《俺が斬ったの、隣國の王様らしい……》勘違いしないで!
『勘違いしないでよね!別にあんたのために來たわけじゃないんだからね!』
と、俺は俗に言うツンデレ屬という単語が脳裏を過った。今のシンセスティアの発言の中には、どこかそれに類似する言葉があったように思う。
高飛車でお嬢様で?績も優秀で努力家……その上ツンデレを付け加えてこのはどこに向かうつもりなのだろうと、シンセスティアに迫られながら俺は呑気にそんならことを考えてしまう。
「んで、結局に何をしにきたんだ……いや、デスカー?」
おっと、そういえばシンセスティアは貴族だった。また敬語を使えと怒鳴られるので、俺は思い出したようにら取って付けた敬語に言い直す。すると、どうしたことか……シンセスティアはこめかみにプチっと青筋を立てた。
「その適當な敬語は何なのよ!これだからド平民は……」
シンセスティアはブツブツと俺を貶しているが、ちょっと何を言ってるのか分からない。
「お、おい!俺たちを無視すんなよ!」
と、悪漢達が再起を終えたようで再び突っかかってくるのだがそんな雰囲気でもあるまい。シンセスティアは面倒そうに舌打ちすると、魔法で悪漢達のきを止めた。
『無効魔法』〈解除〉【キャンセル・グラビティ】と『創造魔法』〈環境〉【クリエイト・フィールド】の合わせ技により、一定効果範囲の者の重力を任意で解除することで悪漢達が宙にポワポワと浮かび上がった。
「ほら……行きなさいよ」
「…………」
そう言われても……シンセスティアの行に得心がいかない。自分のためだと言っていたが、明らかに俺の手助けをしている。これがどうやったら、シンセスティアのためになるのだろうか?
俺がそんな怪訝な視線を向けていたからだろう……シンセスティアは恥ずかしそうに頬を褒めながらも仕方なく答えた。
「…………ド平民の対戦相手、リヒュア様でしょ?だからよ。ド平民が勝てば、わたくしはそれで満足だもの。それで影で言ってやるのよ!『ズルしても負けるなんでザマァ』ってね!」
おい、それはお嬢様的に言葉遣いが如何なものかと……問題になるだろそれぇ……。しかし、開き直ったシンセスティアはそれはもう自信満々だった。
つまり、俺にリヒュアを倒してしい……勝ってしいということなのだろう。これはシンセスティアのプライド的にはかなり傷つく行為なのだろうが、それでも彼は犬猿の仲である俺に手を貸してくれている。
優しい奴だな……普段はあれだけれども……。
「何か失禮なことを考えてなかったかしら?」
「いや全然、そんなことはない」
エスパーか、こいつは。
しかし、クスリと笑ってしまう自分はどうにも出來ず……シンセスティアはカァッと顔を真っ赤にした。
「ち、違うから!か、勘違いしないでっ……わたくしは、本當の本當に自分のためにド平民を助けるのよ。ほら、ここはわたくしにお任せなさいな」
「俺がこの程度の連中にどうにかされると?」
シンセスティアに挑発の意味も込めた言葉を返すと、案の定悪漢どもが周りで騒ぎ立つが……が、そんなことはどうでもいい。
ヒョイっと悪漢の一人が頭にを登らせて俺の肩に手を掛けてくる。俺はその手を握り、握力で潰しにかかる。
「いででででっ!?」
「このまま握りつぶしたらどうだろう」
「や、やめっ……」
俺がギギッと男の手を握り……本気で握りつぶそうとする俺を見たシンセスティアが、やれやれと呆れた様子で止めにる。
「別にド平民がどうにかなるとか……そういう話じゃないのよ。こいつらを懲らしめれば……わたくしの溜飲も下がるというものよ」
あぁ……そういうこと。
行い自は報復であり、復讐であり、やられたらやり返すという何とも子供じみた行為だ。俗に愚かな行いと呼ばれるような代だが、俺は存外……その考え方自は嫌いじゃなかったりする。
「……分かった」
俺は男の手を離した。
男は半分潰れた手を抑え、蹲る。揺する悪漢達は俺を避け、俺は泰然と控え室を出て行った。その際にチラッと振り返ると、喧嘩腰で男の中心にいるシンセスティアがバキゴキと拳を鳴らしながらこんなことを言っていた。
「あの時は試合前で出來るだけ消耗を抑えながらだっから……ふふふ、さぁて本気で徹底的にぶっ潰して差し上げてよ!おーほっほっほっ!げほっ!?」
いつもの調子で、俺は苦笑しつつ……4回戦の舞臺へと足を向かわせた。
【本編完結済】 拝啓勇者様。幼女に転生したので、もう國には戻れません! ~伝説の魔女は二度目の人生でも最強でした~ 【書籍発売中&コミカライズ企畫進行中】
【本編完結済】 2022年4月5日 ぶんか社BKブックスより書籍第1巻が発売になりました。続けて第2巻も9月5日に発売予定です。 また、コミカライズ企畫も進行中。 これもひとえに皆様の応援のおかげです。本當にありがとうございました。 低身長金髪ロリ魔女が暴れまくる成り上がりの物語。 元チート級魔女の生き殘りを賭けた戦いの記録。 212歳の最強魔女アニエスは、魔王討伐の最終決戦で深手を負って死にかける。 仲間を逃がすために自ら犠牲になったアニエスは転生魔法によって生き返りを図るが、なぜか転生先は三歳の幼女だった!? これまで魔法と王國のためだけに己の人生を捧げて來た、元最強魔女が歩む第二の人生とは。 見た目は幼女、中身は212歳。 ロリババアな魔女をめぐる様々な出來事と策略、陰謀、そして周囲の人間たちの思惑を描いていきます。 第一部「幼女期編」完結しました。 150話までお付き合いいただき、ありがとうございました。 第二部「少女期編」始まりました。 低身長童顔ロリ細身巨乳金髪ドリル縦ロールにクラスチェンジした、老害リタの橫暴ぶりを引き続きお楽しみください。 2021年9月28日 特集ページ「今日の一冊」に掲載されました。 書籍化&コミカライズ決まりました。 これもひとえに皆様の応援のおかげです。ありがとうございました。 2022年2月17日 書籍化に伴いまして、タイトルを変更しました。 舊タイトルは「ロリババアと愉快な仲間たち ――転生したら幼女だった!? 老害ロリ魔女無雙で生き殘る!! ぬぉー!!」です。 2022年2月23日 本編完結しました。 長らくのお付き合いに感謝いたします。ありがとうございました。 900萬PVありがとうございました。こうして書き続けられるのも、読者の皆様のおかげです。 この作品は「カクヨム」「ハーメルン」にも投稿しています。 ※本作品は「黒井ちくわ」の著作物であり、無斷転載、複製、改変等は禁止します。
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