《現人神の導べ》65 第4番世界 すぐに帰さなかった理由

「ふんふん……なるほど……さっぱり分からん、どれが良いんだ?」

現在一番値段と能が一致していると言える店を中。店が大きいのでそれなりの商會と言えるだろう。その中を勇者3人がウロウロしている。

ちゃんと良いのを選べるか……と言うのも必要な事である。よって、答え合わせまで私は口は出さない。

長嶺はまあ……魔裝はさっぱりだろうな。清家と宮武がし始めた。

「ユニエールさんがこの店選んだんだから、良い商品があるはずなんだよねー」

「これは?」

「んー……悪くないかな? キープだね」

「はい、持ってて」

「ういーす」

宮武が手に取ったを長嶺に渡してキープ。

6番世界とは違い、機械で同じものを量産している訳ではない。特に魔裝は手作りであり、作者によっても効率が変わる。他の商品と比べないと話にならない。

何個かコスパが良い盾があったので、この店を選んだのだ。その商品をちゃんと選べるかが今回の買いである。

ヒルデは私のところにいるが、護衛2人は近くの商品を見ている。

「ふぅん……隨分々ながありますね?」

「ですね。うちの國でも見ないのがチラホラと」

「各種屬剣ですか。惹かれますが……」

「我々が使うと自壊しそうですね……」

「素がこれでは魔導技以前の問題ですね」

まあ、お前らが使ったらな。

魔裝の難しいところは魔裝にする魔導技以外にも、魔裝とする素の問題もある。的に言えばこの場合剣そのだ。剣に魔導文字を刻むなりして魔裝にするのだから、素がしょぼかったら結局しょぼくなる。

當然素材そのに魔法適と言うものが存在し、使い手の魔力の影響もある。

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杖などの魔法と同じだ。使用者の魔力に素が耐えられなければ、魔導技以前の問題と言う事だ。

「ミスリルと鉄の合金ですね?」

「ですね。我々が使うには相応しくありません」

ミスリルと鉄の合金はぶっちゃけ微妙だ。コスパは良い……と言えば良いが。

長嶺の剣が純ミスリル製。これはかなり高いがベテラン冒険者は大これだ。純ミスリル製武を持っているかどうかがステータスとも言える。買う時の値段は勿論、維持費も稼げ、扱う腕もある。

魔力を流す事により鋼を超える強度を持つのがミスリル自の特だ。合金にすると魔法適は下がるが本來の強度が上がり、ある程度の魔法適を持ち、純ミスリル製より遙かに安い。つまり、ある程度の冒険者には需要がある剣だ。

當然作り手によって合金の比率が違うので、下手なの選ぶとえらい目に合う。

そしてベテラン中のベテラン……一流冒険者は純ミスリル製の魔裝を使用する。

ミスリル製の時點で武に魔力を通すのが大前提なのだ。ついでに魔裝としても機能して貰った方がお得だろう。その分値段や維持費がかかるが、一流は十分稼げるのだから問題はない。むしろ稼いでいるからこその一流だ。

一般的なランクアップは鋼<合金<合金魔裝<魔銀<魔銀魔裝になる。

好きなパワーファイターとかは更にアダマンタイト製もあり得る。重くてとにかくい魔法適の低い金屬だ。問題はミスリルより希で高い。更にいから加工も人を選び、重いので使い手も選ぶ。だから使い手は好き。

「純ミスリル製なら使えなくもなかったのですが……」

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「それでも全力出せませんけどね」

ルミナイトやマナタイトクォーツじゃないと無理だろうな。

ルミナイトはミスリルの完全上位互換。マナタイトクォーツはアダマンタイトの完全上位互換。

ミスリルを遙かに超える魔法適を持つ月の鉱石……ルミナイト。

アダマンタイトを遙かに超える強度を持ち、非常に軽く見た目が水晶で、これ自がエネルギーを持つ最高の鉱石……それがマナタイトクォーツ。

簡単に言うと、全てのは小さい粒からできている訳だが、その粒の結合にマナが関與しているのがマナタイトクォーツだ。よって、魔力が話にならないエネルギーを鉱石自が所有している。そのおかげで魔力を拒絶する。つまり魔法をけ付けない事にもなるので、武に最高の鉱石だ。見た目は白い水晶

