《現人神の導べ》17 選択授業
學園の一角、何もない平らな場所。
そこには武裝した年達が集まっていた。
刃は付いていないが金屬製の武を持ち、革製の防も著ている。
し離れた場所には木製の魔法……所謂杖を持った者達も並ぶ。
これら裝備は學園が用意した支給品だ。つまり量産型。
自前がないなら使えと言うことだ。
その中に、明らかに格好がおかしい者が2人ほど混じっていた。
周りより小さいは何故かドレス姿。周りよりかなり大きいは侍服だ。
勿論シュテルとブリュンヒルデである。
「……なぜ君達はその格好なのかな?」
「普段から著慣れた格好かつ、妾達の持つ自前の防だが……問題があるか?」
「……まさか、魔裝かな?」
「うむ、前の世界から用しているだ。ちなみに普段著でもある」
「じゃあ武も自前のがあるのかな? 勿論刃を潰してある奴だけど」
「勿論あるぞ。妾がそこらの杖なんか持ったら壊すしな」
「練習用にかなり長いだけど……?」
「無理だな。壊していいならやってみせるぞ」
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「壊していい訳でもないけど……そこまで斷言されると気になるな」
※魔法とは
魔法使用時に補助してくれる。
名前の目安はワンドが20~50センチ。スタッフが120センチ~2メートル程とされるが、あくまで目安である。
基本1.1~1.3倍程の強化合。
杖は長いほど魔力制を助け、短いほど魔力増幅を助ける。
その為、見習いとかは長く、ベテランは短くが基本的である。
だが、保有魔力量が多ければ多いほど、魔力濃度が高ければ高いほど、制が難しくなっていく。
よって、魔力量と濃度次第では、ベテランでも長いのを持っている可能はある。
なので、人により適した長さがある程度変わる。
杖が適してなかったり、杖の耐久に問題があった場合、制が逆にしづらくなったり、杖自が砕け散ったりする可能がある。
前者はよくある事だが、後者はよっぽどのことがない限りは起こらない。
原因は杖自の劣化だったりするが、稀に魔力濃度に耐えきれない場合がある。
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魔力濃度が高いということは、その分出力が高い為、そのエネルギーに杖の素材が耐えられない。
前者は適した長さを探せばいいが、後者の魔力濃度が問題の場合、素材から探す必要がある。
魔力濃度が高い場合、壊れないよう逃がす為にも杖が長くなりやすい。
さて、そこで長いスタッフを教師から渡されたシュテルは軽く魔力を流し……。
パァン! と々に砕け散った。
それはもう部破裂的に木片……と言うか最早木屑が宙を舞う。
やれやれと肩を竦めるシュテルであった。
分かりきっていた事である。超越神の魔力をただの木がけ止められる訳がない。
ルミナイトで作った金屬杖……しかも神である月杖・エーレンベルクすら耐えられないのだから。
「……呆れるほどに々だね。いったいどんな魔力してるんだい……。まあ、持たない理由はわかったよ。……さて、まずは皆の今の実力を見せてもらおうかな。武闘系はあっち、魔法系はこっちに集合」
長嶺と狐っ娘は武闘系、宮武は魔法系。ヒルデは武闘系にいった。シュテルは別にどちらでも良いのだが、大人しく魔法系に移。
シロニャンはシュテルの頭の上で寛いでいる。
「じゃあ、早速始めるよ。今できる最大火力を向こう側に使用して」
30臺程の男の魔法教師は何もない方向を差しながらそう言った。
元々試用の場所なのだろう。ところどころ抉れたりしている。
そんな中一番後ろでどうするかと考えるシュテルであった。
『今できる最大火力』なんてぶっ放したら王都どころか世界がやばい。手加減しすぎてもあれだ、免除してもらえない。それはそれで面倒くさい。
書類仕事してた方が遙かに有意義である。
むむむむ……とどのぐらいにするか考えている時、宮武がコソコソ寄ってくる。
「ユニエールさん、何使った方が良いかな?」
「別に好きなの使っていいが……そうだな、水とか氷の上級レベルか」
「え、上級使える?」
「今回は杖があるからな。とは言え、まだ実戦で使えるレベルではない。魔力流してみろ」
「えーっと……」
「普段に循環させる魔力を、杖にも渡せばいい」
「お、おお……なるほど。杖便利だね」
「実戦なら杖ありが基本だな。だが練習するなら杖なしの方が良い」
「うーん……"グレッチャー"でいいかな?」
「良いと思うぞ。下手にオリジナルより分かりやすいだろう」
「よぉーし」
他の者達は張り切って"ファイアランス"や"エクスプロージョン"など中級の一般的な攻撃魔法を使っていく。
