《職業通りの世界》第33話 テンプレは短期で済ます

「こ、これで良いの?」

「ええ、バッチリです」

 恥ずかしそうにもじもじするお嬢様は、長髪の金のウィッグを被り、服も前の白に近いピンクから黃に変わっていて、設定としては世慣れしていない村娘で、この街には初めて観に來たという風にしよう。

「陸人のそれは何をイメージしてるの?」

「ズバリ、子離れ出來ない父親ですね」

 俺は黃土のカツラを被り、黒のサングラス、口元にはつけ髭もつけた。服裝も田舎出という事を悟られないように気を使ったじの茶のジャケット、その下には黃土のシャツ、灰のズボンを履いている。靴は厚底で長差もある程度つくった。

 因みに著替えは俺が道で折りたたみ式の更空間を作るテントのようなものを作ってお嬢様がその中で著替えて俺はその間にテントの外で著替えた。お嬢様の著替えの音は聞こえたが、姿は見てないからセーフ。

「これなら大丈夫でしょう。以前と全く違うんですからバレる事もありません」

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「そ、そうだよね。うん、陸人が言うんだから間違いないよね…」

 俺の完璧な作戦に何故か不安そうなお嬢様。し気になるが、隠のスキルを解いて、タイミングを見計らって道に出る。

 道を歩く人たちはさっきまでの騒の話をしているが、俺たちの方はほとんど見ず、上手い事溶け込めたみたいだ。

「上手くいきましたね、では先に晝食を取りましょう」

「うん、どこにする?」

 適當にった店でそこそこ味しい晝食を終え、いよいよ冒険者ギルドにあるという博館に行く時がやってきた。冒険者ギルドが見える位置まで來ていて、今は道沿いにあった帽子屋を覗く振りをしながら冒険者ギルドの様子を伺っている。

「無理そうなら行かなくてもーー」

「いえ、お嬢様が一度でも行きたいと思われたなら、それを葉えるのが執事です」

 お嬢様にそう言ったものの、実は出り口付近にあの冒険者3人組が居るんだよな…。変裝しているとはいえ、本格的なものじゃないからバレる可能もある。…仕方ない。

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「また隠のスキルを使います。ギルドのどこかに隠れる場所もあるでしょうし、そこで解いてりましょう」

「それが一番の作戦ならそれで行こっか」

 お嬢様が納得したところで、また変裝した場所に行き、スキルを使ってから普通に歩いていく。誰にも気付かれず、冒険者ギルドが上にある広場まで來た。

 冒険者ギルドまで行くには広場の縁にある柱に備えられたハシゴか、広場ではなく道沿いにある、冒険者ギルドまで続いている階段を登るかの2択だ。

 実は隠のスキルはの一部がれ合っていないと隠す事が出來ない。よって、今は僭越ながら手を繋いでここまで來たが、登る手段をどうするかを考えないといけない。

 ハシゴはお互いれ合いながら登る事は難しいというか、無理やり出來ない事は無いが、後から人が來たら終わる。

 階段は幅が狹く、肩とかがぶつかったら効果は解けないが、何もない空間にぶつかるという不信を與えてしまう。最悪手を振り回されたら知られてしまうだろう。

 あの3人はハシゴ、もしくは階段を登り切った後にある冒険者ギルドの玄関とも言える出り口で見張りつつ、下を見下ろしているから、スキルを解いて登っても素早く発しないとバレてしまう。というかいきなり消えたらしでも俺たちを見ていた人たちに騒がれてしまう。ここはさっきと同じやり方を取るか。

「お嬢様、失禮します」

「あ、飛んで行くの?」

 俺がお嬢様をおぶれるように、手を繋いだままお嬢様の前で屈むとお嬢様はすぐに察したようで肩に手をついたので、繋いでいた手を離して、お嬢様が俺に飛び乗ったのと同時にお嬢様の足を抱える。

