《職業通りの世界》第17話 嫌なタイミング
「うらっ!!」
「力任せすぎる!!」
 思いっきり振り下ろして來た剣を橫に飛んで躱し、剣の刃を俺に向けて峰で毆ろうとしたが、それを割り込んで來た青山の剣によって防がれる。
「はぁっ!!」
 そのきがし止まった瞬間に、悠が剣を突き刺してくる。それを左手に作り出した盾で防ぐ。すると、ガラ空きになった背中にーー
「これで終わりだ!!」
 梶木の魔法である"アイススピア"が放たれ、氷の先が鋭利に尖っていて、尖っていないところは腕くらいの太さがある柱が飛んでくる。
「まだだ!!」
 俺は足をクロスさせてねじり、一気に無理やり回転する。そして、悠と青山、巧を剣の峰で毆り飛ばして、回転をやめて迫って來ている氷の柱を正面に據え、剣を振り下ろして両斷する。
「ちくしょう!もうしだったのに!!」
 巧が地面に倒れたまま、拳を地面に叩きつけて悔しそうに聲を上げる。他の奴も同じように悔しがっている。まあ、確かに今までで一番惜しかった。
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「今日はこのくらいにしよう。明日にカレナさんとの対決も控えているんだろ?」
 悠に聞くと、1ヶ月前の事を思い出して悔しそうに拳を握りしめながら頷いた。
 もう1ヶ月。毎日どんな日でも朝から夕方まで戦いっぱなしの日々を過ごしていた俺は勿論、悠たちのはもう高校生とは思えないほど筋がつき、逞しくなった。もう、単純な力では負けてしまっていると思うほど強くなった彼らを見て、何処か嬉しくなっている俺がいる。
 まさか1ヶ月でここまで仕上がるとは思わなかったから、カレナさんも驚く頃だろう。
「じゃあ、晝飯にするか」
 俺は久し振りに晝飯を食べる事に懐かしさをじながら、裏口まで歩く。勿論、お嬢様たちの晝ごはんは作り置きしていたから晝晝ごはんを作るのは久し振りでは無いんだが。
「夜は力の付くものにしないといけないから、晝はサラダ中心にして、そこに鶏でもれるか」
 俺は獻立を考えながら、裏口から城にり、調理室へと向かった………。
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「野菜と鶏のサラダ、コンソメスープ、芋と豆の煮です」
 メイドたちと一緒に全員に配膳していく。これは夜はしていたが、日が出ていると考えると、久し振りだとじてしまう。
「久し振りの晝飯がガッツリ系じゃねぇのかよ~」
「文句のある奴は取り上げーー」
「「「「「「「「いただきます!!」」」」」」」」
 相変わらず忙しい國王と、俺が指導に回って暇が出來て任務に行ってしまったカレナさんを除いたみんなが目の前の晝ごはんを食い始める。間宮とくるみも、晝には帰って來ていてお嬢様と一緒に食べている。
 間宮とくるみは俺は見ていないが、それなりに強くなったんだろうか?そして、お嬢様はこの1ヶ月何をしてたんだ?何故か強くなっているようにじる。
「……まあいいか。明日は確実にカレナさんの膝を地面につけさせる事が出來るだろうし、それから俺たちも任務とやらに駆り出されるのか、それとも魔とやらと戦わされるのか」
 全ては明日だな。俺は味しそうにご飯を食べるみんなを見ながらスキル一覧を見る。
 スキル一覧
 ・道作 (執事たる者、全てのを速やかに用意すべし)
 ・武作 (執事たる者、全ての武を速やかに用意すべし)
 ・意思疎通 (執事たる者、仕える者とどこでも通じ合うべき)
 ・魔法適正 (執事たる者、魔法の1つや2つはこなせておくべき)
 ・武適正 (執事たる者、全ての武を扱えるべき)
 ・特定転移 (執事たる者、仕える者にすぐさま駆けつけるべき)
 ・職業適正 (執事たる者、執事という職を極めるべき)
