《俺が斬ったの、隣國の王様らしい……》の実力

☆☆☆

俺とレイモンの試験が終了すると同時に、周囲の學生たちは絶句して聲も出せない狀況に陥っていた。依存までの試験容は、公平なものだった。だが、今回は明らかな俺の劣勢……それを覆し、しかも圧倒的に勝利して見せた。加え、俺が何の躊躇いもなく貴族の腕を切り飛ばしたからか……若干、周囲から怯えの様相が見える。

試験だから切り飛ばしたけども……これ、極刑にならないだろうな……と、今更ながら心配になってきた。まあ、平民に負けたなんて自ら風聴するような真似もしないか。

俺は悠々とその場を離れる。レイモンはまだ足腰が言うこと聞かないのか、呆然としていたので放っておいた。と、俺も見學する學生のろうとしたところで直ぐ目の前にフィーラが現れた。

「お疲れ様。まあまあ……かな!」

「おい、なんで上から目線なんだよ……」

「ふっふっふっ……次、私だからアナタよりもすっごい勝ち方してあげるわ。だから、しっかりと見ててね」

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「すごい勝ち方ね……」

フィーラの自信満々な顔を見ていると、なるほどそれほどすごいのかと期待してしまう。まあ、期待するだけならタダだしと、俺は肩を竦めながら返した。

「分かった……。まあ、楽しみにしておく」

「よーし!気合いった!じゃあ、ミナ!行くよー」

「あ、は……はい!」

フィーラはペアのの子を呼び、試験をけるために前へ出て行く。

フィーラ・ケイネス・アグレシオの実力は、ある程度知っているつもりだ。超回復と常人外れののこなし、そして相當な剣の腕前。俺と似たような、至近距離で戦うタイプの魔法使いなのだろう。

それから、ししてフィーラ達の対戦相手も前に出てきて試験が始まる。先手は対戦相手の方……相手は二人とも男子生徒だ。魔法戦において、別が関係あるかないかで言うと……なくもない。前も言ったが、強化の【ブースト】は飽くまでも素の能力を補助するように強化するだけ。つまり、男能力に差がある限りは【ブースト】による恩恵も如実なものとなる。

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それを知っているはずのフィーラだが、態と先手を取らせて男子生徒二人が間合いを詰めてくるのを黙って見ていた。

男子生徒二人はお手本のように、が相手と考えて【ブースト】による力任せな接近戦を挑むようだ。フィーラのパートナーは魔法戦慣れしていないのか、し混気味……。

と、フィーラと対戦相手の一人がついに衝突した。フィーラは『創造魔法』で刀を創造し、相手は剣を創造して互いにそれをえ、睨み合っていた。

もう一人は、その鍔迫り合いの間に混するフィーラのパートナー……ミーナという生徒目掛けて駆ける。これは……早々に決著がつくかと思われた矢先。

「ぐぅ……!?」

ミーナへと向かっていた男子生徒が悶絶し、倒れた。見ると、その男子生徒の腹部には何の変哲もない剣が突き刺さっていた。最初、ミーナがやったのかと思ったが……違う。そんな素振りは見えなかった。

ならばと……視線をフィーラへ向ける。フィーラは勝気微笑んでいた。となると、フィーラが彼を串刺しにしたというらことだが……一、鍔迫り合いしている最中にどうやってやったのかという疑問が生まれる。

フィーラはそんな疑問に答えるかの如く鍔迫り合いで男・を押し負かし、その場から飛び退いて距離を取った。

「すっごい勝ち方するって言ったでしょ。だから……」

フィーラは言葉を綴りながら、魔法を行使する。それは、『創造魔法』『付與魔法』『無効魔法』……見て取れるだけでこれらの魔法を3つ・・同時に使用していた。

それからはもはや彼の獨壇場……あぁ、なるほどそうかと俺は眉を顰めた。これこそが彼のすごい勝ち方……彼の本気なのだ。

フィーラの背後には數十に及ぶ剣が控え、重力に逆らい宙で完全に停止している。切っ先は真っ直ぐ相手方に向けられており、それを一ける彼が今どんな気持ちなのかは手に取るように分かる……。

