《現人神の導べ》63 第4番世界 実は所謂チートあり

冒険者ギルドから出て、王都を歩く勇者一行。

街によって特がある……とは言え、そんなかけ離れた見た目をしている方が珍しいと言えるだろう。

一國だけ建築技が突出するなんて事は無いんじゃないだろうか。

々國ごとの環境によって作りが違うだけだろう。

まあつまり、エスカーテとランテースに見た目上の大差はなく、観と言っても魔道や魔裝しか見るのがない。

……となると皆関係ないことを話し出すわけで。

「そう言えば俺ら、よくあるチートらしいチートが無いな」

「全員基礎能力アップという実に堅実的なチートを貰ってるじゃないか」

「いや……まあ、うん」

「オリンピック出てみ? 金メダル余裕だろうよ」

「もっとこう、どうせならオンリーワンがしかったかな……」

「分からなくもないが、ゴミ能力貰うより基礎能力アップの方が良かろうよ。他の同種族より遙かに楽に過ごせるんだ。良いじゃないか」

「お前も狐っ娘にしてやろうか」

「あ、それは結構です」

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「くそう。でも実際、チート的にはどうなの?」

「普通にお前達は上の方じゃないか? 所詮力は使いようだからなぁ。そういう意味では基礎能力アップほど良いものは無いだろう。何するにしても自分のが資本だ。が死ねば人は死ぬ」

チート能力を貰う作品は大強化もセットだ。

そのせいでもうぶっちゃけ『人間』やめてるだろう。

そいつは人の姿をした何かだ。

「例えば相手を見ただけで殺せる魔眼を手にれたとする。正直使い勝手が悪すぎるゴミ能力だと思うが、例えだからよしとしよう」

「オンオフ切り替えできないとむしろ呪いだな……」

強化系はなく、その魔眼だけだと……頭から木から落ちただけで……はい、さよなら」

「私達は?」

「現狀のお前達は……普通の木登り程度なら、寢違えた程度の痛みで済む」

「……地味に痛いな」

「結構痛いよなあれ」

「死ぬのが痛いで済むのだから安いもんだろう」

「口調が戻ってますよ」

「飽きた」

「はぁ……」

どうせ最初から長続きするとは思ってないだろうに。

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勇者達も的には既に人間をやめてると言える。

しかし元々人間以外と戦うために呼ばれているのだから、當然と言えなくもない。

召喚が一方的だったがために、勇者達本人の意思は配慮されていないが。

「人間やめてる実はそんな無いんだけどなー」

「そうだな。本番は実したときだぞ」

「どういうこと?」

「お前達にそんなつもりがないからこそ、実した時に神的ダメージをけるんだよ……化だってな」

「「「…………」」」

「ま、お前達はマシな方だろ。更に上に我々を知っているのだから。我々の所に逃げ込んでくることだって可能だ」

「……よくあるチートって視點変えると地獄? 対等はまずありえない?」

「無理だ。人は心確実に怯える。戯れに殺される相手が橫にいるんだぞ」

「でも作品だと結構仲良かったりするよね」

「ありゃ一種の守り神扱いだろう」

「守り神……あー……なるほど。お禮と言って貢ぎを渡すのか。お供え……」

「そういうことだ。や能力ともかく、中は人間だ。良くお禮をくれる人間は自然と考慮するようになるだろう。記憶に殘るからな。逆にここでけ取らない方が厄介なことになる」

「厄介なこと?」

「相手に『貢ぎ、お供えをあげている』と言う心の安寧が無くなるからだ。つまり不安で押し潰される。人付き合いとは持ちつ持たれつ……與えすぎても、貰いすぎてもダメなのだ。対等ならまだしも、相手はこっちを軽く殺せる能力があるとなると、前提がそもそもり立っていないのだからな」

チート持ち本人からすれば中は人間なのだから、『そんな心配しないでいいよ』と言う言い分だろう。

でも周囲からすればそんな事は関係ないのだ。

『簡単に殺せる』事自が問題なのだから。

人間の考えなんか簡単に変わるし、人間でも簡単に殺すおかしな奴がいる事だって知っている。

流して中を理解されるまでは確実に大変だ。

理解された後も完全に信用、信頼されるかはまた別でもある。

これは力の差があればあるほど広く険しいとなるだろう。

「……むしろ最初から守り神として君臨した方が楽とか?」

「まあ、選択肢の1つではあるわな。問題は、チート能力を貰った者の神と頭だな。神も頭も弱かったら災厄でしか無い。さっさと殺すに限る」

「自分の力を制できない者。筋が通っていない者。どちらも厄介極まりないですからね……。両方だったら目も當てられません」

「チート関係なく、そもそも人の意見でコロコロ変わる者は信用なんてできないからな。自分をしっかり持つことをお勧めするぞ。きが予想できない者ほど怖いものは早々ないからな」

「「「はーい」」」

結局は、チート関係なく……信用、信頼できる人になれるかどうか……だろう。

自分の行に責任を持てない奴や、人に流され言うことがコロコロ変わる奴とか。

人の話を聞かないやつとかな!

