《現人神の導べ》60 第4番世界 清家の狀況
「さて、今日のお晝は何にしましょうか……」
「ー」
「これでも食ってなさい」
「こ、これは……」
「ソーセージマルメターノ」
「マルメターノ……」
「いえす。ソーセージマルメターノ」
清家に渡したのはソーセージが渦を巻いて串に突き刺さった。
まあ、ブラートヴルスト・シュネッケンだな。
個人的にはソーセージマルメターノの方が好きだけど。
「あなた達チーズ平気だったわよね?」
「「「うん」」」
「よし、ピザにしよう。はいどん!」
「「「窯!?」」」
ででんと焼き窯が出現。
そう頻繁に使うものでは無いけれど、空間収納にれっぱなしである。
當然出前でも作り置きでもない。神であり帝なシュテルが食べるのはいつもできたてが基本。時間がかかる煮込み料理だって時を作してしまえば無問題。
とは言え、大神殿にいる料理人達が料理研究でだいたい何かしら作っているから、最近は自作をあまりしない。
「魔法世界は便利でいいよねー」
「分かる」
「個人で保有できるエネルギー……魔力最高」
「まあ、それなりに保有魔力が高いのが前提だよね」
「俺らは召喚のおかげか全員それなりに高かったからなー」
《生活魔法》を駆使しながらせっせと料理を進める。
水も出せるし火種も困らない。掃除は"ピュリファイ"で一瞬だ。
フィーナとメグはし離れたところで手をかす練習をしている。
あの手、危険があれば自的にく半自立型だが、基本的には手。中々都合の良い融合の仕方をしたようだ。
フィーナが魔法で的を作り、メグが手で叩く練習。
後はメグ自も魔法を使う。保有魔力もかなりの。融合の産の1つだろう。
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最終的にメグは杖を持ち魔法を撃ちつつ、手で理的な攻撃を加える戦闘スタイルが一番だと思われる。
手を斬っても焼いてもすぐ復活するし、痛覚もない。
よってかなり強いのは間違いないだろう。
メグ攻略法は火力のゴリ押しだ。それしか無い。
まあ、今から戦えるようにしておかないとね。
手振り回すだけでも十分強いと思うが、はた迷だからな。
粘は出しれ自由なので、基本的には使わないでおけばいい。あれは強すぎるから使うのは敵に囲まれた時で、味方がいない場合限定だろう。
ベアテも死毒を持っているが、手みたいに振り回すわけじゃないから、飛び散る事はないし。
「あ、お前達材料これな」
「……だいこん……にんじん……じゃがいも……ごぼう……味噌?」
「「豚だこれー!?」」
「どうせ豚じゃないけどね」
「トカゲ」
「と……トカゲ……」
「竜種にトカゲって言うとキレますよ?」
「……ワイバーンのだから、トカゲモドキ」
「トカゲって聞くとカナヘビが出てくるから食が行方不明に……」
「まあ、作り方は分かるわね?」
「「分からん!」」
「……わかります」
「……宮武の指示に従って作るように」
「「へい」」
神達はピザ作り。
勇者達はスープ作り。
ちゃんと料理道を使う勇者達と、大を魔法で済ませる神達である。
包丁など使わずに風魔法でスパッといき、念力でピザが窯の中に放り込まれる。
「なんど見ても曲蕓な料理風景だけど、あれ真似るとぶち撒けるんだよな」
「かなり高度な《魔力作》前提だからねぇ……」
「しかも1個でも無理なのに複數同時だからね」
食材が複數宙に浮き切られ、生地もこねらればされ、が乗せられ窯行き。
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勿論時も作される。
「あー……味噌がうめぇ……」
「トカゲうめぇ」
「トカゲはやめて」
「メグ、落ち著いて食べなさい」
「おいひい」
「誰も取りはしないから落ち著きなさい」
ヴルカンやシルヴェストルは10番世界に居殘りなので、持ってかれる事も無いだろう。
メグとは対照的にしんみり食べる勇者3人。
味噌は6番世界のを使ったので、3人からすれば食べ慣れた味だろう。
それはシュテルも同様なのだが。
「あー……懐かしい味ね。うん、あの世界の味噌はこんな味だったわね」
「味噌と言っても、結構味が違いますね」
「10番世界の味噌は天然。6番世界は最初から味噌に味をつけ溶かすだけ。その差でしょうね。だから會社によって味が微妙に違うのだけれど」
