《職業通りの世界》第4話 執事のスキル
「……ねぇ、朱音と陸人くんってどんな関係?」
を洗った後、お風呂に3人で浸かっていると、普段はほとんど話さない加奈ちゃんの言葉に力を抜き切っていたに力がる。
「何でそんな事を聞くの?」
「え、だって一緒に住んでて、ここに來て執事とお嬢様という関係になっちゃったんでしょ?家族か執事、どっちの関係になったのかなぁって」
加奈ちゃんは小悪魔っぽくニヤつきながら聞いてくる。けど、前からそんな関係とは言えないので、
「私は家族と思っているけど、陸人がどう思っているかは分からないな~」
私は家族という関係に逃げる事にした。私の回答を聞いた加奈ちゃんは「そうか~」といって、後ろを向いちゃった。笑いでも堪えているとしたら怒るけど、肩が震えて無いから違うかな?
「ねぇ、朱音ちゃん」
眼鏡を外して可くなったくるみちゃんがし緒話っぽく小聲で言ってきたので、私たちはし加奈ちゃんから離れて小聲で話す。
「何かな?」
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「私、見てたんだけど、ここに來る前に朱音ちゃんと陸人くんが何か家族とは思えない事をしてたようなーー」
「なぁ~に話してるのっ」
くるみちゃんが言い終える前に、くるみちゃんに加奈ちゃんが抱きついた。人見知りのくるみちゃんはテンパり始め、口をパクパクさせている。
……くるみちゃんには悪いけど、加奈ちゃんが來てくれなかったら危なかったかも。今度、陸人と口裏合わせを……あ、そういえばスキルに何かそういうスキルがあったような。
スキルオープン。
私が心の中でそう唱えると、視界の左端にスキルの一覧が表示された。
スキル一覧
・魔法適正 ー魔法が上達しやすくなる
・意思疎通 ー特定の人と離れていても會話が出來る(現在:陸人)
・命令権 ー特定の人に強制的に指示した行を実行させる(現在:陸人)
・魔道適正 ー初めて使う魔道でもある程度扱える
・勇者 ー能力や魔力の基礎値が高くなる
スキルの半分が職業お嬢様としてのスキルだけど、その中の意思疎通を使えば、今すぐにでも會話が出來る。
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スキル、意思疎通を使用します。
心の中で念じると、一回ピコンという電子音のような音が聞こえた後に、陸人の聲が聞こえた。
『何かご用ですか?』
いや、用というより話し合い事があるんだけど。
急に話しかけたのに一切じない陸人は流石というべきなのだろう。紅葉さんに超人と言わせた陸人らしい。
実はくるみちゃんに私たちがバスでやってた事を見られちゃってて…
『そういえばあの場に居ましたね。では、口裏合わせとして、ただ離れたく無かったから抱き合ったと言いましょう』
そこも何だけど、陸人が跪いたのはどうするの?