 ・自己修復 (執事たる者、傷なんかに気にしてはいられない)
 ・無限収納 (執事たる者、いつ如何なる時でもを出しれすべき)
 ・限界突破 (執事たる者、限界を超えて諸事を全うせよ)
 ・疲労耐 (執事たる者、そう簡単に疲れてはいけない)
 スキル一覧 ー非常時発型
 ・超速再生 (執事たる者、治療に時間をかけていられない)
 気づけばこんなにもスキルがあった。どれも必要不可欠だが、見にくいな。まあ、こればっかりは仕方ないか。
 ………執事たる者、遠くまで駆けつけられるべきだ。
 スキル
 ・置換転移 (執事たる者、様々な距離を自在に行き來すべし)
 を獲得しました。
 ……試しに便利そうなスキルが創れないかと考えたところ、あっさりと作れた。だから、こんなにも多くなるんだ。
 …で、今創ったスキルはと自をれ替えるスキルだな。うん、強すぎて笑える。
 
「……遅いな」
 前に巧たちが戦った場所で、カレナさんの任務帰りを待っているが、全く來ない。もうすぐで晝頃になるのに、騎士の人たちからの報せは無く、張がずっと続いているので、みんなの様子もあまり良くない。
「…もう今日は良いんじゃーー」
ーカンカンカンカン!
 俺はみんなに撤収を促そうとした時、鉄板を勢い良く叩く音が辺りに響いた。ほとんどの奴がカレナさんの帰りを報せていると思ったが、次の大聲でそんな考えは消えた。
「侵者!侵者だ!!相手は凄腕の盜賊団『ジャティゴ』だ!!」
 盜賊団。しかも、國の城に攻めろうなんて、よっぽどの腕が無いと考える事も無いだろう。そんな相手が、カレナさんも副騎士団長も居ない今に攻めて來たのだ。周りの騎士の人たちも大急ぎで門へと向かっている。
「どうするっ!?今の俺たちで相手になるのか!?」
 巧が柄にもなく、本気で焦っている。くるみは震え、間宮も顔を軽く青ざめている。取りしていないのは、俺と悠、梶木に青山、そしてお嬢様だった。
「取り敢えず、お姫様に合流して指示を仰ぐのが一番だと」
「そうだね、取り敢えずティアナと國王を守るためにも城にろう!!」
 お嬢様の指示にみんな素直に従って城にる。この時、俺たちが城にったのは運が良かったのか悪かったのか、裏口から城にり、取り敢えず玄関近くの広間に出ると、そこには黒ずくめで顔に黒い犬の面を付けた連中、5人に出くわした。
「なっ!?どうして侵したのがバレた!?」
 連中の1人が見るからに揺し、背中側の腰に忍ばせておいたであろうナイフを取り出し、構えた。
「揺するなっ!相手は見たところ、騎士見習いといったところだろう。落ち著いて処理しろ」
 5人の中でもリーダーらしい男の聲を聞いた男は、すぐさまさっきまで軽く震えていた手を止めて、暗殺者らしき気配を漂わせた。
 それは、俺にとっては大した事も無い気配だったが、お嬢様や巧たちは表には出していないが、怯えてしまっているのがじ取れる。
「運が悪かった、っと諦めな」
 男が完全に自信を取り戻したのを確認したリーダーらしき男は、他の3人を連れて食事場へと繋がる扉の奧へ消えた。
 このままだと、お姫様や國王が殺されるかもしれない。それだけじゃない、いつも配膳を手伝ってくれたり、城の掃除や家事をしてくへている、同じ使用人として認めているメイドたちも殺されてしまう。
 それは駄目だ。使用人の一生は主人の一生を支えるためのものだ。こんな盜賊なんかに殺させて良い訳がない。
「巧、悠。怯えず戦えば取るに足りない相手だ。お前たちの力をこいつに見せつけてやれ」
 俺の言葉を聞いた巧と悠は、まだ怯えているが、戦意をしっかり持って俺たちの前に立ち、剣を構えて頼りになる聲で頷いてくれた。
「任せろ!」「こんな相手、すぐに倒してみせる!」
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