らしい笑みを浮かべていた。

「……っ!」

的にコトネはこうとした。

だがかせない。 

「クク、そう慌てなさんな。おぬしはけない。頑丈に縛りつけているからの」

その言葉は真実だった。

両の手足が、壁面の拘束にがっちりとはめ込まれている。

大魔神エルガーならともかく、コトネの筋力では壊せそうにもない。

それでもなおコトネはもがき続けた。一刻も早くこの場から逃げ出さねばならない。

さもないと……!

そんなコトネの心境を知ってか知らずか、ワイズはまたしても笑い聲をあげた。

「フフ、拘束など儂わしの覚にはまったくそぐわないのだがね。しかし、そこにしいメスが加われば別。取り付けてよかったというものだよ」

「あ、あんた……!」

この発言。やはり。

拐事件の犯人は……、魔王ワイズ、あんただったのね……!」

「やれやれ人聞きの悪い。儂わしは魔王。自國民をどう扱おうが、儂の自由ではあるまいか?」 

「こ、この……!」

どうりで警備隊がかないわけだ。

こいつは、自分が魔王であることを良いことに、多くのを傷つけてきたのだ。

「だが、コトネよ。おぬしは他のとは訳が違う。ふふ、生意気な魔神の悔しがる顔を見るのが楽しみだ……」

    人が読んでいる<やっと封印が解けた大魔神は、正體を隠さずに凡人たちに力の差を見せつけます ~目覚めた世界はザコしかいない~>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください