試合が終わるとかなりの人が俺達にさっきの試合で使った”新魔法”を教えてほしいと聞いてきたが、その対処はハクに任せた。今日はもう俺達の番は無いのでアリシアと俺はその場を離れ、宿屋に戻った。

「予選突破おめでとう」「おめでとうございます！！！」

するとロリ長とゼレシアが宿屋のカフェで待っており、俺達が予選突破することを予想して二人は大きなホールケーキを用意して待っていた。

「ありがとう」「ありがとうございます。でもなんで私たちが予選突破したことを？」

「逆に君達が負けたらびっくりだよ」

「アリシアさんはともかくアウル君が誰かに負けるはず無いですよ」

「ちょっと…私はともかくってどうことよ！！！」

「あっ、そういう意味ではなくて…あの…えっと…」

「まあまあ、まずはお祝いのケーキを食べることにしよう！」

うっ…また食べ…それもデカい。絶対これ、４人サイズじゃないだろ…。食べれなかったら他の冒険者や生徒達に分けるか…？って誰もいない？

「あれ？　そういえばここに泊まっている生徒や冒険者たちもいないようだな」

「そうだな。彼らは皆、魔法大會に行っているから殘っているのは私達だけだ」

「そして明日からは本選が始まり、この町の半數の人々が數日間、大會を見に行くので夜以外は店も閉まるそうだ」

「あれ意外と凄い大會だったんだな…。ところでロリ長は誰と組んで出場するんだ？」

「私は昔からの友人である北の超級魔法使いと火山の仙人って呼ばれてる爺と組んで出場するのだよ」

「マジか。それは凄いな」

「ああ。決勝では容赦はしないぞ」

「おう！」

そして次の日が來た。現在、朝10時、土砂降り。今日はロリ長も出場するので4人で魔法大會の會場へ向かった。この世界では魔法の効果変條件がたくさんある。その一つとして雨の日は火屬魔法の威力が0.7倍になり、逆に水屬魔法は1.2倍になるということがある。というわけで今日、火屬魔法使いは皆本來の0.7倍の力しか使うことが出來ないということだ。ちなみにアリシアは火屬魔法使いだ。

今回の俺達の試合相手は運の悪いことに水屬魔法使いのパーティーだ。そして彼らは戦闘のプロであり、いくらこちらの魔力量が上だとしてもこれは一筋縄ではいかなさそうだ。いざとなれば時間停止能力を使えばいいのだが。

「試合開始！！！」

試合が始まった。試合開始直後、リーダーの男はこの四角い空間の外で降っている雨を空間の中にれ、全てを彼の手の平に溜め込むと、それをどんどん小さくしていった。

「水核発」

男がそうつぶやくとさっきまでバスケットボール並のサイズだった水の玉が直徑一センチくらいの玉になり、俺達の目の前で発した。俺はすかさず時間停止魔法を使い、その水の玉を同じく、水制魔法で発を止めた。時間停止魔法が解除されると[水核発]から発せられたのみが周りに放出され、俺はその水の玉を手の平に乗せた。

「ばっ馬鹿な！！　あれは超級魔法だぞ！」

「あれは通常の超級魔法より何倍も威力の高い魔法なはずなのに…」

「そんな、その魔法を阻止するとは,,,。ではこれでどうだ！！」

「超級霊魔法・ジェネラル」

パーティーの二人はリーダーに魔力を供給し、リーダーが巨大な霊を創り出した。その霊は形をしていき、渦を巻いた青と紫の混じった球になった。どこからどう見てもジェネラル=將軍というよりは自分から回転して當たりして攻撃してきそうな見た目だった。