話を聞いた上で、理解した上で、ダメならダメで良い。それは問題ない。人には譲れないことがある。そうなったら更に話して妥協點を探せばいいのだ。

最初から話を聞かない、理解もしようとしない奴はダメだ。

その時點ではいさよならだ。

「敵として神様が出てくる作品あるけど、あれユニエールさん的にはどうなの?」

「創作なんか面白ければなんでもいい」

「なるほど。懐が深い」

「そもそも創作ってそんなもんだろう。口出す方がおかしい。明らかに妾と分かるで、バカにしてたりしたら創作関係なく怒るけどな」

「それはまあ……うん」

「現実的に考えると、神vsチート主人公ってどうなの?」

「神の能力と位次第だが……チート主人公の定義は?」

「よくある異世界転生、転移の主人公?」

「ならあくまで人間だな。神の定義を我々とすると……主人公に勝ち目はない」

「主人公の能力は無視!?」

「無視。どんなの持ってようが格が違う。清家はクトゥルフ神話、知ってるか?」

「TRPGのあれ?」

「知ってるんだな。まだ生きてるのか」

「有名だよ。TRPGブーム來てたし」

「一周回ってってやつか……年代的に何周してるか知らんが」

「うん、多分」

「じゃああれで例えると楽だぞ。チート主人公は々がThe Great Old Ones……つまり舊支配者だ。それに比べ神々はそのまま外なる神になる」

「えっと……舊支配者はあくまで星規模。外なる神は宇宙規模……だったっけ」

「そうだな。文字通り規模が違う。チート主人公は人から見れば全能で神に等しい。でも世界という星規模でしか無い。生まれがそもそも人じゃない場合は何とも言えないが、がある限りまず無理」

「そっか、そもそもんな意味でサイズが違いすぎるのか」

「創造神様が魔王アザトースだとすれば、妾は副王ヨグ=ソトースになるな。能力的にドンピシャだ? あの姿なれるけど、見る?」

「いえ、結構です」

「見ても々気持ち悪いと思うぐらいだけどな。そのつもりで神力放てばSAN値飛ぶかもしれないけど……」

「結構です! ……あれ、ショゴスの手……?」

「実は月魔法に"這い寄る混沌ニャルラトテップ"ってのがある」

「ヤバそう」

「対象をじわじわ狂わせてから廃人にする魔法」

「ヤバイ魔法だった」

「殘念なことに使い道がなくてまだ試してない」

「全然殘念じゃない。今後も使わないでください」

全力で拒否られた。

我々神々は本來不定形だから、あれに似せることも勿論可能である。

私のデフォルトが人なのは役目が現人神だからだ。

流石に地上で不定形でうねうねしてる訳にはいくまい。『どう考えても討伐対象です。本當にありがとうございました』になるのが目に見えてるからな。

殺すことは不可能だけど。

「お店を見て思ったけど、いまいちテンションが上がらない」

「どう考えてもユニエールさん達が持ってるやつのせい」

「それな」

今まで話しながら店を回っていたわけだが、テンションが上がらないらしい。

と言うのも當然で、勇者達は私が作った魔道や魔裝を見ているからだ。

店に並んでいるのは全部劣化品になってしまうので、それはしょうがない。

不意に『世界』がガタガタと揺すられ、周囲の建が悲鳴を上げる。

おや……?

影響が出始めた……か。

4番6番の2世界は揺れを知したが、10番世界は揺れていないな……。

となるとまだまだ序の口。本番は10番世界もってからか。

位置的に數日で10番も來そうだな……。

10番世界にいる分で、言葉を理解できる奴らには警告をしておくか。

もう無関係とは言えないからな。

ができることは々ツボとか、食類を割れないように下ろすぐらいだが。

「地震? それとも……」

「妾でもないぞ。壁の修復はちょっと前に終わったからな。だが、遂に影響が出始めたようだ」

「えっと……次元振? 空間振だっけ?」

「次元の壁同士の干渉による空間振。でもまだ2世界だけだ。本番はこれから」

「俺達にできることは無いんだよね?」

「無い……が、後々頼むことがあるかもしれん」

「あ、そうなの?」

「勇者達を6番世界に戻し、そっちの対処を頼む可能がある。現狀はまだこっちだな。いっその事6番世界もピンチになれば、そのタイミングでお前達を返せる。タイミングというのは大事だからな。今は修行中だとでも思っておけ」

「ピンチに駆けつけるヒーローですね。分かります」

「私としてはさっさと帰ってのんびりしたいんだけど」

宮武の言い分も分かるがな、予想では言うほどのんびりできないと思うんだよ。

むしろ今回の事件の本番はこれから……次元が統合される最中からされた後も、しばらく大わらわだろうよ。

特にお前達、魔と戦える勇者達はな……。

ほぼ確実に來る未來、今のうちに自分と家族ぐらいは守れるように、こっちで修行しておいた方が絶対に良い。

自衛隊は役に立たないだろうからな。6番世界の弱點は許可だなんだと行の遅さだよ。魔からしたら知ったこっちゃない。目の前の獲を食うだけだ。

民間人がいるど真ん中で銃撃つわけにもいかんだろうし。

「自分自と、家族と、ご近所さんや友達ぐらいは守れるようになるだろうさ」

「何もできずに殺されてくのを見るよりは……良いかなぁ?」

「進行次第だが……今年中には帰れるんじゃないか」

「……あれ、魔王は?」

「魔王より自分達の世界と家族だろう? と言うか、統合されると世界の法則が変わるから、それと同時に消える。統合寸前復活が一番面倒」

「フラグかな……」

「フラグだな……」

「やめたまえ。予想では割と同時期でどっちになるか分からんのだ」

統合前に魔王が復活すると、そいつは殘る。

だからその場合、ちゃんと討伐してやる必要がある。倒せば次の復活はもう無いので、今回がラストとなるかもう出ないかの2択だ。

是非とも後者でお願いしたい。

私が楽だから。

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