《現人神の導べ》50 第4番世界 知ってた

ポンポン砲を2人で複數設置した清家と宮武がこっちに走ってくる。

そして騒ぎ出した。

「あれ何あれ!」

「天使? 天使?」

「正確には天使を模倣した《人形魔法》ってところね。見た目も十分似てる」

「ユニエールさんと翼全然違うね……」

「そりゃあ、格が違うもの。形狀がそもそも違うからね」

「天使! ってじがするけど、《人形魔法》に近いのかぁ」

「10番世界の天使と同じだったら、既に悪魔達の方に突っ込んでるでしょうし」

騒だね天使……」

「悪魔絶対殺すマンだからね。まあ、悪魔も天使絶対殺すマンだけど」

10番世界では天使種と悪魔種。神々と天使に関わりはない。系統的には親戚のようなだけれど、神の使いが云々とか言うあれはない。

10番世界では種というだけあって、一応人類にる。住む場所が天界と魔界とそれぞれ孤立しているので會うことはほぼ無いが。

そして、目と鼻の先まで悪魔達はやってきた。

ちなみに今回、囮作戦は使用していない。シュテル達に悪魔が殺到したら々と問題がある。

「フィーナ」

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「うん?」

「どうせすぐ出番やってくるから、しだけ様子見なさい」

「はーい」

フィーナ、エルザ、イザベルはし後ろに待機させる。

危機がなさすぎるというか……弱すぎるのだ、こいつらは。現狀のヤバさを知って貰わないと話にならない。

防衛隊や冒険者達が最前線に立ち、それらのし前にポンポン砲が並ぶ。

勇者3人はし後ろで遠距離攻撃隊に混じり空を見ている。

その後ろ上空に人工天使達が並び命令を待ち待機中。下には召喚した魔導開発組が並び、その辺りにフィーナ、エルザ、イザベルが待機中。

その後ろに支部長などのお偉いさんがいる仮拠點で、シュテルとヒルデがいる。

悪魔の位置を確認した清家と宮武がお互い見て、頷く。

「「セーフティ解除!」」

そのキーワードに反応して今まで無反応だったポンポン砲が一斉にき出し、ほぼ真上へと砲を向け……戦いが始まる。

ポポポポポポポポーンと言う、々気の抜ける音をさせながらもその上空では、悪魔集団の中心辺りで小発を繰り返す。

役目の終えたポンポン砲から姿を消していき、空から傷を負った悪魔達がボトボト落ちてくる。

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ポンポン砲が狙っていない悪魔達の先頭には遠距離攻撃隊の魔法と矢が殺到する。

それらをくぐり抜けた悪魔達が攻撃を開始し、地上にいる人達に襲いかかる。

上から魔法が降り注ぎ、たまに近接攻撃をしてくるのだ。

剣を持ったデーモンウォーリアは斬りかかり、デーモンウィザードは杖を持ち魔法攻撃が中心である。

悪魔は基本的に《飛行》持ちなので全て上から來ることになり、苦戦を強いられている。

當然ただ殺られる訳もなく、人工天使達がき出す。

命令をけた人工天使達は悪魔へと突撃し、とりあえず真上を飛び回る悪魔達のきを制限した。

この天使達、見た目は実に派手だ。

まさに天使! な見た目をしており、なので見た目も相まって神聖な気がする・・・・。

だが、考えてもみてしい。

者は魔導開発組……そう、開発者。つまり研究員だ。

で、この人工天使をシュテルをなんて言ったか? 《人形魔法》に近いだ。

《人形魔法》とは……。

ぬいぐるみでも、ドールでもなんでも良いから素が必要で、その素に加工した魔石を設置し、使役する魔法である。

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高ランクなら所謂自人形オートマタ、ゴーレムと言った存在を作る事が可能な魔法であるが、オートマタ以外はあくまで手・・である。

初級に人形作パペットがあり、上級に自人形オートマタがある。

では人工天使はと言うと、半々だ。

実に単純なAIを持ち半自律行はするが、手推奨な代であると言える。

ではもう一度言おう。

者は研究員だ。戦闘技を持っている方が稀である。

勇者3人からの評価は、速攻で『使えねー! こいつら見掛け倒しだ!?』となる。悪魔に頭上を好き勝手飛び回られないだけマシと思い、戦力として見るのを止めた。実に利口。切り替えが早い。

