《【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄のラポルト16」と呼ばれるまで~》第83話 ハシリューの星④

※無事第1部完結までPC力しました。書き溜めが80話(11/21時點)になってしまったので、投稿頻度上げます。

小會議室では、子と渚による、特別講義が始まっていた。

「ハイ。今日は、青年の健全な関係と、ネットリテラシーについて、特別講義をします」

が教鞭をとる。

「え~~。アタシだけ~? なんで~」

座るコーラは不満顔だ。

「あなただけじゃないわ。コーラさん。この講義はベース・カタフニアの軍用回線を借りて、ハシリューとクズリューにもライブ配信されてます。リモートです」

傍らの渚も強な態度だった。

「じゃ、ソーラ達もか。ざまあ。‥‥でも、アタシらのナニがいけないのよ~」

「うん。そのセリフに全てが集約されてる。大きな被害に遭う前に、是非矯正せねば。紅葉ヶ丘學生。始めてくれ」

インカムから天の聲が。

「今回私がアンケを取ったよ。問題點を出すると、話は3年前にさかのぼる。ハシリュー村で合同お見合いがあった時だ。その時に、絋國から參加した一部の男に、不埒な者が複數名いた。いたずらで、『自分達オトコの歓心がしくば、対価を払うのが常識』と。推察するに、何人かが參加するエアバスの中で話を作り、口裏合わせたんだろう」

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「うん。なかなかに蟲唾の走る話だ。純樸なガンジス子をからかったんだね?」

「それにはアマリア子も參加していた。で、一部が本當に真にけてしまったんだ。『本土ではコレが常識』と。男達は面白がっていただろうね」

「まあ。ムカつくわね。騙されるのもちょっと、だけど、『婚活懸命』な島の子は本土のコトはわからないから。そこをつくのが卑劣よ」

「そうなんだ。民族として存続するために相手が必要な耳村。『お見合い』でもし不首尾だったら、周りにも面目が立たない。で、結果、必死になり、うすうす変だなと思っても、信じてしまう」

「まるで結婚詐欺じゃないか。結婚詐欺は絋國では重罪だぞ?」

「‥‥‥‥ちょっと待って。なに? アタシらが騙されてたってコト? なんかハナシがどんどんそっち方向に‥‥‥‥!?」

「そうよ。コーラさん。おかしいと思わない? プレゼントは、相手の厚意をいただくものよ。それがたとえ男でもでも。なのに、『対価が必要』って、おかしくない?」

「うう。それは‥‥。でも代々、武娘(たけいらつめ)のセンパイから『こうしたら貰えるよ』って語り継がれて」

「コーラさん。その前提が誤りだってハナシだよ? 私のアンケによると、その3年前の參加者の氏名まで判明してる。‥‥公表はしないけど。そこからの誤りなんだ」

インカムからの紅葉ヶ丘の指摘をけて、コーラは涙聲になる。

「うう。ぐすん。だって、耳村、男子いないし。わかんないもん。男の子がプレゼントくれるなら、アタシの事好きってコトだし、みんなに自慢できるし。『こっちもそれくらいやんなきゃ貰えないよ』って」

「紅葉ヶ丘學生。責めるのは無しにしよう。今回は全員が被害者になりうる事案だ」

「ぐすん。あのソーラだって信じてたから、みんな信じた。アタシはアホだけど、ソーラは違う」

「やっぱりソーラさんしっかり者なのね。『キャラ』じゃないじゃない」

「――で、聞きにくいんだけど、今までその、男からの貰いで、『見返り』を払ったコトは?」

は、恐る恐る聞いた。‥‥‥‥コーラの答えは。

「ない。‥‥‥‥アタシもソーラも、暖斗くんが初めて」

「‥‥‥‥‥‥‥‥」

「ふふっ」 「そう。ははは」 「ふっふっふ」

「‥‥‥‥何がおかしいの? え?」

附屬中3人娘の笑い聲を聞いて、泣き顔のコーラが、顔を上げた。

インカムから聲がする。

「それは、単純に、良かったね、という事さ。暖斗くん。あんな安全安心、優良件なら、コーラさんに何かするはずも無し」

「うん。『対価』って言ったら、きょとんとしてた」

「そうだよ。今回の講義は、みんなを心配した暖斗くんの稟議だ」

ここで今さらコーラは、小會議室の隅に置かれた2臺のパッドPCを目にする。

そこには、ソーラ達クズリュー勢と、ハシリュー村の子達が映っていた。コーラはその知った顔ひとりひとりに目を向けた。うつむいたソーラもいた。

「そっか。アタシら、『貢がれる』ってコトに憧れすぎて、道を外してたんだ、ね」

はほっと息をした。

「‥‥‥‥わかってもらえればいいんだ。私達は、互いに手を取り合って、男の卑劣から逃れなければならない。私達も決して人事では無いんだよ」

「そうよ。コーラさん。モニターの向こうのみなさんも。こんな時代だもの。同士、みんなで協力しましょう? 幸せを摑むために」

コーラの顔に、やっと安堵のが浮かんだ。

「でもさあ。アイツ。人が良すぎない? 今回それで助かったクチだけどさ。アイツ優しすぎるんだよ。そのくせ、依先生には煮え切らないし」

「それはあるわね。フェミニストなんだけど、大切な決斷を、人に委ねてしまったり」

「たまにこじらせるし」

「それアンタが言う? 澪? ‥‥でも確かに、『相手の意思を尊重する』って名目で優不斷だったりするね。‥‥‥‥彼の、『絋國を救いたい』って思いは唯一無二のなんだけど。彼は、彼の優しさゆえに、それを他人に強要できないんだ」

*****

「暖斗。早く言えよ。いないなら、俺が全員口説くけどよ?」

僕は、こじらせていた。

僕は、大切な決斷を、人に委ねてしまった。

僕は、『相手の意思を尊重する』って名目で、決斷を先送りにした。

結果、僕の大切な人達を、深く傷つける羽目になっても。

僕は、あの時、ハッキリNOとは、言えなかったんだ。

「‥‥‥‥えっと。別に、あの15人の中に彼とかはいないし。‥‥どうするかはあの子達の自由だし」

「おっ! じゃあ、全員手ェ出してもオッケーな。よしよし。よ~~し!」

「あッ! 暖斗?」

「何?」

「男に二言はね~よな? ヤなんだよ。実は元カノだったとかで後からめんのさ! 彼とかする前に言えよって!」

「それは僕が決める事じゃなくて、あの子達が決める事だし。うん‥‥‥‥。だって、‥‥本當に‥‥本當に、付き合うって話なんかした子とかいないし‥‥‥‥」

「何ぶつぶつ言ってんだ? もう帰ろうぜ。午後から出撃なんだろ?」

「あ、うん」

「いよっしゃあぁ~~。燃えてきたあ!」

ライドヒさんは、高いテンションがさらに上がりしてた。歩きながら両腕を振り回して、やる気がほとばしってた。

僕の出撃は、午後から。し長丁場になるかもしれなかった。

任務に集中しなくちゃいけない。――――でも。

彼の様子を見ながら、一抹の不安がをよぎった。

※「俺もだ俺も。ライドヒさんみたいなのにああ言われると、暖斗みたいに答えちゃうなあ」という そこのアナタ!!

ここまで、この作品を読んでいただき、本當にありがとうございます!!

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