「また舌を噛まないように、歯を食いしばってください」

「うん、よろしくね」

 お嬢様は俺の首に回した両手をより一層幅を狹く締めて、背中に重をかけて俺に委ねると言っているかのような事をする。背中にらかながあって一瞬お嬢様を意識したが、お嬢様の行で、すぐさま私を消し、足に力を込めて強化魔法をかける。

 さっき見たじだと、玄関からし右に行った所に荷置き場のようなところと近くに道沿いからびた別の階段が見えた。荷置き場でスキルを解いて、きっと階段の正面に玄関があるはずだからそこからろう。

「では、いきます」

 俺は地面にヒビがいかない程度に力を込めて飛び跳ねる。著地地點は玄関にある出てすぐ雨などで濡れないように設けられたひさしにしよう。広くてそこそこ厚さがあるからきっと大丈夫だろう。

「……!?」

「…キャッ!」

 全くの予想外。まさかの玄関から出てきた腰に柄が包帯でぐるぐる巻きの両刃直剣を攜えた歳は30くらいの赤髪の男に斬撃を飛ばされ、し無理な形で躱したので、失速し、結局男たちの前で俺は四つ足ついて著地した。

 お嬢様はいきなりの出來事に驚き、著地するまでは腕を離さなかったが、著地の衝撃で腕を離してしまい、隣でゆっくりと落ちた。

「……!?いきなりが現れたぞ!!」

「こいつはあの男と一緒に居た奴だ!!」

 3人の男が俺たちを囲ったので、仕方なく俺も姿を現わす。それでまた3人は驚く。その間にお嬢様に手を差し出して立たせる。

「何事ですか!?」

「喧嘩かぁ?」

「あの3人が騒いでるみたいだぞ~」

 騒ぎを聞きつけて奧から職員らしきの人が來て、さらに冒険者たちもしずつだがやってくる。これはマズイが、狀況を説明すれば何とかなるか?

「俺たちはこの街に初めて來た者だ!來てすぐこの3人組が襲って來たので、この3人からは見つからないようにろうとしただけだ!怪しいものではない!」

 本當の事を言うが、周りの奴は半信半疑というじで、言われた3人は規定があるのかは知らないが「口から出まかせを言うな」とそんなじの事を言って襲って來た事を無かったことにしようとしている。

 仕方ない、正を明かして乗り切れる事にかけるか。

「俺たちは國王様に依頼をけた、勇者という者だ!これがそれを示す証明書だ!」

 俺は変裝を解き、職員らしきの人に証明書を突きつけながら周りに訴える。お嬢様も変裝を解き、俺たちの黒髪を見た周りの奴は俺たちの事を信じ始めた。さらに、証明書が本だという事を職員が言って、なお俺たちに傾き始めた。このまま押し切れるか?

 そんな上手くいかないとでも言っているかのように、俺に斬撃を放った男が人混みを押し退けて來た。

「そんな事はどうだっていい、今知りたいのはこの街に仇なすものたちかどうかだ」

 剣先を俺に向けて、威圧的な目で見てくる。3人組はその男に便乗して、男を肯定するような事を言い、他の連中も男の方に傾き始めていく。

「どうやって証明すれば良い」

「簡単な事だ。冒険者とは力に答えを見出している連中なのだから、俺に力を示せば良い。つまり決闘だ」

 ……これもテンプレにあったような気がする。だが、こんな犯罪者かどうかを示す為に決闘をするのもテンプレなのだろうか。

「分かった、ならさっさと來い。一瞬で済ます」

「知らないだろうが、俺はAランク冒険者だーー」

 なんか言いながら來た男だが、男の顎にすれ違いざまに掌底をぶつけ、俺の隣で男が意識を飛ばして地面に倒れて勝敗は決した。

「カレナさんより弱い奴が俺に勝てる訳がないだろう」

 口から僅かにを覗かせている男に言い放ったのと同時に周りの連中が沸いたように歓聲をあげた………。

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