アウルとハクが共に店の建ち並ぶ大通りを歩き始めてから30分。ようやく目的地である魔法學院へ到著し、二人は験者の立ち並ぶ校門へと向かった。

「凄い列だね」

列の原點である學試験付まで続く相當な長さの列。二人が並び付にたどり著くまでなんと３時間は掛かったが、付人はそれを詫びる事なく學試験の付としての責務を果たしていく。

「次の方、前へお願いします。ではお名前から――」

最初は名前、家族名、出、歳などあらかた基本となる報を調べられ、最終的に魔法能力の適と魔力量を測る為、それを調べる道、魔法水晶に手を乗せるよう付テーブルの上へ付人は魔法水晶を乗せた。これがこの魔法學院最大の難関とも言われている第一次試験、魔法適＆魔力量テストが始まった。

「くそっ！　でもやりようによっては上級魔法だって俺は使えるんだ！！！」

アウルのすぐ隣で第一次試験を行っていた験生は自分のテスト結果より不合格となってしまったようだ。そう、この魔法適＆魔力量テストはその名の通り魔法適が優れず、魔力量がなかったりすると不合格となってしまう。いくらレベルの高い魔法を行使出來たとしても、將來が無い生徒はけ無用で切り落とされてしまう。それがこの學院のルール。俺もこのように理不盡な方法での學試験は賛ではないが、単純に能の低い新生を取るよりは高能な人材をより多くれる方が先決だろう。いくら國一の學院だとしてもその中で生徒として迎えれることの出來る人數には限りがあるのだから。

「では魔法水晶に手を」

付人にそう言われ、アウルの手が魔法水晶に振れた瞬間、魔法水晶が々に砕け散った。魔法水晶は破裂する前れも無く、一瞬にして々になってしまった。付人は驚きの様子だったが、すぐに顔を変え付の下から水晶を新たに取り出した。今度は前回より半分くらい大きな水晶であり、付人は改めましてといった表でアウルを見つめた。

「では魔法水晶に手を」

同じくアウルは再び手を魔法水晶にれた。そしてまたしても魔法水晶は一瞬にして砕け散った。

「え？　これは一」

驚愕といった言葉が相応しいほどの付人の見事な反応。周りに並んでいた験者たちも驚きをわしていたが、すぐに自分の事へと集中を戻したかのように顔を前に戻してしまった。

「凄いね、中型魔力水晶が割れるは初めて見たよ」

ハクはそう言い殘し、付を出ていった。どうやらハクの方は試験に合格したようだ。あの様子だと余裕といったところか。周りで試験をけている験者たちは大抵、魔法水晶に手がれた瞬間に力を吸い取られているような様子だが、ハクにそのような様子は一切なかった。要は魔力量がとても多いのだろう。

「とっ、とにかく合格です。二次試験會場はあちらにある第一闘技場になります」

第二次試験は模擬戦。模擬戦は験者同士の一対一での勝負で魔法、呪い、武など何でもありな仕様となっている。ルールは闘技場の中心に設置されてある円型の大きな臺から験者が除外された時か、一方の験者が戦闘不能になった場合、その場に殘った方が勝者となる。片方が負けを認めた場合も、もう片方が勝者となる。と、先ほど付人から渡された紙に書かれていた。

ちなみに外部からの道やアイテムですらも持ち込みOKとの事だから要はルール無用の戦いというわけだ。

「あれ殺戮剣士のバークじゃねぇか？」「今年はあんな奴もけているのかよ！」

ルールの書かれた紙を見ている最中に闘技場の観覧席が騒がしくなったことにアウルは気づき、臺の上に立っている二人の男を見た。そこには先ほどまで隣で一次試験をけていたハクがもう模擬戦を行っていた。対戦相手は観客の言うバークという名の男。鍛え上げられたに巨大な剣を擔いだ姿はとても迫力があり、確かに他の験者から恐れられていても不思議ではない。

だが、殺戮剣士って…。ここ殺人者でも新生として學出來るのか？ 

二人の戦闘を観覧席から見ようと座りに行ったが、橫から見ると二人の格差を激しく、その景はまるで人が巨人とこれから一戦をえるかのように見えた。

「俺はバナーム家の長男、バーク。俺を前にしてこの場まで來られたことは褒めてやる。だが、俺に勝てるとは思わないことだ。々、死なないように頑張ると良い」

「では、戦闘開始」

戦闘開始の合図と共にバークは肩に乗せていた巨大な剣をハクに目がけて振り落とした。だが、ハクはその細な格を利用し、剣を軽々と避けると右手をバークに向け無詠唱のウォーターバブルを放った。バークは予想通り、その重たい見かけの格をすぐさまかすことは出來ず、ウォーターバブルを正面からけた。

案外、バークは観覧席まで吹き飛ばされ丁度階段に衝突した。幸いその近くには誰もいなかったため、誰一人としてけが人が出ることは無かった…。バーク以外は。

「勝者、ハク！」

誰一人として予想も付かなかったこの結果に観覧席からは大勢の歓聲が飛びった。そしてハクは平然と臺の上から降りて俺の座っている場所の隣へ座った。

「僕の戦いどうだった？」

「凄かったよ。あの巨を一撃で倒すとはね」

得意げな顔でわざとらしく聞いて來るハクにより、しからかいたくなったがそれを我慢し、素直に褒めるアウル。その後、自分の番が來るまで他の験者たちの戦闘を見ていようかと思ったが、そのすぐ後にアウルは審判に呼ばれることになりあまり観客席で見ていることは出來なかった。どうやら第一次試験で大勢の験者たちがふるい落とされたようだ。

「では、戦闘開始」

審判の合図と同時に剣を構えてこちらへ恐る恐る向かってくるの子。俺の対戦相手はアデムという名の小柄なの子。しは遠慮をしようかと一瞬思ったが、彼の真剣な目を見て手加減は無用と理解した。アデムは本気でアウルを倒そうとしているのだ。この場ではも男も関係無い。けは無用。

彼がアウルを斬りかかる寸前、アウルは上空へと飛行魔法で飛行し、初級魔法の

[ライトニングスティック]を放った。けを無用などと言っておきながら魔法のランクの中では一番下に位置する魔法[ライトニングスティック]を使ったわけだが、発されたはずの[ライトニングスティック]はまだ現れない。

數秒後、凄まじい地響きが學院中に響き渡り、上空の雲に一瞬のに巨大なが空いた。その中心部にはライトニングという名に合った合いの黃く輝く一本の巨大な棒が上空からこの闘技場の臺の中心に直撃した。外部からの攻撃、襲撃を守るために張られているバリアはしも耐えることは無く、盡く突き破られた。そして地面に直撃した衝撃は帝都中に響き渡り地面が大きく揺れた。

ライトニングスティックが落ちたと共に視界を遮るように舞い上がった大量の砂ぼこりが収まると、観覧席には誰もおらず全員が闘技場から既に避難していた。

「あ、威力間違えた」

アウルの計畫では魔力を最低限まで落とし、複數のライトニングスティックを発するはずだったが、一撃目で威力を大幅に間違えてしまった。これでアウルの普通の100分の1。予定では1萬分の1の威力と魔力で発をしようとしていたのだが、その試みは失敗に終わった。

闘技場の周りを見てみると、避難した教師、審判、審査員、験生が恐る恐る臺の中心に空いたを見下ろし、次に上空に飛行しているアウルを見上げた。別に彼を殺そうとしていたわけではないよ。ホントだよ…？