《Re:legend》578:考察

 「なるほど…ソラミちゃんの暴走…『虛無』を撃退するほどの力ですか…」

 私はソフィラさんに私が把握できていることを全て伝えた。しばらく考え込んだソフィラさんは機の上にあった紅茶で軽くを潤してから口を開いた。

 「おそらくソラミちゃんの力はの狂と呼ばれるものでしょう」

 「の狂…ですか?」

 「ええ、の狂は本來ヴァンパイアの切り札と呼ぶべきものです。に飢えたヴァンパイアがを求め本能に従いを求める。そのために自分の中に存在する生命力と引き換えに発的な力を得る」

 「なるほど、ソラミちゃんが私たちを襲ったのはを求めてだった…ということですか…」

 ソフィラさんの回答には納得のできる點が多かった。ただ、気がかりな點が幾つかあった。フランさんも私と同じ違和じたようでソフィラさんに質問を投げかける。

 「ヴァンパイアの切り札ってソラミちゃんはヴァンパイアじゃないですよね」

 「そう。そこが気がかりな點です。ソラミちゃんがヴァンパイアだったらの狂に陥ったと考えられますがソラミちゃんはダンピール…本來、ヴァンパイアがの狂に陥るための條件に自分が生きていけるかわからない空腹狀態…つまり他者のの欠損が條件になります。ですが、ソラミちゃんはダンピール、他者のが無くても生きていけるためこの條件は満たされません。そして、もう一つの気がかりな點がソラミちゃんがの狂に陥ったとして『虛無』を打ち負かすほどの力を解放できるとは思えません。の狂に陥ったとして引き出せる力は普段の數倍がいいところでしょう。それだけで『虛無』を打ち負かすことは難しいですね」

 ソフィラさんは淡々と負に落ちない點を述べた。それを聞き謎は深まる一方だった。

 「ソラミちゃんのことについては報を集めるとしてとりあえずソラミちゃんが目覚めるのを待つしかないですね。ソラミちゃんが暴走したのを止めたと思われる魔力には心當たりがあります」

 「本當ですか?」

 フランさんが尋ねるとソフィラさんははい。と軽く返事をして私を指差した。

 「コリンさん…あなた獣神化しましたね」

 「獣神化…ですか?」

 聞いたことのない言葉を聞き私は首を傾げる。

 「獣神化とは獣の神である獣神をに宿す獣人だけが使える特別な力…あれほど巨大な魔力、そしてコリンさんとソラミちゃん以外は倒れていたと言う話が事実ならその可能が妥當でしょう。何よりコリンさんは気づいていないかも知れませんがコリンさんが放つ魔力が以前より深まっています。おそらく獣神化した影響でしょう」

 「獣神…それが私に?」

 「ええ…一度獣神化した獣人を見たことがあります。その方が放っていた魔力とあの時じた巨大な魔力は近しいものをじました。そうですね。獣神化についてはシャインさんやダークさんの方が詳しいと思いますよ」

 ソフィラさんの話を聞き終えた私はシャインとダークを探しに向かう。ハルカさんはエリカさんの側にいたいとのことだったのでエリカさんの部屋に殘った。

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