ただ、そのせいで非常に加工が難しい。加工するには《魔導工學》一択だ。アダマンタイトの金槌すら金槌の方が壊れる。

《魔導工學》は魔力で対象を加工するだが、マナタイトクォーツは魔力を拒絶する。どうやって加工するんだって話だが、魔法法則かつ『鉱石』という扱いになっているので頑張れよって事になる。技者の腕の見せ所だ。

ちなみにマナタイトクォーツ製の裝備を他と同じように魔裝化させると、裝備自が自壊する。なぜなら粒の結合にも使用されているエネルギーが、魔裝化した事によってそっちにエネルギーを吸われ、結合が解かれるから。マナタイトクォーツがマナタイトクォーツとしての形を維持できなくなる。

という事で、ここでも一工夫必要になる。

更に武とした場合も、問答無用で持ち主の魔力も拒絶するため、魔力を纏わせることができない。ここでも一工夫必要だ。

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と、かなり癖のある鉱石である。

マナタイトクォーツと違ってルミナイトは実に素直だ。魔法適がとても高いので、《魔導工學》と相が非常に良い。見た目は黒で、魔力を流すと魔力の線が通るサイバーチックで格好いい鉱石でもある。

まあ最大の問題は、4番世界にはどっちも存在しないし、10番世界でもアトランティス帝國にある創造のダンジョンでしか採れない。しかもかなり上でのみ。

ぶっちゃけ人類取り行けなくね? って難易度だ。フィーナが數人いればPT組んで行けるかな? というレベルである。

私含め、眷屬達の裝備はこの2個と、月の結晶ルナクォーツで作られている。

ルナクォーツはムーンストーンを《魔導工學》で加工した。扱いは寶石。

的には眷屬達が持ってる武の核としてルナクォーツが使われている。その周りをマナタイトクォーツで加工だ。

私は所有者の魔力を登録し、それ以外の魔力を拒絶するようにしている。そして當然魔裝なので、自壊しないよう本のエネルギーは使わない。魔力のみだ。

正直こうするしか無いのでなかろうか。純粋にエネルギーとして使うなら魔石の上位互換、マナの塊である魔晶石があるからな。

「ユニエールさんこいつらでどう?」

「75點だな。右端のが違う」

「じゃあこっち」

「そうだ」

「くそう。二択で外すとは」

「まあ、その2つは魔導文字をある程度理解してないと、判斷できないからな。その4つから好きなの選ぶと良い。能に差はほぼ無い」

「どれも高いなー」

「盾をケチると盾ごと貫かれて死ぬぞ」

「あ、はい。発します」

「そうしろ」

実際冒険者で裝備をケチるやつはいない。

が資本な冒険者が大怪我したら、それだけで稼ぐことができなくなる。けないのだから當然だ。そして治療費をがっつり取られ、大怪我した時點で裝備も死んでるだろう。新しいのを買うお金もかかると、正直詰みだ。

『服を買いに行く服がない』と似たような狀況になる。

ミスリルの白い鎧に剣と盾を持った長嶺。黒い幅広帽子に黒いスリットりローブ――正直チャイナ服――の宮武。まさにRPGなじだが、そこに混じる和ロリの狐っ娘……浮きすぎだろ。

「私は悪くねぇ!」

「実際悪くないからなんともな」

服を用意したの私だし、狐っ娘になったのは事故だしな、うん。

裝備の買いを終え、丁度午後のおやつタイムなのでお店に突撃……はせず、宿に帰って庭を占領。そこでのんびりすることに。小さい庭なのでいっぱいいっぱいだが、本格的な食事は怪しいがティータイムぐらいはなんとかなる。

「さて、メンバーチェンジと行くか」

こっちに來るのはディアナとローゼか。6番世界にヴィーラントヴィーとアルベルトアル。後はジェシカとエブリンをれ替えて、ヒルデは4番継続。

それとフィーナとメグは10番に返そう。ジェシカにメグを頼むとして、フィーナはしばらく自由行だな。

エルザとイザベル、フィーナの3人は次元転移で普通に帰すが、メグは別ルートだな。迷い人とかと同じ方法で10番世界へ行ってもらおう。

そうすれば今のメグが新たな種族扱いされるはずだ。そうすれば手だけが暴走したりなんかは無くなるはず。と言うか、悪魔のままだと10番世界でも厄介だから、是非とも別種族扱いされてくれ。悪魔知されたら天使が來る。