10番世界だと料理人が味噌を溶かし、それから味を調整する。
6番世界だと基本味噌を溶かせばそれでいい。
10番世界だと料理人毎に味が違い、6番世界だと味噌會社毎に味が違う。
まあそもそも、6番世界には加護自がないので原材料からして味が違うのだが。
「と言うか、やろうとすれば能力で味噌も自作できるわね?」
「味は大丈夫なのですか?」
「《質創造》でやるとあれだけど……自然神の方の力でやれば大丈夫なはず」
「ああ、なるほど。豆からやれば良いのですね」
「まあ……作らないで良いか……」
味噌はファーサイス産だ。野菜と一緒に向こうから持ってきている。
それなのに自作をするとぶっちゃけ面倒だ。
道からし外れたところでピザと豚? を頬張る一行。
近くには窯が置かれているし、正直異常な景である。
でも味しいのを食べられるならそんな事は気にしちゃいない一行であった。
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どうせ食べるなら味しいのが食べたい……と言うのは生なら當たり前だろう。
ご機嫌で食べ終え、窯やらをしまって出発する。
「後どのぐらい?」
「今日中には著くんじゃないかしら」
「おー……おー?」
突然清家が立ち止まり、自分のを見始める。
「何してんだ?」
「いや、なんかケツがムズムズする」
「お、おう……」
まさかの返しに困する長嶺であった。
長嶺や宮武には見えないだろうが、清家の魔力の流れが不自然でおの方に集まっている。
これは、あれだ。別に問題はないな。
「ん、んん? なんかくすぐったい!」
尾の付け辺りを気にする清家だが、しすると……。
ぽこんっ
「お? おぉ……尾増えたああああああ!」
「増えたな……」
「増えたね……」
「え、何。獣人の尾って増えるもんなの?」
「そんなわけ無いでしょう。どんな生だ」
「私どんな生だ?」
「普通に妖狐じゃねぇ?」
「普通……? 妖狐って普通……?」
ファンタジー生な妖狐を、さも當然のように普通と言い切った長嶺に困する宮武である。『まあ? 妖狐は確かに有名だけど……』とぶつぶつ言っているが、放置でいいだろう。
「妖狐って本狐じゃねぇか」
「お前本來狐なんじゃねぇの」
「まじかよ」
「そうね」
「まじか!?」
「冗談よ」
「まじか……」
「楓の語彙が死滅してる」
ノリが良いと言うべきなのか、余裕が無いというべきなのか。
まあ、前者か。
「ふむ……清家、あなた夢を見るでしょう? 自分のではない見覚えのない夢を」
「あ、うん。見る。最近頻度が上がってきて相談しようか思ってた」
「力が馴染んできた証拠ね。が変わった原因であり、力の源。神獣九尾の狐」
「神獣!」
「九尾!」
「やっぱ本狐じゃん!」
「全員バラバラね」
分かりやすく言ってしまえば、神獣九尾の狐の殘り滓が清家にくっつき、それが原因でが変わった。元のでは耐えきれないから再構築、最適化されたのだろう。
変わりに神獣の一片をけたことで、人ではない力を発揮できるようになった。
「まあぶっちゃけると、最終的には下級神に足突っ込むわけね」
「おぉー……神様!」
「言っておくけど、良いことばかりではないわよ? 人をやめる覚悟があるか」
「…………的には?」
「一番実しやすく、ダメージが大きいのは何と言っても圧倒的な壽命の差ね。2人と共に年を取ることはできない。見た目からして違いが出る」
「壽命かぁ……」
「権力者達は不老不死を求めると言う。でも、果たしてそれが幸せか? 恐らく幸せなのは最初だけでしょう。人の神で數千數萬も耐えられるかしら?」
「1人寂しく、時代の流れを見ることになる……と」
「そうね。仲良くなっても100年もすれば相手は確実に死ぬ。と言うか、人というのは自分と違うものを恐れる生きだ。最悪攻撃してくるぞ」
「むむむ……」
「まあ、下級とは言え神は神。軽く薙ぎ払って終わるが、人は更に復讐に燃えるでしょう。自分達から喧嘩売ったにも関わらず。奴らはで生きる生だからね」
「でももう変わっちゃってるよ……?」
「まだ生止めてないわよ。だから、今から考えておきなさい。完全に力が馴染みきったら人には戻れない。私が隔離すれば人のまま生きることは可能よ」
不老不死を求める者達って、結局は『今あるを手放したく無い』からでは?
上手く行っている。最高に楽しく気持ちいい狀態。これを無くしたくない。
ただ人には確実に終わりが來る。
壽命という終わりを避けるには不老不死になるしか無い。
でも『今あるを手放したくない』から不老不死になる場合、すぐに狂う事になるだろう。『手放したくない』が何か知らないが、とていずれ壊れる。
人間関係が絡むなら1人だけ不老不死になってもしょうがなく、相手もそれをむとも限らない。
臨機応変に対応できる人じゃないと、不老不死は向かない。それはもう確実に。
時代は流れるのだから、必要なも時代によって変わる。
『手放したくない、変えたくない』から我が儘を言う不老不死とか、老害でしか無いだろう。とんだ迷だ。しかも死ぬことがないんだぞ? 死ぬのを待つことすらできないとか堪らんだろう。
で生きる不老不死は害しか無い。
長く生きるだけあって知識も技もあるだろう。世界によっては武力すら。
最初の方はまだしも後半碌な事にならないのは間違いない。
仮に本人はマトモだったとしても、そんな人を周囲が、國が放っておくか怪しい。歩く図書館。歩く歴史的資料。重要人には違いないのだから。
「良いことばかりではないと言う事ね」
「ユニエールさんはどうしたの?」
「々やったわね。今も……かしら? まず私は自分で自分の居場所を作った。國というね。そして、圧倒的な武力も示した。そして同時に安全も示した」
「どういうこと……?」
「そうねぇ……。人は自分とは違うものを恐れるでしょう?」
「うん、やたら攻撃的な人がいるね」
「あれって正直臆病で怖がりなのよ。自分の方が強いと知れば勝手に落ち著くでしょう。まあ対象はその間理不盡に攻撃されるのだけれど……」
「傍迷な話だね……」
「本當にね。まあ、まず圧倒的な武力……強さを示す。これでまず手を出しては來ない。自分の方が弱いのが明らかだから。この時點で大遠巻きにされる」
「それって怖がってる狀態だよね?」
「そう。正直こちらからすれば、それはそれで良いんだけどね? でもここで放置すると大その後、連合軍がやってくるのよ。大義名分(笑)や正義(笑)を掲げた胡散臭い、上に命令された哀れな集団がね」
「あー……うん。1人がダメなら大勢で?」
「そうそう。正直安全を示すには『時間』しか無い。歴史が安全だと証明してくれる。我が國は建國から400年。こちらでは約800年不を貫いている」
「戦闘無し?」
「一回攻め込まれたわね。シロニャンが"ドラゴンブレス"で消し飛ばしてるけど。一撃で6萬の軍隊壊滅。後方のその國の城壁が余波で崩壊。神竜つおい」
「うわぁ……」
「余波で若干マーストもやばかったらしいけど……霊達がなんとかしたらしい。戦闘はその一回。こちらから攻め込んだ回數は0回」
「まずその時點で、攻め込むっていう選択肢が無くなるんだね」
「そうね。うちに喧嘩売った時點で詰みだからね。そもそも、會話ができるのだから會話すりゃ良いのよ。正直我が國が他國を狙う理由がないからね」
4大國の中心にある我が國。
我が國を狙うなら4大國どこかを通る必要がある。この時點でまず許可が出ない。
突破しようものならまずその4大國と戦爭だ。
4大國とて我が國を失くすのは惜しいのだ。トップが変われば方向も変わってしまう。現狀かなり良心的な狀態でずっと続いているのだから、そこに余計な変化はまないだろう。
「人間どうしても、不安になる生だからねぇ……。『本當は』『もしかして』『実は』などなど……こればっかりはそう言う生だからしょうがない。でも彼らは知っている。うちからく理由がない事を。『知らない』から恐れるの。人が暗闇を恐れる理由は何があるか分からないから。『知っている』なら冷靜になれる」
「自分達の土地が遙かに優れているのだから、他國に手を出す理由がない?」
「そう。大侵略する理由はしいがあるからでしょう? かな土地が……鉱山が、海が……とか。うちには全部あるからねぇ?」
「ただの人が不老不死になるのと、不老不死の神じゃ全然違うかー」
「そもそも10番世界は神々が実在してて、信仰もあったから。確かに場を整えるのに苦労もしたけど、ある意味楽でもあった。特にちゃんとした一柱になってからはむしろ楽だったわね」
所謂神様研修中な月神の模倣だった時は、一応苦労はした。月の神はぶっちゃけ、魔法知識と武力しか無かったから。