「それじゃあ……男らしく、華々しく、散って」

「いっ!?こ、降參だ!降參するからぁぁぁ!!」

勝負有り……圧倒的なフィーラの力に、講師も聲を上らせながらも何とか聲を絞り出し、自らの責務を果たす。フィーラは全くけないとでも言いたげに肩を竦めつつ……己が顕現させた剣達をかき消した。

もはや、ここまで來れば疑いようもない。今彼は、たしかに3つの魔法を同時に使っていた。つまりそれは、彼が上級魔法使いであるということを示していた。

あのアマ……それを俺に見せつけるためにこれだけ派手なことをしたのだ。あの時はまだ、自分は全力じゃない。次に合間見える時は、全力で戦ってやる……フィーラの月のを浴びたような瞳がそう語っていた。

フィーラは試験を終えて直ぐに俺の下まで泰然と歩き、勝気な表で俺に言った。

「ふっ……どう?」

「まあまあ」

「えー……」

フィーラは釈然としない様子で、肩を落としている。だが、肩を落としたいのは俺だ。すごい勝ち方というから、多なりとも期待していたのだが……あれは派手なだけですごいとは言い難い。単に、自分が上級であると知らしめるための力技に過ぎない。

「はっ。腕磨いて出直してくるんだな」

「む……たしかに、剣はリューズくんの方が格上かもしれないけど……魔法戦はそれだけじゃないもの。次は絶対に勝つ!」

「はいはい」

「――――ッ!?ぜったい馬鹿にしてるでしょ!?」

「まあ」

「…………」

フィーラは悔しそうに顔を歪め、恨みがましそうに俺を見る。さて、中間試験の結果はどうだったかなと俺は既に思考を置き換え……目の前のフィーラのことは無視した。面倒だし。

☆☆☆

中間試験発表は學年別に學院の廊下で発表される仕組みとなっている。

今年度のフェルディナン王國王立魔法學院二年の中間試験……結果は、まず一位の欄にリューズ・ディアーの名前が記載されていた。筆記試験満點、実技試験満點である。あの実技講師……あそこまで徹底的にやっても俺に覆されたからか、潔く満點評価をくれた。案外、っからの嫌な奴ではないのかもしれないが……今回の件、俺は絶対に忘れない。

ふと、視線を下に向ければ俺の次の欄には……同立一位としてフィーラ・ケイネス・アグレシオの名前があった。勿論、筆記試験満點の実技試験満點である。口だけじゃあないってわけだ。

「ふっ……今回は引き分けみたいね。でも、次はそうはいかないからね!」

「はいはい」

「もう!張り合いないなぁ……」

ぷくっと頬を膨らませてぶりっ子しても無駄だ。多なりとも能力は高いようだが……どうせ、もう一度戦っても俺が勝つ。こんなところで負けているようじゃ、到底魔法使いなんて夢のまた夢だ。俺が……平民だから。

そうして、二人であーだこーだと言い合っていると……やはり、毎度の如くもう一人そこに割ってってきた。萬年二位のシンセスティア・ローズ・キャメロット伯爵令嬢だ。

金魚の糞をくっつけて、相変わらずの大所帯で、中間発表を見て愕然とする。そして、俺の方を見ると……キッと睨みつけてきた。

「ふ……ふふふふふ、どうやら今回はド平民に負けてしまったようね……この一瞬の勝利に酔い癡れているといいわ!そして、フィーラ王!あなた様も調子に乗らないことね!最後にわ、笑うのは……このわたくしよ!」

そう涙目で言い放つシンセスティアに、俺とフィーラは一度顔を合わせ……そして肩を竦めた。

「うわぁ……面倒臭いね。でも、面白いからいいよ。いつでも掛かってきてね。私、シンセスティアさんみたいな人、好きだよ」

「同族だもんな……」

どこか繋がりをじたのか、二人はがっしりと握手していた。

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