「メグ、向こうに行ったらその場で待ってるように。世界のどこに出るか分からないから、迎えに行くわ」

「ん」

「10番世界も気になるなー」

「見に行くか? すぐ帰ってくる事になるけど」

「え、良いの?」

「別に問題はないな」

「移させる事ができないわけじゃないの? だから6番に帰して貰えないのかと思ってたんだけど……」

おや、言ってなかったかな? ……言ってないな。これは勇者全員に説明しておくか。その方が神的に良さそうか。……既に1年経ってるけど。

「勇者達。一旦作業を止め話を聞きたまえ。重要な話がある。と言うか、すまん。あれだけでお前達に察せと言うのは難易度が高いように思う。よって、ちゃんと説明しておこう」

勇者達は転移時、既にがこちらに適応できるよう作り変えられている。その証拠が魔力だ。じゃないと魔法なんて使えるはずがない。

「これが言った事だ。そして、すぐに帰す訳にはいかなかった理由でもある」

本來6番世界にはない魔法。使いこなせない力を持ったまま帰す訳にはいかない。これは神々がどうこう、世界がどうこうではない。

私の個人的な気遣いと、せっかくだから利用させて貰った。

「お前達は既に魔法を使ってて分かっているはずだ。その殺傷力をな」

私ならすぐに6番世界に帰すことは當然できた。伊達に時空を司ってはいない。

問題はすぐに帰った召喚された勇者達だ。

「ふとした拍子に魔力を暴走させてみろ。死ぬぞ? お前達が自するだけならまだ良い。友達、先輩、後輩、先生……はたまた家族。目の前で殺してみろ。自分達すら認識していなかった力でだ。お前達耐えられるか?」

その可能を無くすためにも、ある意味勇者として召喚されたのは好都合だった。ある程度ゲームする奴らなら『勇者』という単語である程度察するだろう。

知らない奴らも唯一知っている同胞……クラスメイト達がそうするなら大追従するはずだ。この狀態で孤立を選択する奴はそうはいまい。

「そこで勇者としての戦闘訓練で力の制を覚えてもらう事にした。ぶっちゃけ4番世界の座學の方が妾からしたらどうでも良かった。この世界に骨埋めるつもりなどあるまい? そもそも埋めさせるつもりも無かったからな」

つまり、魔力や魔法の暴発での事故を防止させるために、すぐ帰すわけにはいかなかったわけだ。流石に不憫だろうし、その可能を分かっていて無責任に帰すのもあれだからな。

「で、もう1つ。利用の話な。これは神々というか、妾にメリットがあり、お前達にはデメリットが……そんな無い。無いとは言わんが、お前達にメリットもある」

的なデメリットは何個かある。

『すぐ帰ることができない』『魔とは言え生を殺す必要がある』『場合によっては盜賊も殺す必要がある』

と言った部分だ。

相手が殺しに來てるのに殺すのを躊躇うのか……とは思うが、6番世界ならまあ躊躇うだろう。こればかりは何回か死にかけない限りそう変わらないんじゃないか?

まあ、実際盜賊がお前達に関わるようなら私が潰しに行ったが。6番世界に帰るなら、一応殺人になる盜賊殺しを経験する必要はないからな。

「それで妾にあるメリットだが、それは今後だ。しかも確定ではないが……今起きている問題の解決にお前達を使おうかと思ってな」

世界統合後……6番世界に魔が出現するようになった場合。

正直その時、私は次元の安定化に掛り切りになる可能が高い。いくら私でも3世界同時だからな。

で、その場合どうなるかと言うとだ。6番世界にり込んだ魔の討伐ができん。あの世界の軍や自衛隊などの武裝集団がすぐくとも思えん。間違いなく結構な被害が出る。

ちなみに私が次元の安定化に行かなかった場合は対消滅だから、行かないという選択肢がない。事が事だけに本で分を用意できるかも謎だ。

更に、魔だけでなく自然災害が発生する場合もあるし、次元振により建が崩れる場合もあり、それにより火災の発生だってあり得る。地下鉄がある場所なら陥沒だってそうだ。

そして各世界は各世界、自分達のところで忙しいに決まっている。この現象は6番世界だけではないのだからな。

「ではお前達勇者はと言うと? 當然そうなるし前に6番世界へ帰す。つまり、自分達の世界を……せめて家族ぐらいは守れる力を今に付けている最中だ。これがすぐ帰らない事によるメリットだ。上から降ってくるコンクリートぐらいどうにでもなるし、魔も大型以外は自分達で倒せる」

