《職業通りの世界》第2話 當然といえば當然の職業
「陸人!陸人!」
俺は揺さぶられ、意識を取り戻す。定まった視界には、心配そうに見つめるお嬢様が映った。
「遅くなって申し訳ありません」
俺はやけに乾燥している目を瞬きで何とか潤わせながら起き上がり、目が潤ってからお嬢様の前で跪く。
「…もう、そんな畏まらないでよ」
お嬢様のし弾んだ聲に、俺は「そうですね」とだけ返して立ち上がり、周りを見渡す。
お嬢様の周りには俺らと一緒に転移した6人の生徒が居て、俺たちを取り逃がさないように円の形になって囲っている騎士たちが多く居る。ざっと數えて30人は軽く居るな。
ここは大部屋なのか、石レンガで出來た壁が見える。
そして、そんな騎士たちの円の側に居て、期待した目で俺たちを見ているのは一人のと言うか悩むの子だ。
金に輝く髪を地面スレスレまでばし、高価なドレスを著ているエメラルドの目をした顔のの子。見た目だけでは完全に中學校にって間もない辺りなのだが、あのキチッとした立ち方からして、しっかりしている子には違いない。
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旦那様が主催のホームパーティーで來た婦人たちの立ち方みたいだ。
そして、俺と一緒に來た生徒たちはお嬢様と俺を除いて意識が無いようで、寢ているかのように倒れている。
やって來た生徒たちを順番に見ていくと、まず巧とくるみ、そして悠が居た。どうやら、俺たちはみんな來てしまったらしい。
殘りの3人はクラスの上位にいるやつばかりだ。
まず、クラスの人気者でいつもやんちゃな事ばかりしているヤンキー気質な梶木龍太りゅうた。
そして、クラスでお嬢様と同じくらい男子から人気のある間宮加奈かな。お嬢様がお人形のような可さなら、間宮はモデルのようなじだ。現に長も170cmもあるしな。
最後は誰にでも優しい、爽やか系のイケメンである青山翔太しょうた。
そんなクラスの上位者たちと巧たちが起き始め、何やら騎士たちがざわめきだす。
「おい、大丈夫なのか?いくら子供とはいえ、勇者様たち何だろ?今のうちに上下関係を明確にしといた方が良いんじゃないか?」
「馬鹿かお前!?勇者様たちに危害なんて加えて良い訳ねぇだろ!?これから魔王を倒してもらうんだからな!!」
「そうだ!これから強くなってもらうんだからな!!」
「先代の勇者様はあとしというところで負けてしまったしな」
「今回はそうならないようにしなくてはな」
……何となく狀況を把握出來た。つまり、こいつらが手に負えない魔王というテンプレなボスを倒してもらう為に俺たちを呼んだという事か。けない奴らだな。
そんな危険な事をさせる為にお嬢様と俺を引き離そうとするなんて、こいつらが鎧を著てなかったら、上著のポケットに忍ばせているカッターで脈を掻き切っていたかもしれない。
「…おい、どこだよここ?」「え、何この人たち?」「何のイベント?」
起きたクラスメイトは、分かりやすく揺し出した。そして、巧とくるみ、悠はいつの間にかお嬢様と俺の側に來て警戒心剝き出しで騎士たちを見ている。
これが普通の判斷なんだろう。俺は紅葉さんが呼んで來た凄腕のSPやら格闘家にしごかれた経験があるので、そんな暇があったら相手のきを伺うのが普通になっている。
「すみません、いきなりこんな世界に呼んでしまって…」
警戒しまくっているお嬢様たちと戸っている3人の近くにの子が來た。申し訳無さそうな顔になっているの子を見て、分かりやすく表を変えた梶木と巧。
巧には後で蹴りでもいれてやろうと思いつつ、俺はし前に出て右手を左に當てて軽くお辭儀をした。恐らくの子はそれなりに分の高い地位だと思うので、こういった作法はしっかりとしておかねば。
「このお辭儀であっているかは存じあげませんが、これが私の國でのお辭儀なのでご容赦ください。大変恐なのですが、私どもを呼んだ理由やこの世界の事をお教えくださりませんか?」
「あっ!そんな畏まらないでください!むしろ、私があなた方に頭を下げないといけないのに……!」
の子は焦りに焦って、「すみません!」と大きな聲で言ったのと同時に頭を勢いよく下げてしまった。
これでは俺が頭を下げさせたみたいじゃないか。俺はの子と目線の高さを同じにするために膝をついて、の子の肩を摑んで顔を上げさせる。
「頭をお上げください。それなりに理由があるんですよね?それをご説明頂けますか?」
「はい……」
の子は申し訳無さそうに話し始めた。
まず、の子はティアナといい、この國のお姫様らしい。第一王と言うべきか。
そして、俺たちを呼んだ理由は騎士たちの話から聞こえていたとおり、ずっと昔からいる魔王の討伐らしい。
……うん、まあテンプレ的な展開だな。でも、お嬢様の危険が脅かされている事には変わりない。ここは慎重にいかなくてはな。
「何となく理解しました。けれど、私たちには超人的な力は備わっていないと思うのですが?」
「その點は問題ありません。何せ、あなた方は神ミスラ様によって召喚された勇者様なのですから!」
お姫様はを張って自慢げに言った。無いを張って。
「勇者様たちの職業やスキルは今から行う"職業判定"で分かりますので、そこで分かりますよ」
お姫様は背後に目をやると、それを見た騎士たちが砂時計をちょうど半分にした時の上部分のようなものがあり、それの下に黃の何かのがっている小さなコップがある裝置を持ってきた。
「今から勇者様たちのをここにれてもらって、下のにれてもらい、そので職業を調べさせてもらいます。その後、を飲まれたら、いつでもご自で職業はもちろん、スキルも確認出來るので、飲まれる事をお勧めします」
「では、どうぞ」とお姫様はその裝置の側に小さなナイフを置いた。つまり、これで腕なり手を切れということだな。
「は?そんな事わざわざやる訳ねぇだろ。第一、で本當に分かるとは思えねぇし…」
梶木たちはナイフで自分を切るという事に抵抗があるみたいだ。もちろん、お嬢様たちも。なので、俺が初めに切る事にした。
ーブシュ
「あ、し切りすぎたか?」
俺は手首辺りにナイフをれた。脈を外したつもりだったんだが、し勢いのあるが出た。
が出すぎ無いように傷口を抑えながら、砂時計のようなものにを流しれる。
は流れて黃のに數滴落ちた。すると、みるみるのが変わっていき、最終的には黒になった。
「えぇと、これは戦闘職ではありませんね。これは…………え?執事?」
お姫様は、騎士からけ取ったの一覧が載っているっぽい古そうな本と俺を何度も見比べている。どうやら信じられないらしい。勇者様たちに執事が混ざっているのが。
「あ、あの対応はもしかして職業が執事だからか!?」
巧が俺を指差して納得したような顔をしている。悪いが、これは前からだよ。
「そうかもな。なんか自然とそういった言葉とか立ち振る舞いが出ちゃってな」
前から執事だったのがバレたく無かったので、適當に巧に乗っておいた。……まあ、戦闘職じゃなかったのは殘念だが、執事でも頑張ればお嬢様を守れるくらいにはなるだろう。
「次はお前たちだぞ」
俺は黒く濁ったを飲み干した後、梶木たちに俺のが付いたナイフを投げた。
「……お、おう。やってやる…!!」
梶木はなんか俺に対抗心を燃やしたのか、震えながらも自分の手にナイフをれた………。
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