《現人神の導べ》30 第6番世界

第6番世界……創造神様が6番目に作った世界。

現地の者達は自分達が住む星を『地球』と呼ぶ。

本來あり得ない場所に人の姿が見える。とは言え、誰も気づけないだろう。

人工衛星の更に外……1人の、2人の、1人の青年? がいる。

それぞれ11歳、18歳、25歳ぐらい2人程に見える人の姿をした何かがいる。

そう『なにか』だ。

宇宙服を著ていない『人』がいるはずがないのだから。

まあ、當然シュテル一行である。

ちっこいのがシュテル。18歳ぐらいが元聖ジェシカ。

眷屬男型であるエインヘリヤル隊のリーダーであり、眷屬騎士の総隊長でもあるフリードリヒフリード。

眷屬型であるワルキューレ隊のリーダーであり、眷屬騎士の副隊長でもあるベルへルミナミーナ。

ちなみに眷屬騎士は男5人ずつで10人。ただし、ブリュンヒルデヒルデ、ジェシカ、エブリンの侍組もワルキューレなので、ワルキューレ自は8人になる。

眷屬騎士は元ファーサイスの近衛騎士達が死後、拾われた者達。

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ブリュンヒルデは元ファーサイスの王家付きの戦闘可能な侍

ジェシカとエブリンは聖一行として旅している時、暗殺されそうになったところをシュテルに拾われ、死後眷屬へ。

既に全員400年は過ぎている永い付き合いである。

地球を眼下にポツリと呟く……念話で。

『うわぁ、自然神としては行きたくないなぁ』

『そうなのですか?』

『改めて思ったけど、外敵がいないから発展しまくってるんだよ。つまり土地確保のために自然が犠牲になるわけで』

『ああ、なるほど。我々の世界では考えられませんね』

『魔という外敵がいるし、そもそも世界が広いからな。さて、ここにいても暇だし行くとするか……』

転移先は……日本の空港だろうか。どう見ても4人は外人である。

空港のトイレにでも転移して外へ……が安定だろう。

『おっと、その前にお前達。これがこの世界の金だ。覚えておけ』

紙幣の人は変わっているが、は変わっていない。価も変わっているだろうが……それは置いといて、共通空間収納にれておく。

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『出す時はポケットから出せよ。魔法がない世界だからな。うっかりやるなよ』

『ああ、結構気が抜け無さそうですね……』

『2人は護衛しておけ。周囲警戒、取り押さえる方向な。この世界は面倒だぞ。むしろ妾がぶん毆りそうだが』

『『『我慢してください』』』

『……行くか。空港のトイレに転移させるから、外に出てこい』

目を閉じているのは地味に面倒なのが分かったので、目を偽裝するシュテル。

自然の神眼を偽裝し、両方時空の銀に変え、を出來る限り抑えてから転移した。

男子トイレと子トイレに分かれて……と言うか、フリードだけ男子トイレだ。

シュテルは前にある鏡で一応目を確認してから2人を連れて外に出ようとしてふと思う。シロニャンどうしようと。どう見てもネズミである。

「シロニャン……完全人化しようか」

「ちゅいー(えー)」

「この世界での扱いはよく知っているだろう」

「ぢゅいー……」

唸りながらも完全人化……いつもの龍眼や竜の翼、尾も無い狀態。

服は黒ベースに白と黃が使われたシンプルなワンピースを著ている。

基本的に甘えるならハリネズミ狀態の方が好都合なのだが、6番世界では金のを持ったハリネズミ狀態ではいられないだろう。

渋々人の形になるシロニャンであった。

そして、トイレから出た3人は揃ってびっくりしていた。

「「「な、なんですかこの數は……」」」

「外敵がおらんからな。中々減らんのだよ」

そう言いつつ周囲を観察する。

や服裝的には記憶から大きく変わったは無さそうだ。なくとも驚くような変化はない。

「行くぞ」

いつまでも同じところで観察していても仕方ないので移する。

今探しているのは……。

「ほう、あれか。なになに……2927年7月10日か……」

シュテルが死んだのは大2100年ほど。あれからこちらでは800年と考えればこんなものだろう。

時計は中央広場的なところに時計塔ならぬ、3Dホログラム的な時計が表示されている。中々の発展合だが、800年と考えると微妙な気がするだろうか?