自然災害は勇者とかいう人間ではそもそもどうにもならんので、霊達を派遣する予定だ。10番世界はいっぱいるからな、しばらく4番と6番に派遣だ。

大型の魔はうちの眷屬を6番に配置するので、勇者達が足止めしてればそいつらが倒して回る。

こちらの世界に殘ることで力の制と、魔を倒す覚悟を持たせられれば……と言うのが私の思である。

まあ結局は格だから、何人か戦うのが嫌だから生産に走ってるが、それはそれで別に構わんのだ。

「それにそのタイミングで帰せば6番世界でも勇者だね、おめでとう。召喚された時點で目立ちたくないとか無理だから、諦めろ。どうせすぐ帰っても質問攻めだ」

というわけで、すぐに帰さず多面倒でも見守っているわけだ。

「以上、終わり。各自戻っていいぞ。帰すタイミングになったら言うからな」

「つまり……ユニエールさんにも確かにメリットはあるけど、俺らの方が遙かにメリットがあるわけだ。……ある意味安全に戦闘できるわけだしなぁ」

「すぐ帰って家族と會えないのは確かにあれだけど、長くても2年我慢すれば良いんだもんね? その代わりに家族を守る力が手にるならありかなぁ……」

「今までユニエールさんに素直に従っていたのは正解だった……? 神々的には正直何人死のうがどうでも良いはず……」

「そうだな。お前達が一切聞かずに好き勝手するようなら放置か、さっさと帰していたな」

人間達がアリに向けると、私が人に向けるは大差無い。國をアリの巣と例えるぐらいには。しかも人から神になった私が々特殊なだけだ。

神々が人に向けるはむしろ、シロアリレベルには酷い可能があるのだから。

家の柱=世界と言えば分かりやすいか? ぶっちゃけ厄介者である。

世界や自然にダメージを與える確率は、悲しいことに人類がトップレベルだ。

「悲しいことにな」

「「「否定がしづらい……」」」

「そもそも、こいつを殺しすぎるとああで、こいつを採取しすぎるとこうで……とか。そんな深く考えて行する人間はそうはいないだろう。そもそもそのが世界において何をしているかなんか、把握してる訳がないのだから無理だ」

更に厄介な事に、人間は行範囲が広いんだこれが。

結果、世界を管理する……リソース管理的なイメージが近いか。それを見ている神々からしたらハラハラもんだよ。何をしでかすか。

結果的に神託なんかで口を挾むことになる……と。

「実際4番世界は次元の壁ぶっ壊されてるからなぁ。うちの10番世界も龍脈枯らしやがったし。見守ってるつうかもう、監視だよな」

「やんちゃ盛りの子供を常に見てるようなもんか……」

「『子供』ならどれだけ良い事か……親だもんな。お前らアリンコ世界シミュレーターゲームでもやってみ? ダメなところも可く思えたら慈の神の適正あるぞ。まあ、だから大やらかした奴は容赦なく消されるんだけどな……」

「……もういっそ神々が世界統一するとか?」

「それすると創造神様に消されるぞ」

「「「えー……」」」

「正確には、神々も々だからな。意見違いから神々の爭いが発生の世界がボロボロ。創造神様出のオチだ。世界破壊弾ー……からの再構築かな……」

「「「うわぁ……」」」

「あー……今だと妾が出か。仕事中に喧嘩の仲裁で呼ばれるとか、こっちがブチ切れるわ。まあそれは良い。一旦10番世界行くぞ」

「「「はーい」」」

メグをわざと中途半端に転移させた後、10番世界へと転移する。勿論転移先は大神殿中庭。自分達と合流だ。うん、自分達とな。

も6番世界からメンバーを連れてきて、10番世界の分がメグを迎えに。

無事に新種族扱いになっているようだ。

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