《俺が斬ったの、隣國の王様らしい……》自らの矜持

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七つの大罪というのが人間にはあり、それぞれ……【憤怒】、【怠惰】、【強】、【】、【暴食】、【傲慢】、【嫉妬】というのが通説だ。その他に七つの大罪に統合されたりしたものなど……々な説があるが、世俗で言われる七つの大罪はこういうものである。

では、その逆……七つの大罪と逆に位置するものは何なのだろうか。これはもう人それぞれ捉え方が違う問題だろう……大罪の逆、すなわち人としてこうあるべき姿、こうありたいと願う姿こそがそれなのだ。

その、俺が思うに【努力】とは最も尊く、最もされる人のしい姿だと思っている。【努力】は萬人に等しく與えられた権利であり、萬人は等しく【努力】を行使する権利を持つ。

それを怠ることこそが大罪の【怠惰】に當たる愚鈍な行為だと、俺は思う……。

愚かにして、稽な行為というのは【努力】を怠る者に相応しい言葉だ。

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4回戦へと進出した選手達が一同にアリーナへと集まり、アリーナの壁面に設けられた巨大ルーレットに目を向けていた。

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ルーレットには選手の名前がそれぞれ書かれており、ルーレットを回して針が止まった選手と選手がランダムに4回戦を行うという……。

『では!ルーレットスタートォッ!!』

司會兼実況の合図と共にルーレットが回される。クルクルと回るルーレットが止まる間に、俺の隣でぽけっとルーレットを見ていたフィーラは俺の袖を引っ張り、聲を掛けてきた。

「なんだ?」

俺はルーレットを見ながらフィーラに応対する。と、イラッとしたのかフィーラが俺の頬を抓り、引っ張りながら無理やり顔を向けさせられた。

グイッと首を回してフィーラの方を向くと、俺よりも幾分か低い長のため……俺の顔を下から覗き込むように見ていたフィーラと目が合った。

「適當に返さないでよー」

「ルーレットの方が大事だからな。で、なに?」

「酷いっ」

フィーラは態とらしく傷ついたような演技をし……スッと瞳を細めると俺から視線を外してリヒュアにチラッと目を向けた。

楽しそうに他の代表選手と談笑するリヒュアを殺すような勢いで睨みつけるフィーラに……俺はため息を吐いた。

「隨分とご立腹だな」

「…………當たり前!私のお友達を傷付けた落とし前はつけて貰うから」

はて?フィーラとシンセスティアはいつのまにそこまで仲良くなっていたのだろうか。初耳である。別に興味もないけど……。

フンスーと鼻から蒸気を出すかの如きフィーラは、プンプンと腰に手を當てて、大層ご立腹なご様子。何とか勝ち上がってきたような選手は、怒れるフィーラを見て怯えてしまっている。

俺的にまあ頑張ってくれというじで、再びルーレットへと目を向ける。すると、良いタイミングでルーレットの針が止まり……その後のルーレットの結果、4回戦第一試合はリューズVSリヒュアとなった。

また、第一試合からなのか……と、何となく思った。ふと、リヒュアから視線をじてそちらへ目を向けると……リヒュアがニヤリと笑った。

…………。

『ではでは、まだまたルーレットは続けますよぉ〜!あ、ルーレットが終わったら直ぐに第一試合を行いますので、選手は準備をお願いしますね〜』

と、実況に促されて俺はアリーナの舞臺から降りた。

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控え室で準備をしていた俺は、リヒュアのあの笑みを思い浮かべて……シンセスティアの時のように何か仕掛けてくる気配をじていた。

あの手の輩は一度味を締めれば同じことをする。まるで正しいことをしていると思い込んだ子供の如く、愚かなほどに真っ直ぐと、やってくる。

そして、それは案の定起こるものであった。ガチャガチャと控え室に數十人もの屈強な男どもがってきたのだ。ここらは関係者以外立ち止なわけだが……リヒュアはあれで侯爵令嬢だ。大會運営も敵というのは本當みたいだ。

「…………リューズ・ディアーだな?」

「だつたらどうする」

悪漢どもは俺を狹い部屋の中で囲みながら、代表の男が俺が本人かどうか確認する。割と慎重なのか、腰抜けなのか……それとも馬鹿か。

何にせよ、こういう輩は嫌になる。群るのは良い。人間は社會を形し、効率的に生きる生きだ。本能的に至って普通だ。

しかし、あのの差し金でこんな下らないことに集団で向かうなど言語道斷。度し難いにも程がある。これを許していい道理はない……。

集団は時に努力する「一」を巻き込み、墮落させる。周りに合わせさせ、出る杭を打つ……そんなようなものだ。下らない集団意識、心理で努力する者の権利を奪う不當な行い……許せるはずもない。

悪漢どもは臆することもなく俺にジリジリと迫る。こうやってシンセスティアにも同じことを、リヒュアは行ったのだろう。それでシンセスティアは疲労したのだ。

不正されてもシンセスティアはそれを進言できなかった。それが階級社會のルール……伯爵の彼が侯爵の不正を訴えても通らない。正しさを示すことが出來ない。

どこまでも腐っている。

そして……悪漢の一人の手が俺の肩にれる寸前、ダンっと控え室の扉が開け放たれる。誰だと思い、見てみると……扉を開け放ってそこに立っていたのは驚いたことにシンセスティアだった。

なんで……あいつがここにいる?

悪漢達は突然の來訪者に肩を震わせ、シンセスティアの顔を見るなり驚愕していた。自分たちが貶めたがいるのだから無理もない。

「な、なんでお前が……」

悪漢の一人の呟きにシンセスティアが反応する。

「無論、貴方達がこうすることを見越してに決まっているじゃない!」

ドシドシと俺に向かって歩いてきたシンセスティアは、狀況に追いつけていない悪漢達を押し退けて……俺に向かって指を指し、いつもの高飛車な態度で口を開いた。

「別にこれはド平民のためじゃないわよ!これは、わたくしの矜持よ……わたくしのために、わたくしはここに來たのよ!覚えておきなさい!」

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