だが、正直停滯などの理由にシュテルは興味ないのでスルーである。

シュテル一行がくと自然と道ができる。

それも當然で、ドレスを著た1人、ワンピースを著た1人、メイド服1人、騎士的な服が2人だ。目立ちすぎる。全員恐ろしく整った顔をしているし。

だが、カメラで撮られる事はない。カメラも発展しているのだ。相手の許可がない限り撮ることはできない。勝手にモザイクがかかるらしい。例外は報道関係者の持っているカメラだけだ。これは所持が許可制になっているようだ。

攜帯は指や腕、ネックレス型などに変わり、前に半明のが表示される。通話も相手の表を見ながら……というのが最早デフォルト。

當然清家など學生達も持っていた。小學生ですら持ってない者の方がない程安く、普及しているらしい。

というのもあれ、健康チェック的な機能も持っているようで、脈を見たり、溫を常時計ったりなどあるようだ。水癥狀とかも警告してくれるらしい。だからこそ、小さい子にはむしろつける。実に便利である。

まあ、勇者一行はとっくに充電切れしてるが。作り方は変わっても、電気式なのは変わらんようだ。

「これからいかがなさいますか?」

「それが特に決めていないのだ。買いもいいな。調味料やお菓子に飲み。後はてきとーに観ぐらいか。正直當分は待機だろうな」

「観ですかー」

「とりあえず都會にでも行くか」

となると電車になるだろう。マップはこの世界に來た瞬間から頭にあるので、迷わず進むことが可能である。

「……子供料金で買うべきなのか?」

「えっと……姿的には?」

「けち臭いと思われてもあれか? まあ、高い分には別によかろう。いちいち分けるのも面倒だし、大人用5枚。なんか言われたら言われただ」

「はい」

見た目的にもメイドさんであるジェシカが切符を買う。

……最初なのでシュテルの指示で。

出てきた切符は々見た目が変わっていたが、使い方としては変わり無い。

食わせて吐き出したのを回収。

駅のホームはかまぼこの様なドーム狀をしており、線路への転落防止対策がされていた。乗り降り用の場所に扉が付いているだけだ。

線路は見慣れた2本のあれ……ではなかった。

電車はすっかりリニアが主流になっているようだ。普通の駅で使用する低速リニアと、新幹線に替わる高速リニアだ。

一応空路も発展しているようだが、正直空は個人飛行できる5人である。リニアの方が珍しい。

『1番線、各駅、東京行きのリニアが―――』

アナウンスの後、かなり靜かに細長めの車両がるようにってくる。

「端に寄れ、降りる者が先だ」

「はい。じゃないと乗れませんものね」

「うむ」

降りる人とれ替わり乗り込む。

再びるように走り出したリニアは非常に靜かで、揺れもほぼ無かった。

「これは凄い。快適です」

「どうやっていているのか、気になりますね」

「この世界は魔法がない変わりに科學、理法則を利用した方法が発展している。リニアの原理は超電導磁石と言われるを利用している。簡単に言えば、専用の道とその道を通るを用意し、それぞれ反発させて地上から浮かし、道で導する」

「左右の揺れを抑える為に、囲んでいるのですか」

「そうだな。用意が大変だが、できればこの通り快適という訳だ」

「我々の世界ではどうです?」

「無理だな。魔に邪魔されて終わりだ。この専用の道しか走れんのだ。線した瞬間大慘事だ」

「なるほど」

窓際に立って外を眺めながら、どの國かも分からぬ言語で會話する4人。

シロニャンは外に興味なく、シュテルに張り付いている。

4人の現在の言語は10番世界の標準語だ。10番世界では言葉はこれしかない。

と言うか、6番世界が々特殊だったりする。マナ無しで星だけ創り、放置してみた世界。それがここだ。つまり、他の世界では言語が共通の世界もある。

まあ、そんな事知り得ない訳で。

現地人からすれば『何語だ……』としかならん。

こいつらは彩と容姿、服裝全てにおいて目立つのだ。

シュテルはシャンパンゴールドの髪に銀の目。

シロニャンはシュテルの髪し薄いで、金の目。

ジェシカはクリームの髪で、淺蔥あさぎいろの目。

フリードは髪も目も銀であり。相方となるミーナはフリードの逆、金である。

シュテルは白ベースのドレスだし、シロニャンは黒ベースのワンピース。

ジェシカはロングスカートのクラシカルメイドドレス。

眷屬騎士2人はぴっちりとのラインが出る……Tシャツと長ズボンか、ワンピースで男別れ、上著はルナ印付きロングコートを羽織っている。裝甲となるマナタイトクォーツは外しているが、白と紺と黒で、細工とルナ印が金だ。

実に目立つが、當然5人は堂々としている。

流れる町並みを見ながら、到著を待った。

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