《職業通りの世界》第9話 対決後のき
「本當に申し訳ございません!私の獨斷であなた方のを危険に曬してしまって……!!」
陸人くんが助けてくれた後、騎士団長の人も一緒に何やら國王と話をしていて、終わった瞬間、私たちのところに來てティアナが頭を下げた。ティアナの背後にいる國王は何にも反省していない、仏頂面でこっちを見ているけど、騎士団長さんはしだけ申し訳無さそう。
「いえっ!気にしないでください!確かに命の危険に曬されましたが、陸人が來てくれたので大丈夫ですよ!」
高野くんがティアナに顔を上げさせて平気なふりをしているけど、私は全然納得がいかなかった。
何で強制的に呼ばれた私たちが殺されそうになって、それをただ見ていただけで止めれなかったのに、許せる訳が無い。もし、陸人くんが來てくれなかったら本當に私たちは死んでた。
……それにしても、あの登場の仕方は反則なんじゃない?マジでカッコ良すぎ。胃袋を摑むだけに収まらず、心もガッチリ摑んでくるなんて、陸人くんマジイケメン!……でも、他のの所から來たのも、他のの為に來たのもし減點かな?
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「……ふざけんなっ、あの野郎」と隣で怒りに顔を歪ませている梶木、まだ涙目で震えている原野、陸人くんが作ったひび割れを凝視している杉野くんに、何故かホッとしたような顔の青山くん。
んな反応を示しているけど、みんな共通の認識がある。それは陸人くんだけ私たちとレベルが違うという事。私は別に強くなりたいとは思わないけど、あからさまに反応している梶木はもちろん、あの高野くんだって、心では嫉妬しているかもしれない。
私がんな考えを巡らせているその時、國王が私たちの前に出てきた。その隣でティアナはハラハラしているのがバレバレなほどあたふたしている。
「……俺が認めたのはあの……「執事です」…執事だ。貴様らはあの殺気で慄く程度だ、大した実力も無いのだろう。よって、3ヶ月。貴様らに猶予を與える。その3ヶ月でそうだな……全員でカレナに膝をつかせる事が出來たのなら、貴様らを勇者と認めてやる」
國王の提案に私たちはもちろん、ティアナと騎士団長さんも驚いている。
「そんなの無理ですっ!カレナがでまだ年も若いのに騎士団長を務めているのは、彼以外に強い騎士がこの國に居ないからなんですよっ!?」
「私も彼らには到底出來ないと思います。ので、重りを著けさせてもらえないかと」
ティアナも抗議したけど、意外だったのは騎士団長であるカレナさんも抗議とはいかなくても譲歩した事。てっきり、さっさと出て行けみたいなじの事を言うと思ってたんだけど。
「……良いだろう。ただし、全員とは言ったがあの執事は無しだからなっ」
國王はそれだけ言い捨て、私たちの間を通り過ぎていった。その後に副騎士団長と騎士たちもついて行くが、カレナさんとティアナは殘った。
「はぁ、本當にお父様は無茶振りを言うんだから……」
「無茶振りでは無く、當然の判斷だと思いますが」
2人はし砕けたじで話している。多分、ティアナもそうだけど、カレナさんも同の人と話すのが楽しいんだ。確かにあんなむさい男どもばっかりの職場だったら息が詰まるよね~。
そうだ、それを利用したらーー
「……ねぇっ、私加奈って言うの。あなたの名前は?」
私は勇気を振り絞ったというより、打算的にティアナと話しているカレナさんに話しかけた。カレナさんはし訝しむように私を見たけど、笑顔でずっと見つめている私に折れて、だるそうに答えた。
「……カレナだ。家名は伏せさせてもらう」
それだけ言って、立ち去ろうとしたカレナさんの腕を摑む。細い鎧を著けている事から、カレナさんの腕はらしい細い腕なんだと分かる。こんな細腕で陸人くんと目にも見えない戦いをしていたとは思えない。
私は向こうでもしていた手法を使う事にした。けど、こっちにはカフェやファミレスなんて無いからーー
「私はね、あなたと友達になりたいの。だから、一緒にお茶會でもしません?」
カレナさんは目をパチパチするだけで現実の無い顔をしている。「あっ、良いですねそれっ!」とティアナはとても目を輝かせている。
「………………はっ!い、いや、結構だ!私には訓練がーー」
「お茶會しましょ!これは命令です♪」
ティアナのその言葉を最後に、カレナさんはその場に崩れ落ちて両手両膝をついている。……こんな形で膝をつかせたと言ったらあの國王さんは怒るだろうね………。
ーコンコン
「れ」
「失禮します」
俺の聲と同時にしだけ顔がにやけているカレナがってくる。俺が睨むとすぐにいつもの無想な顔に戻った。
「それで用とは何でしょう?」
カレナは淡々と俺に聞いてきた。その顔、その立ち振る舞い、気迫、言葉遣いまでもが『瞬斬』という、この大陸で5本の指にるほどの実力者だという事を現している。
まだ20代だというのに、數々の修羅場や戦場に勝利を與えてくれた彼の方が彼の事が分かるだろう。
「単刀直に聞く。あの執事の実力はどの程度だ?」
その言葉を聞いた瞬間、カレナは顔をししかめた。そして、考え込むように右手を軽く握って額に當てた。
「………単純な能力的には4種族の中でも1、2位を爭う程だと思いますが、それだけが全てではありませんので何とも言えません」
カレナは腰にぶら下げている剣の柄頭に手を置きながら言った。…確かにカレナがその剣を使ったらあの執事に遅れを取ることも……いや、そんな後から々考えたところで戦いではその場が全てだという事は嫌という程に知っていたはずだ。……王政というに合っていない事をし過ぎたな。
「分かった。お前は分かっているとは思うがあの執事の行に目をらせておけ。いざとなったら『寶剣』の使用も躊躇うな」
「承知しました。では、失禮します」
カレナは特に顔も変えずに部屋を出て行った。この部屋に靜寂が訪れる。
俺は機に山積みになった資料やら書類の中から1つの寫真を取り出す。そこには黒髮の男と肩を並べて映っている若き日の自分が映っていた………。
ただ目的も無く、ただ城を歩く。視界には石レンガの壁やら赤いカーペットが映っているが、脳にはってこない。脳はある景で埋め盡くされている。それは陸人とあの可い騎士団長との戦闘。
目にも見えない。音も後から遅れてきたと錯覚したほどの高速な戦闘。
……俺は悠と特訓したが、悠に勝てなかった。陸人も俺と同じだと思っていた。朱音ちゃんとの特訓は道で勝てただけで、本當は俺と同じくらいだと。そんな考えはすぐに潰された。
どうして陸人が強い?執事が何故強い?戦士である俺は弱い。戦士なのに何故弱い?
………まだ経験が、実戦が、努力が足りないのだろう。こうしてはいられない。今すぐにでも外に出て特訓をーー
「………あれ?なんか俺考えていたっけ?」
さっきまでの強い気持ちが突然消えた。何の気持ちなのかも、何を考えていたのかも分からずに消えた。
「……ま、いっか。取り敢えず気分をれ替えるために走ってこよ」
俺は外に出るために出口方向へと走り始めた………。
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