《やっと封印が解けた大魔神は、正を隠さずに凡人たちに力の差を見せつけます ~目覚めた世界はザコしかいない~》の時代へ

――創造神。

僕はその名を脳裏から呼び起こした。

文字通り、世界を創造せしめた神とでも言うべき存在。

大魔神が《破壊》の役割を擔うとすれば、創造神はそっくりそのまま《創造》の役を遂行する。ただし、その《創造》が必ずしも善行とは限らないが……

そして。

創造神とはその名の通り、世界を管理せし者である。

であれば、ステータスという怪奇なシステムを用いて、世界の住民を管理することは充分に可能なはずだ。

「……君が黒幕だったんだね」

僕はコトネを片腕で守りつつ、創造神ストレイムを威嚇してみせた。

奴の隣には魔王ロニンもいる。

詳しい狀況は不明だが、彼は獨自のルートでストレイムの足取りを追っていたようだ。魔王城を探していたのはそのためであろう。

創造神ストレイムは余裕たっぷりに僕たちを見回して言った。

「あなたたちは……好敵手エルさんと……ほほう、貴殿は……?」

「アリオスだ。貴様が創造神か」

「なんと。栄ですね。一般人が私の名を知っているとは」

「……ふん」

アリオスは腕を組み、顔を逸らした。

僕はそのやり取りを見屆けてから、最大限に警戒をしつつ、ストレイムに訊ねた。

「さっき興味深いことを言っていたね。《計畫》とはなんのことだい?」

「やれやれ。揃いも揃ってせっかちだねぇ」

ストレイムは肩を竦めて苦笑した。

「……だがまあ、ひとつだけ公開してあげてもいいだろう。――出番だよ、ナイゼル」

――ナイゼルだと……!?

僕が目を見開くのと同時に、ストレイムの隣に、新たな人が姿を現した。

金髪のロングヘアに、和そうな瞳。ストレイムも長だが、彼にも負けないほどのモデル型を誇っている。白銀を基調とした豪勢な服を著ており、やんごとなき分であることを想像させられる。

間違いない。

人間界の王――ナイゼルだ。

とはいっても実はない。創造神ストレイムにより、映像だけを現化させられているのだろう。ナイゼルの姿は全的にぼやけている。

目の前の景に、僕はなにがなんだかわからなくなりつつあった。

神とナイゼルが手を組んでいる?

こいつら、最初からそのつもりで……

「お初にお目にかかります。人間界の王、ナイゼルと申します」

ナイゼルはその場の面々に向かって優雅にお辭儀してみせた。

「たったいま、創造神ストレイム様から耳寄りな報をいただきました。休戦約を結んだ魔王ワイズ殿が崩あらせられたと」

そこでナイゼルは強烈な意志力を瞳に讃たたえ、不敵に笑ってみせた。

「これをけ、我ら人間軍による、魔界への攻撃を開始させていただきます。あらかじめご了承くださいませ」

――まもなく世界は激の時代を迎える。いくら貴様とて……果たして無事に生き殘れるかな――

魔王ワイズの言葉が、僕の脳裏に蘇った。

第一章 終

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