この防衛戦の指揮は……支部長と魔導開発と防衛隊のお偉いさんだ。

3人が話し合い、それぞれの者に配置を伝えるのだが……殘念なことに一番こういう事に得意そうな支部長の発言権が低いようだ。

冒険者ギルドは國とは獨立しているとは言え、どうしても國の協力は必要である。

どうしても落ちぶれた者達のけ皿とされる冒険者はバカにされるのだ。

支部長はこの配置には大反対だった。だって、今回の敵は空なのだから……。

確かに今回の配置は一般的と言えよう。ただしそれは、あくまで敵が地上ならだ。

何も空飛んでる敵が律儀に一番前にいる剣やら盾持った奴らに行く必要はない。

地上ならどうしても邪魔になるから実に有効な配置だ。が、ほぼ全てが空の今回は無意味どころか悪手と言える。回り込み降りてきた悪魔達から後衛を護る手段がないのだから。

しかも困った事に、魔導開発組は頭上の人工天使達を過信しすぎた。

頭上の天使達は……いや者達は集団戦闘を知らん。

しかも天使はオールラウンダーだ。近接と魔法を使う。ただ魔法を撃つだけの固定砲臺ならまだしも、作するには複雑過ぎるのだ、天使は。

理論上は悪くない。悪くない魔法だ。人工天使を中心とした作戦もまあ、そこまで酷くはない……。

ただ奴らは忘れていた……と言うか、気にも留めてなかった。

理論上は可能だが、自分達がそれをできるかはまた別であり、自分達にその理論通りに功させる事はできないという単純な事から目を逸らし……いや、最初から目にってない。

その場に勇者達がいたら確実に突っ込んだだろう。『これ、者が騎士団じゃなくて、研究者おまえたちの時點でダメじゃね? 軍事行、集団戦闘……できんの? しかも戦闘スタイル魔法剣士』という突っ込みが。

どう足掻いても部屋に引っ込んで研究三昧の奴らには無理である……。

試験はあくまで試験。実戦形式の運用テストではない……。

當然者の研究者達に天使の陣形を指示するのだが……まあ、うんと言った狀態であり、ただでさえ數の多い悪魔達に囲まれ始める。

真上を抑えても橫や後方から囲まれたら後衛を直接叩かれる事になるわけで、前衛の野郎共はあらかた最前線である。

長嶺は自分で考え、遠距離攻撃隊の防衛のため最初から下がっており、個人的な戦果では上々と言える。

清家と宮武もポンポン砲を設置し撃ち落としに専念し、清家はたまに落ちてきた悪魔のとどめを刺しに行っていた。

すぐに悲鳴やら怒聲やらが飛びう戦場となる。

そして當然ただでさえ悪魔の方が多いのに人工天使達がグダグダなので、後ろ……つまり街の方に抜ける悪魔達が出てくる。

「やれやれ……」

ティータイムしていたシュテルが重い腰を上げ、元にある種・を片手剣に変える。

呼吸するように虹を発しては消えるそれは、シュテルの神である。

シュテルの武となるために生まれた植系の武だ。意思に従い長の仕方かたちを変える生。片手剣は勿論、槍や斧、杖に大鎌。何にでもなる。

種を片手剣に変えたシュテルは城壁の上へと転移して、その場で左上から右下へと右手で持っている剣を振るう。

すると街に向かっていた悪魔達が一斉に斜めに斬れ、制を失った亡骸は斜め下へと墜落していった。

「『自分達も護ったという実は必要』だと思ったけれど、それ以前の問題ね。フィーナ、エルザ、イザベル、いていいわよ。このままじゃすぐ全滅するわ」

「はーい」

「「畏まりました」」

シュテルの呆れがふんだんに含まれた聲と共に、3人の戦闘參加許可が出る。

フィーナが弓を、エルザが剣を、イザベルが雙剣を抜き放ちその場から消える。

フィーナは《強化》済みのバックステップにて抜きやすい場所へ。

エルザとイザベルは空中戦なので、《翼生》にて翼を作り《飛行》で戦う。ついでにジャンプした際、上にいた悪魔を叩き切っている。

エルザとイザベルはれっきとした神の眷屬。翼は1対だが、質が全然違い2人の方が大きく、優れている。

フィーナは離れたところにいる悪魔達をエグい太さのの矢で纏めてぶち抜き、悪魔の集団に風を開け、2人は人工天使達を放置して囲んでいる奴らを叩き斬る。

「盾を持つ必要すらありませんね」

「防すら惜しい」

「うーん……こっちの方が早いか……"エクス……プロージョン"」

フィーナの『エクス』ででかい赤い槍が放たれ、『プロージョン』で空中大発をおこし、悪魔のいないポッカリとした空間ができた。

2人は片っ端から近くにいるのを斬り捨てていくだけである。

「うんうん。やっぱ発系は楽だね! "ライト……バースト"」

今度は弓からの槍が放たれ、空中で破裂。今度はが周囲の悪魔達を飲み込む。

シュテルはと言うと相変わらず壁の上……しかも通路ではなく、通路を隠す塀の上で左手を腰に、剣先を下に刺し、髪と羽、スカートを靡かせ堂々としていた。

その橫にはヒルデが控えている。

「流石に3人がくと、回ってこないわね」

「まあ、あの程度では抜けてくるのは無理でしょう……。3人は善戦しているようですね」

「ちゃんと長しているようで何よりね」

そして3人が參戦してから瞬く間に悪魔は殲滅された。

シュテルは一回剣を振り、空間作で同時に叩き切っただけで終わった。

「不完全燃焼もいいとこね……」

自分の剣を見つめながらそう呟くシュテルを『分かっていたでしょう』と片付けるヒルデであった。

フィーナ、エルザ、イザベルがき出してからと言うもの、ランテースの住人はポカンとしていた。

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