『時空と自然を司る神』の今となってはむしろ地母神と言う意味でも信仰がある。
逆に喧嘩売った場合がヤバすぎるとも言うのだが。正しく詰みだ。
『國』の『土地』が死ぬのだ。雑草も、じゃがいもすら育たん。そして時空神の力により逃げることすら不可能。これによって滅んだ國が西の大國『法國』だ。
『慈と長の神』すら中指立てるレベルだったからな、アクウェス法國。
「慈の神が中指立てるって何したんですかね……」
「神々の警告を無視して霊と神々の名を使い、數百年に渡り私腹をやす。ちなみにアクウェス法國は宗教國家な」
「「「えぇー……」」」
「うん、だから現人神の私がとどめを刺しといた」
「今宗教あるの?」
「あるわよ。心の拠り所と言うか、やっぱ必要みたいでね。1個しか無いからこれと言った名前は無いけど、どうせ作るならと私が立像を作ったわ」
「あ、そうなんだ」
「まず世界を作った創造神様でしょ。それと元々いた3柱。後は私で5つの立像。その周囲に霊達のもわらわら作ったわね。元は神様信仰と霊信仰があったけど、正直分ける意味がないから纏めたの」
「分ける意味がない?」
「霊達は神々の子供達みたいなだから。どちらの信仰もイコールなのよ。まあ、そもそも信仰が必要なのは下級神ぐらいだけど」
「「「え、信仰いらないの!?」」」
「なくとも生死に影響はないわね。世界管理してるのに、たかが人と言う生の一種からの信仰だけで生死が決まるとか堪らんわ」
「「「言われてみると確かに……?」」」
「影響あるのはせいぜい下級神。その中でも付喪神とか辺りね。神獣とかはそもそも獣だし。信仰より飯とマナ」
「「「あー……」」」
「まあでも、清家はまだ幸運でしょう。なくとも我々がいるのだから1人ではない。そのうちこっちに來ればいいのだし、こっちは不老の人材が手にる」
「むむむ……! 考えておこう……」
「丁度同期のメグもいるし」
どちらを選択するかは清家次第。
メグと違ってせっかく選べるのだから、好きな方を選べば良い。
「ふむ……次元の壁も數日中に修復が終わるかな……」
「なにそれ?」
宮武が左手にある何やら不思議な四角いを聞いてくる。
「『世界』のホログラムみたいなよ」
「『世界』の?」
「そう『世界』の。本來私が脳? 能力で認識している『世界』をこうして目でも見てみるのよ。なんとなくだけど」
「後はここの解れを直せば完了」
「じゃあこれが次元の壁で、中でいてるのが太系ってこと?」
「太系とは限らないけど、所謂宇宙ね」
「おぉー……。もうすぐこの世界のお仕事は終わり?」
「んー……急ぎの仕事は終わりだけど、これまだ下準備だから本番はこれからね」
「あ、そうなんだ」
問題は、本番で何がおきるか分からない事だ。
正確には本番の前段階、3世界同時の次元干渉で何がおきるか……だが。
一番面倒なのは3世界同時に自然災害の発生だが……これが可能一番高いのがなんともな……。
10番世界は契約霊達、リュミエール達に指示を出して任せれば良い。
問題は4番世界と6番世界で、特に6番がまずい。
4番世界はもう、自業自得で最悪放置でも良いんだ、うん。
「6番世界に本は必須だな……眷屬達も待機させた方が良いか……?」
「6番世界って俺達の世界だよね? なんかあるの?」
「あるかもしれないし、ないかもしれない。……勇者達を帰して手伝わせるのもありか? なくとも自宅の周囲ぐらいはなんとかなるだろう……うん。まあ、なってみなければ分からんか。保留」
どうせ嫌でもすぐに分かる事になるんだ……。
そして私が飛び回る事になるんだ……。
「人は神に救いを求めるが、神は誰に救いを求めれば良いんだ?」
「えー……自分より上の神?」
「自分より上の……」
助けて! 創造神様!
    ↓
3世界吹き飛ばせば解決するね!
助けて! 創造神様!
    ↓
創造神様が地上に降りる。
    ↓
不定期に創造神様の周囲が消える。
「うん、ダメじゃないかな?」
「えー……」
「できないんじゃなくて、とんでもなく面倒だから手伝いがしいね……。霊達をし呼べばいいのか……? その為にはマナか……それならどうにでも……」
まあ、結局なんとかするしかないか。
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