宮武以外の勇者達も中級を使うが、他の者達よりも明らかに規模が違う。シュテルの教えた《魔力作》のトレーニング方法。あれが結構効果あるのだ。
魔法とは魔力を使用するなのだから、《魔力作》ができないなら満足に使えないのも當然である。
まあ勇者補正と言うか……異世界転移補正もあるのだが。
そして宮武の番である。
し前に出て、目を閉じ深呼吸。
「いきます……」
"グレッチャー"が選択され、4メートル程度の青白い魔法陣が足元に展開される。
なくてもいいが、初心者程あった方が良い呪文を呟きながら、詠唱をする。
「海に浮かぶ大河よ……」
視線を前方上空へ向け、両手でスタッフを掲げ、発させる。
詠唱により魔力というエネルギーを得た魔法陣は、屬のに中央からが広がっていき、全がり輝き発待機狀態へと移行する。
「押し潰せ……! "グレッチャー"」
魔法名という最後のキーワードが引かれ、魔法陣が溶けるように消える。
すると宮武の視線とスタッフの先、前方の上空に氷の塊が出現する。
『おりゃぁー!』という聲と共にスタッフを振り下ろし、それに従い氷魂が落下を始める。
氷魂は地面に當たると同時に砕け散り、破片が周囲へと散る。
氷の塊で押しつぶし、更に周囲に散らばる破片で攻撃する氷の上級魔法だ。
「はぁ~。上級こんなきっついの……」
まだこの世界に來てそんな経っていない。魔力不足により、肩で息をしていた。
「では最後、妾の番だな。見ていろ宮武。魔法を極めた先、月魔法を見せてやろう」
「月魔法……?」
「いつ使うんだこんなのってレベルの魔法だ」
「えっ」
シュテルの元。お風呂だろうが常に付けているネックレスのような植の種。
それに手をばすと首にびていた蔓が引っ込む。
手のひらサイズの種を持ち、スタッフへと形を変えさせる。
早送りのように種が木に変わりびていき、周囲に蔓が絡む。だいたい自分の長の2倍近い長さのスタッフである。
「一番安全な魔法にしよう」
片手で杖を斜めに向け……魔法を選択すると魔法陣ではなく、魔導文字そのが展開された。一文字ずつバラバラにシュテルの周囲を漂う。
詠唱を進める事により、文字が文として立していく。
文として立されていく魔導文字が周囲を囲むように淡くり、全ての魔導文字が數行の文となり、周囲を回る。
「これが無の月魔法だ。……"マナ収束砲マギキャノン"」
杖の先から極太ビームが発され……王都を囲っている壁を……ぶち抜いた。
學園は王都の端っこにあり、今いる場所……訓練場は壁側に存在する。
魔法の試組は學園を背にし、壁の方に向かって撃っていたのだ。とは言え、かなりの距離があり、上級ぐらいなら楽々撃てるサイズである。
徐々に極太ビームは細くなり、消えたと同時に魔導文字も溶けるように消えた。
「とまあ、無屬の超級にある"魔力収束砲マジーアキャノン"の上位だな。ちなみに似たようなのとして、雷に"荷電粒子砲エレクトロキャノン"がある。今のは直線だから見せれたが、他のは地上の被害がヤバいので見せることはないだろう。ここでやったらなくともこの王都は消える」
火の月魔法は"新星発ノヴァエクスプロージョン"。
水の月魔法は"大津波タイダルウェイブ"。
土の月魔法は"流星群ミーティア"。
いつ使うんだこんなの……である。當然各屬1個ずつあるので、他にもある。
「……歩く核兵が近くにいた」
「ハハハハ。放線は発生しないぞ」
杖を種に戻し、再び首に戻す。
「って言うか、開けちゃってどうするのあれ……」
「當然直すが? ほれ」
凄いてきとーに、投げやり的に腕を振るとみるみる壁が再生していき、など無かったように元通りになった。
「ほぁー……」
「これは……教えることあるのかな?」
「免除してくれれば良いさ。書類仕事したいからな」
「ふぅむ……そうだなぁ……。じゃあ、授業容が変わる度に一度やって見せてもらおうかな。それならば問題はないでしょう」
「うむ、承知した」
そしてブリュンヒルデの方はと言うと……。
教える教師相手に1人1人模擬戦をするのだが……當然張り倒していた。
數カ所に別れ、それぞれが教師を相手にし、大の技量を知るのだが……スタートの合図と共に教師が床ペロした。まあつまり、地面と熱い抱擁だ。
そして、こちらも當然のように免除になりシュテルと合流。
その後、実技は校舎の側で書類仕事をしているシュテルと、傍に控えるヒルデの姿を見るようになる。
そこへ勇者達が駆け寄り、アドバイスを貰って戻るという景がたまに見れる。
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