『……俺がそういった事をやってみたかったという事にしておきましょう』
私が大丈夫なの?と聞くと、『全く問題ありませんよ』と優しめな口調で言った後、切れてしまった。どうやら時間が決まっていたみたい。
「そういうところは直してしいだけどな…」
「え?なんか言った?」
獨り言が加奈ちゃんに聞かれてしまったかもしれないので、私は紛らわす為に「水の掛け合いをしたい」と言い出し、思いっきり3人で掛け合いをした。
くるみちゃんが途中でダウンして反省したように止めたのは言うまでも無いかもしれない………。
ーチュン、チュン
この世界でも小鳥が朝で鳴くのは変わらないらしく、俺は休日の日課である朝のトレーニングの一環、重りを付けてのランニングをしながら、空を飛んでいる小鳥を見る。
今來ている黒を基調としたランニングウェアも、足全と、腕全に付けた合計30kgの重りは全て道作で作ったものだ。流石に魔力の消費が激しくて一瞬クラっとしたけど、數分休んだ後にこうして走っている。
コースは大きなこの城の外周だ。なかなか距離があり、3周もすれば充分距離を走った事になるので、気合いをれて走る。
この世界に來て2日目。勝手に理解した魔力という、のようなものがあったり、スキルは心の中で念じるだけで使えるという事も昨日と今日の朝で分かった。
そして、スキルはある程度自由に作れる事も。
俺はランニングを終え、重りを外した後、こう念じた。
執事たる者、いつ如何なる時でもを出しれすべき。
スキル
・無限収納 (執事たる者、いつ如何なる時でもを出しれすべき)
を獲得しました。
というログのようなものが畫面の左端に流れる。これでスキルは創れた。
試しに無限収納と念じると、右手に黒い円の空間が現れた。この空間に重りを近づけると…………すっと吸い込まれる。
そしてその狀態で吸い込んだの重りを出すように念じると、円から勢いがそこそこある狀態で出て來た。
「よし、取り敢えずさっさとなおすか」
俺は片っ端から重りとランニングウェアをなおし、汗を道作で作ったタオルで拭った後、スタートした場所の付近にあった木にかけておいた制服を著る。
「いきなり料理から今日が始まるのか…」
俺はお嬢様以外のやつに料理を作ってやる事に嫌気を差しつつ、し城を回ったところにあった裏口にり、調理室へと向かった。
「今日の朝食はクリーミーに仕立てたコーンスープに固めのパン、そして薄くスライスした豚を燻製にしたオリジナルベーコンです」
朝から燻製を作るのに必要な道を道作で用意した価値もあってか、お嬢様はもちろん、みんな味しそうに食べている。お姫様に至っては軽く涙を流すほど。
「….あれ?陸人は食わねぇのか?」
お嬢様の背後で無言で立っている俺を見て、巧が口いっぱいにベーコンを詰めながら聞いてきた。
「執事たる者、お嬢様と一緒の席で食事なんてもってのほか」
俺は淡々と言った。それを聞いた巧は「大変だな~」と簡単に言って食事を続けている。お前に毒針を投げたろうか!
「もうそんな事、気にしなくて良いのに…」
お嬢様がポツリと溢したその言葉を俺は巧に毒針を投げる事ばかりを考えていたので聞き逃してしまった。
「………」
みんなが食事を終えて運ぶ時だけでなく、片付けの時も手伝いに來てくれたメイドたちと食類を調理室に運び、全て洗い終わっていざ自分が食事をしようと調理室にあった機に置いておいた朝食が無殘に荒らされていた。
「あ~あ、こりゃ殘念だったな?これじゃあ、食べられねぇなぁ」
年長者のコックがゲラゲラ笑うと、その周りに居たコックたちもゲラゲラと笑いだす。
何がおかしい?食べを末にして、何が面白いんだ?
「……なぁ、何とか言ったらどうっーー」
俺は肩に腕を回した年のいったコックの手首を摑み、背負い投げのようにして地面に叩きつけていた。
「がぁっ!カハッ、カハッ」
強い衝撃により、勢いよく空気が出て苦しんでいるコックのに俺は足を置き、力を込めていく。
「やめっ、カハッ、カハッ!」
「苦しいか?それが死寸前の苦しみの半分くらいだ。食いを末にするやつは死と同じ苦しみをもって死ーー」
『やめて』
急に脳に響いたお嬢様の聲に、足にれていた力が急速に抜け、その間に男は俺の足を手で逃して離れたところで呼吸を整えている。
『今すぐ私のところへ來て』
……了解しました。
俺はそれだけ言って、無殘な朝食の中からベーコンとパンを食べる。何かで叩き潰されたのか、味は良くなくなっていたが、食える分だけ食べて、殘りやスープは「ごめんなさい」と謝ってから捨てた。本當にごめん。
俺は靜まり返った調理室を出て、お嬢様の部屋へと目指した………。
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